魔性を感ずる鮮紅色、タマゴタケ

例年の7月半ば過ぎなら、「行事の合間をみての畦草刈り」と記すのがこの時期の決まり文句でした。

しかし今年は、コロナ禍なので行事や集会のほとんどがはじめから中止、あるいは延期から一転しての中止なども多く、仕事につきものの集い等での挨拶や乾杯発声もほとんどない状態が半年近く続いています。

そういうわけで行事が極端に少なくなっているため、日程に気をつかうことなく過ぎた休日は今シーズン3度目の畦草刈りに汗を流しました。雨つづきでよく伸びた雑草を刈り終えたら、いつものように田んぼ周りはきれいすっきりとなりました。

「中干し」をしようと水をいったん断ち切った田んぼは、 雨続きのために乾くどころか雨水がほとんど浸りっぱなし。この先すぐには連日の晴天をのぞめないようですので、粘土質で排水のあまりよくない我が家の田んぼは「土用干し」の効用があまりないまま出穂の季節を迎えることになりそうです。今から、収穫時期のコンバインの抜かりが気になる我が家です。

低めの気温とそんな雨続きのお天気もあってでしょう、家や田んぼまわりの土手や林の脇では土キノコの仲間たちがどんどんカオを出し始めています。

それらの中でカメラを向けたくなるのは食茸のタマゴモダシ(タマゴタケ)です。猛毒菌が多いテングタケ科のうちではめずらしく食べられるキノコのタマゴタケ。でも、私はおいしいという食感をもったことは一度もありません。魔性をあらわすような鮮紅色に惹かれて、今は「見て楽しむキノコ」の代表格としての出会いを楽しみにしています。

色も形も特徴がはっきりしているので、毒キノコとの見分けは比較的簡単です。しかし仲間にはいろんな猛毒キノコや毒キノコがありますのでムリして食べる必要はないと思っています。土キノコの仲間としては発生期間が比較的長く、村では7月半ば過ぎから9月半ば頃まで見られます。幼菌を割って一夜おいたら、トレイの上で傘を開いていました。

それにしても、並みいる猛毒、毒キノコの仲間が多いテングタケ科の中から、これを「食べられるキノコ」として確認した最初の人間はたいしたものと思います。欧州など外国では美味で上品な食茸扱いされるというタマゴタケ。日本もふくめ、その試食に最初に挑戦した方の覚悟は相当なものだったはずです。なにしろこの色と形を見たら、まずは「猛毒」を連想してしまいますから。

そばの雑木林には、ベニタケの仲間たちでしょうか、いろんな土キノコも見られるようになりました。タマゴタケもふくめ、いつもの年よりキノコの顔出しがやや早い気もします。これも異常といえる長雨のせいなのでしょうか。