焼石岳のミヤマキンポウゲとハクサンチドリ(その2)

今回は、焼石登山が初めて(山登りそのものも初めて)という女性の方や、およそ10年ぶりの山歩きという女性の方もいっしょの山行です。私のほかに山歩きの大ベテランNさんと健脚のSさんもごいっしょでしたが、お誘いしていたという立場もあってこちらが山のご案内役を軽くつとめました。

自宅出発7時。林道終点には県内外の車がすでにかなり駐まっています。県境の林の方からは「ほーほー」と叫ぶタケノコ採りの人声も聞こえますから、軽トラックなどはタケノコ採りの方なのでしょう。

焼石山行としては今日はやや遅い歩き始めです。でも、いまは日が長く、遅い出発でもだいじょうぶ。Nさんに準備体操を指導していただき、みんなで体をほぐして歩きを開始。気をつかうことなく「ゆっくり、花を観、撮りながらの歩き」であることを、この日のみんなの共通目的として確認し合い出発です。

予想したように、8合目焼石沼近くからはミヤマキンポウゲとハクサンチドリが花盛りで目に入り始めました。焼石沼そばの「タゲのすゞ(岳の湧水)」到着10時40分頃。水温4℃といわれる冷蔵庫よりやや冷たい清水でのどをうるおし、容器への水を詰め替えたり足したりして草原に出たら、期待していた通りの花群落が広がっていました。お天気も晴れでしたが、キンポウゲの黄色に陽射しがより輝くようで、天も地も草原のそこだけよけいパァッと明るく感じます。

沼の岸辺に腰を下ろしていたら、いつものように大きなイワナがゆうゆうと泳ぎ寄ってきました。6月13日にはまだ沼の水に浸かっていた残雪もすっかり消えて、雪は斜面に少し残っているだけです。

今日は、ここでの二つの花たちを観ただけでも充分なのですが、遅咲きの初夏の花たちにも出会えるし、何よりも焼石初登山や、およそ10年ぶり登山の方々にタゲ(焼石岳)のすばらしさを体験していただきたく、沼の草原でたっぷりの花景色観賞と休憩をして後、さらに頂上を目指しました。

梅雨の合間の貴重な晴天ということもあってでしょう、登山コースにも頂上にも、我々より先に登った方々の人影がちらほらと見えます。

9合目焼石神社にお参りし、頂上到着は12時30分頃。帽子をとばされるほどにやや風が強し。雲があって岩手山や早池峰、月山、鳥海山はのぞめませんが、栗駒や胆沢平野、胆沢ダムなどははっきりと視野にはいります。風のない東側斜面に腰掛けゆっくりと昼食。13日の下見山行に来たとき汲んでいったタゲのすゞ(焼石沼の湧水)で妻がボトルに詰めてくれたコーヒーをここで開けました。「これは少しぬるめだったがおいしかった」と、帰宅してから礼を言いました。清水を遠くからいったん汲んで下がって、その水を暖めてまた頂上まで背負ってきたのですから、気分だけでもおいしいのです。

▼横手市~東成瀬村~岩手県奥州市~住田町~大船渡市間を結ぶ国道397号整備促進期成同盟会の総会がきのう奥州市で開かれました。同盟会を構成する自治体は、それらに加え、陸前高田市、湯沢市、羽後町です。

397号は、342号や398号とあわせて村や秋田県南地方の産業振興(観光や物産販売等)にとっても大切な役目を担う道路です。とりわけ、342号、398号と同じようにゴールデンウィーク前の冬季閉鎖解除は当面の大きな念願課題です。

総会では、栗駒国定公園地域全体の周遊観光などの発展の面で、岩手、秋田双方にとって冬季閉鎖の早期解除効果が大きいこと、そのために必要な諸課題解決に向け尽力することの大切さについて発言が集中しました。私も、同趣旨で秋田県南側の実情などを一言申し上げました。

焼石岳のミヤマキンポウゲとハクサンチドリを楽しみに(その1)

