ブナの実豊か雪少なくクマの冬眠遅し

19日に広域市町村圏組合議会の定例会があり、その議案説明を昨日午前に受けました。

週間天気予報は14日には猛吹雪、以後も連日の降雪を知らせましたので、「積雪前の最後のブナの森へ」と集落近くの渓谷に入りました。目的は、ブナの実を食べているクマを目にすることです。

昔から村のマタギ(狩猟者)たちは「冬至(今年は22日)までにクマは穴に入る」と言いました。が、それはいわば一般論で、「食べ物の少ない年は穴入りが早い」ともされ、逆に今年のようにブナの実が豊かな年は、少々の積雪があっても雪さえ除けられてブナの実を食べることができれば「穴入りは遅い」ということを長年クマの習性を見続けてきたマタギたちは言い伝えてきました。

今年はそのブナの実が豊かで、しかも日向の急斜面は積雪も少なく落ちたブナの実が特定の箇所に多く溜まることもあってクマはそういう場所に多く集まります。新雪を掘ってブナの実を食べるクマもいますが、今年は12月ももう半ばなのに積雪が少ないので、雪を掘ることなく豊富なブナの実を何の不自由なく食べられるというわけです。

きのうは、そういう状況を敏感に覚ったマタギのAさんがこちらより先に渓谷入りしていました。ブナの実を食していたクマをすでに1頭発見し双眼鏡でながめていました。かなり大きなクマで、発見箇所の崖と川をはさんだこちら側にはそのクマらしい新しい大きな足跡もあります。そうこうしているうちに、そのクマから数十㍍ほどの所にもまた大きなクマがいるのを発見。親子ではなくその2頭はまったく別々の大きな成獣個体です。

この斜面はクマが食事でよく寄りつく崖林で、その後、やはりマタギのBさんとCさんもかけつけ、Bさんがそこから50㍍ほど離れた箇所でクマを一頭また発見。さらに幾百㍍離れた箇所でBさんが小さな一頭を目にするなどで、急斜面はクマの銀座のようににぎやかでした。この日はクマまでの距離が遠すぎて捕獲はできず、みなさんも私も、姿が長い時間見えなくなったり短時間現れたりのクマを5時間以上眺めての帰りとなりました。

こちらは双眼鏡も三脚ももたずで確認は肉眼とカメラの望遠のみ。よってクマの動きは肉眼でしか追えずでしたが、かろうじてカメラにはクマの姿がおぼろげに入っていました。

きのう夕方からは雨が激しくなり、今日は大荒れのお天気で大雪が予報されています。なので、このクマたちもさすがにもう食事をあきらめ昨日のうちか今朝冬眠穴に入ったか、あるいは入る穴に向かって移動の真っ最中でしょうか。近くには、こちらが知っているだけで上等な冬眠穴が3つもありますから、そのうちのどれかに落ち着こうとクマが居を定めた可能性も高しです。でも、今年は食べ物が豊かだから少々の雪など彼らにとっては何の苦にもならず。いましばらく雪をかき分けブナの実を食べ続ける個体もいるでしょう。クマのもつ生命力の強さをあらためて感じさせられた13日の「クマ銀座」模様でした。