2022年・令和4年をふりかえって

2022年・令和4年の、おおまかな自然の様子や出来事をふりかえってみます。

豪雪対策本部が前年に続いて設置された大雪の中で年が明けました。1月、里山に登ったら、ブナの森の中を駈ける美しい毛色のテンや、忙しそうなリスと出会いました。豪雪の集落と成瀬川の冬景色も見下ろしました。

3月の北京パラリンピックに、横手市増田町西成瀬地区湯ノ沢出身で福島県天栄村に住む甥の藤原哲がアルペン男子種目に出場しました。彼は高校スキー部の練習時に大けがを負い車いす生活となっていたものです。パラリンピックとしては屈指の難コースといわれた急斜面を滑る姿を見ながら、本人の努力と共に、高校をはじめ競技の道に進みここまで彼をささえていただいた多くの方々に、敬意と感謝をもった3月でした。今シーズンもヨーロッパなどで競技の日々を過ごしていますが、「事故のないように」と願うばかりです。

長い冬が終わり、私が目指すのは雪解けの季節に咲く小花たちや渓谷の流れです。めずらしく、ビューポイントに飛び込んだオオルリを手にするという珍事も。春作業が進み、早苗田の脇にはレンゲツツジが鮮やかな季節入りです。5月には村長選が行われ、備前博和氏が無投票で初当選。その後、谷藤登副村長が就任し、村政の新体制が始動しました。改選を機に佐々木哲男村長、糯田正宏副村長、鶴飼孝教育長は退任されました。3氏には心から「ご苦労様でした」の声をおくりました。

5月には成瀬ダムの定礎式が行われました。6月には車庫につくられたキセキレイの巣で卵から孵化までをしばらく観察。タケノコ採りシーズンでは須川の遭難多発地帯で遭難者の捜索救助活動に出動、遭難者は無事発見。早苗が生長する田んぼでは、イモリの死体を食べるオタマジャクシたちを見てびっくりという場面も。

7月、里山のヒツジグサや焼石の花たちを眺めに。焼石岳にはご来光を拝むつもりで徹夜の山行となりましたが、頂上だけ、しかも早朝だけが濃い霧に覆われ残念無念となりました。

8月、トンビマイタケなど初秋のキノコをめざして山入りしたら、まだ幼菌のエゾハリタケがブナの大樹にびっしり。これほど多くが発生するのはめずらしく、およそひと月おいて生長させ9月下旬に見事な塊をたくさん採りました。毎年恒例の仙北街道踏査は、雨天で川が増水、渡渉はムリだろうと「山神」で引き返すという残念も体験。途中、ブナの実を食べているクマとの出会いもありました。

9月に入ればキノコ本番の季節入り。今年はならしてキノコは豊作。ウスムラサキホウキタケ、サクラシメジ、センボンシメジ、マイタケ、シシタケなど、こちらもまずまずの出会いがありました。今年は、マイタケ採りにAさんをお誘い、8月に「見置き」していたエゾハリタケの見事な塊もご覧になって頂きました 。クマの越冬穴2つもおまけにご案内しました。

10月もキノコの季節は続きます。ナラタケ、ホンシメジ、クリフウセンタケ、ムキタケなどが毎日の食卓に上がり、塩漬けや瓶詰めで貯蔵もよく出来ました。

この秋は、全国豪雪地帯町村議会議長会と政党との懇談会が都内で開かれ、会長が所用で急きょ出席できなくなり、副会長として各政党代表の国会議員の方々へご挨拶を申し上げることに。

紅葉の秋には、自宅前で、めずらしく小川に遊ぶカモシカとのご対面も。村で最後のりんご栽培農家、滝ノ沢のSさんの樹園地に向かい、収穫の時期をむかえた記念すべき「ふじ」の実と木を写しておきました。

11月には町村議会議長全国大会とあわせて開催される全国豪雪地帯町村議会議長会の全国大会がNHKホールで行われ、豪雪議長会の会長職務代理として大会決議などの提案理由説明を壇上で申し上げる場面もありました。

そうこうしているうちに一年はあっという間に過ぎました。締めくくりは雪の中でもたくましく生長するエノキタケです。そしてすでに3回も雪下ろしを迫られ「今年も大雪か!」と思わせられる1㍍を超える新雪にかこまれた成瀬川です。

今年一年のご愛読に深く感謝いたします。皆様、どうかよいお年をお迎えください。

第185回秋田県都市計画審議会へ

きのうは第185回秋田県都市計画審議会が開かれ、市町村議会議長代表の委員として出席しました。

同審議会は現在、学識経験委員7人(条例員数は9人以内)、国や県警など行政機関の委員4人、市町村長代表委員1人、県議会議員の委員3人、市町村議会議長代表委員1人の計16人(条例員数は18人以内)で構成されています。