梅雨の合間のわずかの晴天となったきのう、焼石岳の花見山行に出かけました。誘い合って一日を共にしたのは、男性3人女性2人の計5人の一行。

先週19日に予定、雨天で中止していた山行で、今回だけは「山の神様」が私たちに良き一日を授けてくれたようです。天気予報から予測したよりも高山は雲が多く、風もやや強い一日でしたが、晴天のおかげで快適な歩きができました。

花の百名山・焼石岳は、6月はじめから半ばにかけて大きな群落を見せるハクサンイチゲやチングルマ、それらに混じって咲くミヤマシオガマやヒナザクラ、ユキワリコザクラ、イワウメなどの花期がほぼ過ぎ、全体としては7月に咲く盛夏の花たちまでの今は花の端境期という季節でしょうか。

そういう端境期にあっても、特別に花群落が見事なのは、秋田・東成瀬側コース8合目タゲ(岳)の沼(焼石沼)の草原周辺から9合目までに観られるミヤマキンポウゲとハクサンチドリです。

それらの花々に混じって、盛夏の季節の早咲きの花や、雪解けの遅い場所には春や初夏の花も所々で楽しめます。それは、豪雪の山の焼石ならではこその魅力です。

ハイマツ、キバナノコマノツメ、チングルマ、イワカガミ、ハクサンイチゲ、イワイチョウ、ムラサキヤシオツツジ、ベニバナイチヤクソウ、シナノキンバイ、キヌガサソウ、オオバキスミレ、エシャガエヂゴ(ノウゴウイチゴ)、エゾノクサイチゴ(シロバナノヘビイチゴ)リュウキンカ、ヒナザクラ等々、これでも目に入った花の一部をあげただけです。花の端境期といってもこれだけの「花見山行」ができるのですから、焼石はありがたい。

焼石の盛夏の花の季節、つまり花の第3ステージは7月下旬から8月初め。その頃になれば、タカネナデシコ、ハクサンシャジン、マルバダケブキ、トウゲブキ、ミヤマリンドウ、ハクサンフウロ、ウスユキソウの仲間、タチギボウシ、コメツツジ、キンコウカ、シロバナトウウチソウ、モミジカラマツ、カラマツソウ、ヒオウギアヤメ、クルマユリ、イワショウブ、各種アザミやシシウドの仲間たち等々、それに前期の春や初夏の花たちも雪消の遅い箇所ではさらに加わります。8月には初秋の花も咲き始めます。

ですから、種類ではおそらく最も花数の多い文字通り百花繚乱の焼石の季節があと一月弱でやってきます。その頃の8合目の草原では、とくに多いエゾノクサイチゴと、少し混じってノウゴウイチゴのおいしい実も、おなかがふくれるほどたっぷりと味わえますしね。

これぞ赤いダイヤ・サクランボ

湯沢雄勝(主に湯沢市三関・須川地域)と横手平鹿(主に十文字町・増田町)特産のサクランボが収穫真っ盛りです。主力品種の佐藤錦が家庭でも贈答用にもひっぱりだこです。

我が家でも、身内の果樹農家から今年の初モノを先日いただきました。今年は晴天続きでしたから、実の甘さもいつもの年より濃いのかなと感じながらごちそうになりました。

穀物の小豆が先物取引のひとつの象徴として小説「赤いダイヤ」でとりあげられました。同じ赤色の食べ物でもこのサクランボは、文字通り一粒一粒が「真っ赤なダイヤ」と言いたくなるほどに輝いていて、食べてしまうのになんだか気がひけるほどです。

さて、一方の野の木の実たち。先日ご紹介した自宅前のサルナシ。花時は過ぎ、もうこんな小さな実を結んでいます。花の数に比べて実の数は極端に少なく、ほかの野の木の実たちと同じようにすべてに実がつくわけではないようです。これから9月の末頃まで、散策しながら、実が大きくなり熟すのを見続け、待ち続けます。

