キノコの季節になると、「きのご、みでもらいでぇ(キノコを見て欲しい)」という電話が時々わが家にかかってきます。先日もそんな一報がありました。
こちらは菌学会の会員でもないし、キノコの同定に特別詳しいわけではありませんが、普段よく食べるキノコ、あるいは時々食べるキノコ、まれに食べるキノコ、そして手強い猛毒キノコの代表ぐらいの単純な区別はみなさんと同じようにできますから、一報をいただいたところに早速かけつけました。
こんな時は、たいてい食毒の見分けのつかないキノコが多く、そんな時はいいかげんなことはいえませんので、たとえ毒ではないと思うキノコでも心配が少しでもあれば「ムリして食べないほうがいい」と言います。恐る恐る訝しい気分をもちながら食べるのでは、食べられるキノコだとしてもおいしくないということも奨めない理由にあげられます。これは自身の体験から生まれた思いでもあります。
さて、今回電話をいただきかけつけた家にあったのは写真のキノコです。仕事で山に入った時にあったらしくそれはハナビラタケ科の仲間であることは確かのようです。それで、「キクラゲのように酢みそ和えや味噌汁などで食べればいいかも」と、自分が一度食べた体験談をもとに食べられるキノコであることを伝えました。
これはそんなに出会えないめずらしい食キノコ。形はよく似ていて時々出会えるシロキクラゲ科のハナビラニカワタケより白さが強いようですからハナビラタケでしょう。
後日お聞きしたら「ンメがったよ(うまかったよ)」といわれました。こういう形状のキノコに毒キノコはほとんどなく、食べられるキノコと自信をもって断定はしたものの、それでも結果をお聞きして、実は、内心、ホッとしたところです。