今回の審議会の議案は、いずれも建築基準法にもとづく建築物(産業廃棄物処理施設)の敷地の位置の許可に関する案件でした。

産業廃棄物処理の破砕機増築(大館市1件、秋田市1件)、同新設(秋田市1件)、廃プラ受け入れ(秋田市1件)などがその内容で、議案はいずれも可決されました。

きのうで今年の日程表に期された公務の会議や行事はすべて終わりました。

きのうは雨、夜から今朝にかけても降雪はなし。除雪車の出動もなく静かな朝となりました。早朝から作業にあたっている運転手のみなさんも、こんな日が時々あれば体も休まるでしょう。年末年始はまた寒気襲来の続くことが予報されました。コロナをふくめ健康にはくれぐれも気をつけられて道路交通の円滑な維持にがんばっていただきたいと思います。みなさん、ほんとうにご苦労様です。

80歳を超えりんごづくり

県内ではりんごやさくらんぼの産地として名高い県南部の平鹿や湯沢雄勝地方。ここではりんごの年内出荷作業が大詰めをむかえています。

寒暖の差もあってかここのりんごはとても美味。特別に広告などの媒体で宣伝をしなくても口コミで「美味しいりんご」の評価が全国に広まっています。

御年80歳を超えるりんご専業農家のYさんもこの地方の篤農家のおひとり。Yさんは、「今年は、作が良かった。出荷もあと少しで終わる」と語っていました。

ほかの産地とちがい豪雪地帯でのリンゴなど果樹栽培は、雪という自然との特別のたたかいがあります。1㍍をはるかにこえる積雪の下で冬の間に雪の被害から果樹をまもるのはほんとうに大変なこと。果樹農家のみなさんはそれを何年も繰り返し、数年に一度は甚大な豪雪被害に遭いながらも産地の名をまもり生業を発展させてきました。

村と隣接するこれらの果樹地帯にはそれぞれに縁戚関係が多く、そうした努力を私たちは身内としてもよくわかっているだけに、りんごを食べる時は農家のみなさんの苦労がふと頭にうかびます。

▼今年も積雪が1㍍をはるかにこえ、わが家はきのうで3度目の雪下ろしを終えました。積雪が増すにつれ、成瀬川も少しずつ川幅を狭くする季節です。

ボンボラ(カボチャ)で健康に

冬至を過ぎたのでいよいよ厳寒と豪雪の季節入りです。でも、日の長さが少しずつ増してくるので気分はいくらか明るくもてるようになります。

わが家の食卓には自家栽培のボンボラ(カボチャ)が毎日のようにあがります。きのうは冬至、とりわけ健康への思いを込めてありがたくごちそうになりました。

食べ物といえば、この季節は秋田名物のハタハタです。今年は例年になく接岸が遅く、今のところは北と南で漁獲にもかなりの差があるようです。全体としては量が少なく、店頭のハタハタはかなりの高値で以前のようにしょっちゅうは口にできません。わが家では、少し前に沖合で捕れた比較的安値のブリコ(卵)ハタハタを冷凍していて、それで時々の秋田らしい魚食を味わっております。

ご飯には、時々ヤマイモのエモゴ(芋子・ムカゴ)が炊き込みされ、それでも食にちょっとしたアクセントをつけ冬の食を楽しんでいます。

生きものたちをささえる柿の実

相変わらず雪下ろし作業に明け暮れの日々です。あれをやりこれをやりなので、いっきに集中しての作業ができず、今日で2回目の雪下ろしをやっとすべて終える予定です。

今日は冬至。1㍍以上の積雪となり、村や奥羽深山のクマ公たちは越冬穴にはいったでしょう。例外はいるでしょうが。

昔なら、カラスなど野の鳥たちも次第に食べ物が枯渇してくる季節です。でも今のカラスや鳥たち、獣たちはまだまだ食べ物が豊富にあります。彼らの食を豊かにささえる筆頭格はもぎ取られなくなって久しい柿の実。

以前なら考えられないことですが、どこに行っても、もぎ取られない柿の実がたわわに実っていて、寒気で渋がぬけ実はどんどん熟しています。柿の実があるうちは彼らも安心。それに雪降る前にどこかに蓄えてあるのでしょう、クルミを咥えて道路に運ぶカラスもまだ時々見られます。

柿の実はテンも大好物。真夜中、早暁、まれに日中もと、柿の木に登って実を食べるテンの姿が見られるのも今の季節です。

やはり2回目の屋根上がり

週末には3度目の強い寒気襲来が予報されましたので、「その前に済ませておこう」と2回目の雪下ろしにきのうとりかかりました。きのうはとりあえず住宅だけ、残りの農機具格納庫や車庫、農作業小屋などは今日以後になります。