モミジイチゴも開花の早かった樹では実がオレンジ色に熟しはじめています。木イチゴの仲間では最も早く食べられ、美味さも一等級のモミジイチゴ。あと一週間も経てばほとんどの樹で楽しいもぎ取りができるでしょう。

食べられる木の実で、この季節にもうひとつあげておきたいのはトズラゴ(クマヤナギ)の実。いま黒い色の実は、昨年に花を咲かせ結実し赤色の実がやがて長い冬を越してようやく黒く熟した実です。今年の花はこれから咲くようで、熟した実のそばで白みがかった薄緑の花穂をいっぱいつけています。実は、甘さはあるものの薄い渋みもあり、お世辞にも「おいしい」とはいえない味です。でも、貧乏で半ば「欠食児童」みたいな60年ほど前のわがガキの頃は、ガキ仲間たちと競って取り合い食べた木の実でもあります。

トズラゴのそばには、サルトリイバラ(猿捕茨)ももうこんなに大きくなった実をいっぱい着けています。こちらは食べる実ではなく、葉っぱは容器として使われたり根は薬草として珍重する地方もあるようです。私は、秋に朱色となる実の美しさに惚れていますが、とっても鋭いトゲトゲ(茨)がいっぱいある樹です。

田んぼ脇の土手でまだ私たちの目を引くのはウドザグ(ハナウドの仲間)の花。これから花を咲かせるシシウドやエゾニュウと同じで生育条件がよければ草丈は2㍍をこえ野草としてはサシドリ(オオイタドリ)とともにもっとも背高ノッポの仲間に加わります。サグ(シシウドやエゾニュウ)とちがい茎の中は空洞ですが、それが力の法則にかなっていてこれだけノッポなのに強い風にもしなやかに耐えられるのでしょう。花をよく観ると、ちょうどシシウドなどと同じで打ち上げ花火のようななんとも派手なかたちをしています。花火はいわば希望の象徴のようなもの。ハナウド類は観る人に「希望」を抱かせる花ということもできるのか。「ハナウド」という名がいかにもふさわしく感ずる花姿です。

広域市町村圏組合議会の臨時会

湯沢雄勝広域市町村圏組合議会の臨時議会がきのう開かれました。

補正予算案や高規格消防自動車の購入契約案、消防庁舎の工事請負変更契約案が審議・可決されました。審議に先立ち副議長選挙も行われ、指名推選で私が引き続き副議長の職務に就くこととなりました。

広域の組合議会で活動することになってこの春で丸20年。はじめて広域議会にのぞんだ当時の質疑応答のやりとりをしのんだり、市町村合併前から共に活動した旧町村の首長や議長、議員さんたちのお顔を思い浮かべる、きのうはそんな一日でもありました。

▼タケノコ採りでにぎわった奥羽のブナの森も、6月下旬になればそのシーズンもそろそろ終わりを告げます。

雪解けの遅い箇所では、「ハギミ」と呼ばれる山菜採りを生業とする方たちの山入りがごく一部で続きますが、深山は再び人の声が多くはひびかないしずかな世界へ戻ります。

同じ深山でも、花の山々はこれからさらににぎやかになります。花の百名山として名高い焼石連峰や栗駒連山は、第2ステージの夏の花たちがそれこそ百花繚乱で咲き始めている頃で、登山者がいっきに増えるからです。

とりわけ焼石岳の唯一秋田側コースとなるわが村からの登山道には、8合目タゲの沼(焼石沼)の草原に咲くミヤマキンポウゲとハクサンチドリの群落がお見事になっているはずです。夏山シーズンのはじまりでこれからは人の足跡、人の声がほぼ絶えない日々となるでしょう。

高嶺の花のような可憐な美しさとはまた別に、里山でもひっそりと咲く花たちが、朝夕の水回りで田んぼにでかける私の目を引きます。

いま咲いているのは、おいしい山菜アマドコロの仲間の花。風鈴のような花かたちは、花ではなく実が鈴なりになっているようにも見えてしまいます。「花が鈴なり咲き」というところでしょうか。

その脇には、ガマズミの仲間が咲き、その樹下にはフタリシズカも。もう少し経ったら、田んぼ脇にはエゾアジサイが咲き始めるでしょう。梅雨本番、体で感ずるほんとうの夏が近くなったことを花たちは告げてくれます。

仙台、都内で要望活動

20日~21日、道路、河川、ダム、堰に関わる6同盟会合同の要望活動が、仙台と都内で行われ出席。

同盟会に加わる大曲、横手、湯沢、美郷、羽後、東成瀬、各市町村の首長と議長、岩手西和賀町の副町長とともに、山田堰や雄物川筋の土地改良区の代表、トラック協会の代表も加わる多数の要望団です。

朝にはたんぼの水回りを見て、早飯を食べて車に乗り仙台の国交省東北地方整備局に集合。みなさんも車や新幹線で10時からの要望活動に合わせ次々と合流。距離が遠いので、もうみなさん時間の余裕をもって1時間弱から30分前にはほとんどが集まっています。

仙台での要望後は、全員新幹線でムシムシと湿度の高い都内へ。仙台では、勾当台公園で行われていた湯沢雄勝広域観光キャンペーンの様子を、駅に向かう車の中から目にしました。

20日の午後は衆参両院の国会議員会館と総理官邸で官房長官へ要望し、21日は国交省と財務省まわりで活動を終えました。今回も、みのり川代議士と事務所の皆様には手続き、ご案内と大変なご難儀をおかけしました。あらためてお礼申し上げます。

▼休日は、久しぶりに訪れた童らとともに熟し始めたイチゴを摘んだり、カンゴの実を摘み戯れたりのひとときを過ごしました。

湧水の沢へ草刈りに

昨日は焼石行きを予定していましたが、3日前の予報に雨マークが出た時点で中止を告げていました。

中止を告げた後の予報は、晴れマークが出たり、雨が予報されたりとめまぐるしく変わりました。みなさんのお仕事や行事などの都合と、お天気と、それにできるだけ花の美しい時に、という3つの条件がそろう時はなかなかないもの。山行きは来週に延期して、ミヤマキンポウゲとハクサンチドリが咲きはじめていることを期待しての歩きとするつもりです。

同じ山でも、きのうは里山の自家用生活用水を引いている沢に入り、道路や沢の草刈りに汗を流しました。

18日までは雨不足のお天気がしばらく続きましたが、山の清水は豊富で、勢いよく湧き出ています。県内では水不足で田植えができなかったり、田植え後の渇水で水稲の生育が思わしくない所があるとの報道も流れます。

村の水道用水、農業用水は豊かで、空気と同じであるのがあたり前という感覚になりがちな我々。でも、水が豊かで心配なく暮らせるというのはほんとうに幸せということを、トトトト、トトトトと途切れることなく湧き流れる清水をみて思います。

道路、河川、ダム、堰で合同の要望会

道路、河川、ダム、堰などの改良整備を期してつくられている県南6同盟会合同の要望活動がきのう行われました。

昨日の要望先は、湯沢河川国道事務所と成瀬ダム工事事務所。

各同盟会の要望メンバーのほとんどは昨年と同じですが、ただ一人、代表の代わったのが雄物川筋土地改良区の理事長です。ここは、元平鹿町長をつとめられた柿崎幹夫氏に理事長職が新しく引き継がれたばかり。昨年まで要望活動にも参加し、成瀬ダムの本体工事着工式にも出席されていた前理事長の柴田康二郎氏(元大森町議、元県議会議長)は、この14日に急逝されたのです。

故柴田氏は、要望活動で10数年間にわたり席を共にさせていただいた方で、(町議、県議)と(村議)というちがいはありますが地方政治活動のうえでも大先輩にあたる方です。