わが集落のきのう朝の積雪計(役場から依頼された方が、毎朝、地域交流センターゆるるん前で計測)は130㌢。わが家はそれよりちょっと多めで、先日一度下ろした屋根なのに「またまた60㌢はあるなァ」と語りながらの作業です。

黙々とした作業なので、雪下ろしではラジオをよく聴きます。こういう時は、かっては難聴だったNHKラジオ第一放送も今はとても電波がよく入って聞こえ、番組の選択肢が増えています。

実は、村で公共放送のNHKラジオ第一がよく聞こえるようになったのは、毎年行っていた村と議会の政府や国会への要望活動がきっかけでした。難聴の現状改善を求める要望活動の内容が国会の委員会審議で取り上げられ、当時の関係大臣やNHK会長出席の下で質疑応答が交わされました。その後に急きょFM波による放送が構想され、村内矢櫃にそれ専用の電波鉄塔が建設されたという経緯をたどっています。その大筋は今年刊行された村の新しい郷土誌にも綴られています。

以前にもこのコーナーで記したことがありますが、このとりくみが全国の先進事例として注目され、その後、NHKラジオ第一の全国的な難聴対策に一定の影響をおよぼした歴史があります。防災の上でも、公共放送のNHK第一は欠かせぬ情報手段で、おかげで、昼も夜も、とくに夜の長い冬はラジオを聴く時間が夏よりずっと多くなるという訳です。

年末年始のいろいろな公的発行物へのごあいさつや行事あいさつの原稿もほとんど書き終えました。そんな訳で、ここしばらくの私の頭と体は「雪とどうむきあうか」に注がれます。

2年前の12月は異常な大雪で、20日現在のわが集落で2㍍を少し超える積雪となりました。それよりはまだはるかに少ない雪ですし、今朝は久しぶりに除雪車の出動も無しでした。このまま並みクラスの冬であってほしいと願う日々です。

村に雪害警戒部設置

きのう午前9時、村は雪害警戒部(部長・高橋弘克民生課長)を設置しました。

19日朝で役場所在地の積雪98㌢、わが集落で126㌢などと一気に積雪が増えたため、村民に注意をうながし雪害防止にむけて備えるための措置です。

村内で雪下ろし作業にともなうとみられるいたましい死亡事故がきのう発生しました。村の防災無線も雪被害の防止を強く呼びかけています。雪除け作業の多くは高齢者が担っています。お互い、念には念を入れて作業にあたるようにしましょう。

▼きのうは広域市町村圏組合の12月定例議会が開かれました。案件は、職員の定年を現在の60歳から65歳に引き上げるための条例改正案(2年に1歳ずつ引き上げ令和13・14年度に65歳とする)や、これに合わせ、60歳を超える職員に係る給与に関する特例措置の条例改正案も提出されました。

また、燃料費や光熱費増、債務負担行為など一連の補正予算案も提出され、議案はいずれも可決されました。これで今年の議会関係の会議はすべて終えました。12月ですので、年末懇談会のご案内をいただいた団体もありましたが、新型コロナ禍の拡大傾向を考慮し出席を見合わせたところもあります。のこる公的な会議は26日の県都市計画審議会のみとなりました。

議会も恒例の年末懇談会を今年は開催しないこととしております。夏場と違い雪と本格的に向き合う季節です。議会も、役場も、そして除雪体系全体も万全を期し豪雪にそなえる上ではコロナへの感染防止はひときわ大事となります。

今年も雪害警戒部が早くも設置されました。長期予報も「雪は多め」を告げていて、今週末はまたまた強い寒気の襲来も予報されています。「豪雪は災害」とも言われます。豪雪の村のあとひと月半ほどは、普通の時とはちがう時なのだということを考えながら行動計画をたてなければと心しているところです。

まずは一回目の雪下ろし

16日(金曜日)に12月定例会議を終え、通年議会は閉会となりました。

その日の午後にはジュネス栗駒スキー場の安全祈願祭へ。その時点で積雪70㌢ほどはあったでしょうか、それでも安全な滑走を保障できるような雪状態ではないらしく、オープンは24日と予定されているようです。土、日曜と猛烈に積もり1㍍をはるかに越える積雪でしょうから、こんどは運行予定のすべてのゲレンデで滑ることができるでしょう。

さて、こちらは、金曜日朝までに積雪が60㌢を越えたので、土・日の二日間は家屋や農機具格納庫などに上がり、今冬一回目の雪下ろしに動きました。今日の午前も格納庫などの雪下ろしで屋根の上の人になりました。