政治信条のうえで歩む道は同じでありませんでしたが、私が横手で長年政治活動をしていた際に、平鹿の県議選や国政選挙の応援弁士などで演説に立たれる柴田氏の姿は幾度も目にし、演説をお聴きしていて、その様子は今でも記憶のひだに濃く残っています。

同盟会の一員であった方々も鬼籍に入られる方がおられる。それだけ長い歴史を重ねてきた運動であることを考えさせられた日でもありました。

6月定例会議を終える

村議会の6月定例会議は、当局提出の議案と、議員から出された意見書案などすべての審議を終え可決。本会議は休会となり、これからは常任委員会活動が行われます。

本会議終了後は、着替えを急いで湯沢の葬儀場へ。若い頃、長年政治活動を共にしお世話になった先輩のF氏が急逝され、葬儀の席に。

その場に席を同じくした先輩で、元町議のK氏が、「同じ年代で活動した仲間がどんどん逝ってしまう」という旨の言葉を語りました。故人となられたF氏も、元町議のK氏もそれぞれ80歳代のはじめ。政治活動(組織活動、選挙活動、書く、話すの宣伝活動等々)や人としての振る舞いのなかで大切なことを学ばされた方々です。当時をしのびながらF氏のご冥福をお祈りし、K氏へも、健康へのご留意を申し上げました。

帰っては、広域市町村圏組合議会の臨時会(24日開会)に提出される議案等の説明を受けました。

▼昨日載せた自宅前のサルナシの花がもう満開になりました。今年は花数が多く、このままみんな実を結んでくれたなら、秋には甘~い天然のキウイフルーツの味がたっぷりとたのしめるかも。

部落・自治会の要望箇所を視察

今年の部落・自治会からあげられた要望箇所の視察が、14日、村当局と議会(常任委員会の調査活動)合同で行われました。

これら要望の実質は、議会で審議が必要とされる「請願」、「陳情」とほぼ同じものという大切なとらえ方を我々はしています。

わが村の場合、村内の住民や団体から請願・陳情が提出されるのは近年はごく稀です。道路や水路、生活環境などの整備を求める要望は、そのほとんどが地区住民の総意として提出される「部落・自治会要望」というかたちで村と議会に毎年届けられるからです。それらは来年度の予算編成でも重要な位置づけをもちます。

部落や自治会の要望ですから、各地区でよく検討されて提出された要望であることを前提に村も議会も現地の調査をおこないます。緊急性があり、すばやい財政措置が可能な範囲であれば、要望実現のために具体化をなるべく急ぎます。次年度予算をまたずに既決の予算での柔軟対応や補正予算措置等での対応はよくあることです。

今回の各地区要望も、当然ながらそういう「地区の総意」であることを念頭におき現地をまず調査しました。用地関係が主な原因で整備が前進しない一部をのぞき、村道や農道など道路整備もよく進んでいるわが村。幹線用水路をはじめ水路の整備もそれは同じです。

したがって、今年の新規要望は、交差点や生活道路などの交通安全対策、水路の取水施設整備や劣化箇所の部分改修などが大半で、除雪用の水路整備も一箇所。現地確認は議会常任委員会の調査活動としても行われる活動であり、調査後には講評の議論も行われ、当局の現段階での要望に対する考えもあらためてしめされました。

▼アザミ、シラグヂ(サルナシ)の花が咲き始めました。マタタビの葉っぱも白くなり、カンゴの実(桑の実)も熟しはじめの季節。「北日本の梅雨入り」が宣言されました。

▼雨の日曜16日は、「菅義偉官房長官を囲む会」が湯沢市内で開催され出席。

村や地域の要望実現のために、湯沢雄勝出身の官房長官へは毎年幾度もお願いにあがっています。「囲む会」はふるさと後援会のみなさんによる主催です。日頃お世話になっているお礼をこめながら1時間ほどを過ごしました。