雪下ろしは普段動かしていない筋肉を使うので、作業を終えた日の夜や翌朝は久しぶりにあちこちの筋肉が痛みました。以前とちがって村内の家屋の多くは雪下ろしをしなくて済む構造になっていて、わが家のように屋根に上がる家は年々少なくなっています。

雪下ろしは危険もともない70歳を越えた者にとってはなかなかきつい作業。でもそんな難儀なことばかりを考えていると気が滅入るので、こちらは毎年冬をむかえ屋根に上がる度に、「雪下ろしは運動不足の冬に最適の作業」とプラス志向で冬を越すようにしています。

それにしても降るわ降るわ。土曜日に一度下ろした屋根も今朝にはまたこんなに積もっていますから、もう二回目の下ろし作業に入ってもよくなっています。この調子だと、12月中に3回もの雪下ろしの冬となるかもしれません。いつの年でも雪のえったで降り(一気降り)は危険と隣り合わせ。みんなで事故や水詰まりに気をつけあいましょう。

今日午後は、湯沢雄勝広域市町村圏組合議会の12月定例議会です。

冬本番突入

昨日からの寒波で道路除雪や自宅周りの除雪作業も冬本番入りです。今年は、1日の初雪がすべて解けきらないうちに根雪の季節入りです。

すでに今朝のわが家で積雪は50㌢超え。降雪は続き日曜はまた大雪のようですので、来週はこの冬1回目の屋根雪下ろしを覚悟しています。

今日は村議会12月定例会議の最終日です。1月4日に開会した通年議会は今日で会期を終え閉会となります。新年は、1月4日に議会が招集される運びです。

午後にはスキー場の安全祈願祭へ向かいます。この雪の降りようをみれば、17日の営業開始予定日には一部ゲレンデの滑走ができそうですが、どうでしょうか。

深山渓谷はいよいよ「山眠る」とき

以前の私なら、写真や山菜・キノコ採り、林や谷歩きでもっとも多く通ったのは胆沢川流域の渓谷でした。

しかし、東日本大震災後、山菜やキノコ類などへの放射能汚染がいわれるようになり、それら汚染地域(主に東北南部太平洋側)での採取が種によっては自粛がもとめられることがありました。隣接する県の南部などではとくに野生キノコについてそれが今なお続いている地域もあります。残念ながら胆沢川流域も多くがその該当地域に入るようで、そういうことがあってこちらも10年近く胆沢川流域への夏季の山入は焼石登山を除けばほんとに少なくなっています。ただ、同じわが集落に隣接の地でも、南本内川流域は採取自粛の対象地域ではありません。北寄りなので放射能汚染は比較的少なかったからでしょう。

原発事故による放射能汚染は、福島の方々へをはじめ深刻な生活破壊を及ぼし人々の安寧な暮らしを奪い脅かし続けています。それに比べれば山菜採取の是非などは些細なことですが、でも、自由な暮らしが放射能汚染によって制約を受けるというのは我々もまったく予想しなかったことで、山入りしてきた多くの人々にとってその自由が制約をうけたのは驚きでした。山菜採りを生業とされている方で、これら汚染対象地域に山入りされていた方などは生活にも少なくない影響があるはずです。

さて、前置きが長くなりましたが、そんな放射能汚染の背景があって、こちらの山菜やきのこ採りの山入先は大震災以後主に村内の山だけに限ることとなりました。そうした中でこちらがいま最も多く通うのは合居川渓谷の国有林です。

国有林では、合板材、漆器、製函、パルプ用としての素材生産とともに、集落の「組合組織」によるその跡地伐根などへのナメコ栽培もかつて長く行われました。素材の生産・販売は払い下げを受けた業者の手によるもので、わが家は長い間その業者のひとつでした。

そんなこともあって、ブナ材の伐採・搬出(搬出はワイヤーロープによる架線張方式)に従事したこちら(架線技士として主に集材機の運転作業に従事)は、合居川にも度々作業に入りました。それに加えて、山菜やキノコ採りでもこの谷は「地元の山」として慣れ親しんだところ。さらに、狩猟免許をもってからはクマ狩りで最も多く山入りしたのも県境に接する最適の猟場のこの地元の山・渓谷でした。

それもあり、あれもありでとにかく慣れ親しんだサンサゲェ(三界山)の裾を源流とする合居川の谷と尾根。谷は雪崩の常襲地帯。昔から積雪期はマタギたちさえもいっさい入らずの危険地帯なので雪の12月はいよいよ「山眠る」の季節入りです。天正の滝界隈や柱状節理の名勝「いずくら」の崖上部には冬眠前のクマたちがまだブナの実を食していて、谷入り口から滝展望台近くのトイレ(冬季閉鎖)周囲をふくめ、それらのクマたちがそこ らじゅうをうろつき大きな足跡をのこしていました。