焼石下見の途中まで山行

朝早く出れば2時頃には帰れるだろうと、きのう焼石に向かった。

初夏の第1ステージ花盛りの山はいつも6月半ば過ぎ頃。来週の19日は行事も会議も入らないので、天気はまず脇において「この日は山へ行く」と決めていた。

その19日は、まだ焼石に登ったことのない方もいっしょにご案内の予定。そういうこともあって、「山の花や登山道の様子を下見しておこう」と向かったのが昨日の山行である。

5時10分に歩きを開始。県境の山は厚い霧に覆われている。駐車場にはまだ車が1台もない。この季節はマイズルソウやツバメオモトが登山道脇でまず花盛りで迎えてくれる。

それらを写して、すずこや道の分かれの水たまりでサンショウウオの卵を撮ろうとしたら、おやっ、カメラが1つない。なんと、最初の花を写した登山道口に忘れてきたようだ。急いで下ったら、タケノコ採りの姿をした中年の方と行き会った。「道にカメラを忘れてしまって」とのべたら、「ああ、あったよ」と言葉を返してくれた。踏まれないように、目立つようにカメラは木の根元にていねいに寄せてくれていた。上がり直したらその方がまだ「採り」に入らず登山道で一服していたのでお礼を一言申し上げた。増田の方といわれた。装いから察して山に入り慣れた方のようだ。

「カメラ(いちばんの道具)を道に忘れるとは、どうも、今日はどうかしている」と思いながら歩きを進め、胆沢川に下りてすぐ、右膝下のふくらはぎが急に痛みだした。こんなことは山歩きで初めて。この程度の歩きで足にムリがかかるわけがない、なんだろうと少し休み、消炎沈痛剤を施すが、痛みはとまらない。でもなんとか歩けるので、「予定の全行程はムリ。焼石沼までで引き返そう」と判断、ゆっくりゆっくりと歩を上に進めた。

「焼石沼まで」というのには理由がある。沼の周囲のリュウキンカやキヌガサソウだけは、どういう様子かどうしても見ておきたかったのである。

花の百名山焼石の花の見所は8合目からが主な舞台の始まりだが、そこまでの間にも、今ならではの野草や樹木の花が歩く人を飽きさせない。

マイズルソウ、ツバメオモト、ムラサキヤシオツツジ、コミヤマカタバミはその主役クラスで、標高を上げるにつれ所々でミツバオウレン、イワカガミ、ツマトリソウ、シラネアオイ、ノウゴウイチゴ、ズダヤクシュ、サンカヨウも舞台にあがり、8合目近くになればリュウキンカとミズバショウの群落美が圧倒する。おまけとして見られるチシマザサの花も、亜高山は紫色が濃い。そして、何より「この花を観るために痛みをムリして」上がってきたキヌガサソウがちょうど花盛りだった。ムリした甲斐があったというもの。

まだ朝8時。焼石岳も南の森も権四郎も三界山も、連峰はまだ濃い霧に覆われている。8合目の草原は、サンカヨウとノウゴウイチゴ、フキノトウ、エゾニュウなどを除けば野草は芽吹いたばかりで草丈が低くすっきりと見通しが利く。ミネザクラも8分咲きだ。雪消の早い水辺と湿地にはリュウキンカが花盛り。桜と同じようにまだ蕾だけの草株もいっぱい。

残雪が冷たそうに浸かる焼石沼にゆうゆうと泳ぐイワナたちを見て、山に登れない妻へのお土産に「タゲのすゞ(岳の湧水)」をペットボトル2本に詰め、予定通りそれ以上のムリはせずに沼で引き返した。

帰りには男女それぞれ単独の登山者3人と行き会いご挨拶。女性の方一人で登るのだからたいしたものである。駐車場に着いたら、60~70歳代らしい女性たちもふくめタケノコ採りの車でほぼ満杯状態だった。みなさんマメなものである。

登山道も車道も、村や観光関係の方々の手によってこの間きれいに整備され快適な歩きができる。姥石平のハクサンイチゲやチングルマ、ヒナザクラ、ユキワリコザクラ、ミヤマシオガマなどが19日には花盛りで見られるだろう。それまで、足の痛みを治すよう養生です。