集落・里山一番の大ビラ(大雪崩)落ちる

予報通りの吹雪でまた寒空が2日続き、その後にはようやく春を呼ぶようなお天気となりました。

その吹雪の直前には、わが集落真向かいのヒラ(底雪崩)多発地帯で、最も大きなヒラが落ちました。大雪だったせいもあるのでしょう、過ぎた日の雨天で村の里山では規模の大きなヒラはだいぶ落ち、氷で厚く固められた雪塊、氷塊がそこではなくなりました。雪崩跡では、そこに今後新たな降雪があり雪が積もり重なっても、その新雪は層が薄く比較的軟らかで雨が降ればすぐに解けるはず。なので、この春の山菜はいつも通り順調に早く芽を出してくれるでしょう。

きのう所用を果たす途中、合居川渓谷入り口のブナの森を入道地区から眺めました。新雪がブナに降り注いだ後に陽が差し込みましたので、思わず「うわーッ、きれいだな」とつぶやいてしまいました。午後には大曲まで行きましたが、横手から仙北地方まで、奥羽の尾根では新雪をまとったブナがやはり春の陽射しに輝いて見えました。きのうなど、県境深山のそうしたブナの森へ通ったら、すばらしい景色をながめることができたと思われます。

豪雪の今年は、当然ながらいろんな意味で雪対応のあれこれが多く、まだ冬の深山までへは足をむけることができないでいます。森と新雪がつくる「自然の美術展」を観に早く行きたいものですが、そんな、人に都合のよいお天気と日程やりくりはなかなかできないでいます。

今朝は、夜中に降ったほんのわずかの雪に陽射しがきらきら。ノウサギたちも新雪が深くないので歩きやすく、活動範囲がいっきにひろがっていて、住家軒下近くにまで足跡を残しています。

来年度予算案概要の説明会

昨日は、村長出席のもとで村の来年度予算案(主に一般会計)の内示会が開かれました。一般会計の総額は34億7,500万円で前年度当初予算より1億7,800万円の増となっています。

昨日は議会運営委員会も開催され、3月定例会議の日程を3月5日~19日までと決めました。3月定例会議提出の議案とより詳しい予算案の説明は3日の全員協議会でおこなわれます。

▼16日に予定したものの、警報級の悪天で急きょ取りやめていた災害対策特別委員会の豪雪被害などに関する現地視察がきのう行われました。

昨日も時折の激しい降雪と吹雪模様のなかでの視察となりましたが、農業用パイプハウスの倒壊破損現場や、村の畜舎の軒破損現場、国道、県道への落雪危険箇所、村営住宅からの落雪、倒壊すれば通行者への危険可能性が考えられる空き家などの視察をおこないました。

懸命の除雪を行ったにもかかわらず被災した農業用パイプハウスについては、昨日お知らせしたようにすでに農家や関係する団体から要望書が届いており、これに沿ったいち早い支援が必要で、村はそのための可能な対応策を順次とろうとしているようです。

また、目立つ被災はなかったものの、被害をなくすためにあらゆる手段で除雪対策に尽力した農家へも、除雪費用などでの支援が考えられていることも視察後の講評で表明されました。道路法面の落雪防止についても、これまでとられてきた対策にとどまらない抜本的な策の必要性も、すでに村から県へ伝えられている旨も説明されました。落雪構造の村営住宅については一部で通行者などへ危険が及ぶ可能性のある箇所があり、とりわけ豪雪時にはそれにふさわしい危険防止策を適宜とることが必要であることも確認されました。

これまでもそうでしたが、空き家対策は今冬の豪雪でも大きな焦点、課題です。「家屋の屋根雪対策」という豪雪地特有の空き家がかかえる課題があり、この点もふくめ行政とのかかわりで問題を解決する方策が求められています。管理放棄空き家はますます増えることが予想され、これは全国的な今後長期にわたる課題として解決に向けた重要な検討課題といえます。

最高積雪深の更新は終わりか

今冬、我が家の屋根から下ろし積み重なった雪はこんな状態。雪の小山の頂部は二階の戸よりも高くなっていて棟まで届くほど。二階からの出入りがごく簡単にできます。雪の重さでじわーと折れ曲がった車庫・格納庫の軒も降雪の度に滑り落ちた雪がつかえ、今は雪下ろしではなく主な作業は雪掘り。

昨日から今朝にかけては猛吹雪。でも予報どおりだと冬本番は今日が底。明日あたりを境に積雪の減る季節へと確実にうつると思われ、もう最高積雪深が更新される日はないでしょう。春をあらわすことばが日毎に多く交わされるようになるはずです。

今日は、来年度予算案の概要説明を受ける議会全員協議会(予算内示会)が開かれ、後に、災害対策特別委員会による豪雪被害現場などの視察がおこなわれます。

議会には、JA関係と農業者組織「田畑会」から豪雪被害対策の要望書が届いており、また村にはほかに農業生産法人連絡協議会などからも要望書が出されています。議員個々や議会事務局でもすでに被害現地を幾度も視て状況はつかんでいます。しかしそれはそれ、今日は議会全体で現況をとらえ、今後の雪対策に活かすための視察行です。

今日は、3月定例会議(5日に開会予定)の日程を決める議会運営委員会もあります。大雪の冬だったから余計そう思うのか、あれよあれよという間にもう2月が過ぎ、3月議会をむかえようとしています。

農業所得のマイナスつづく

19日金曜日は、村税務課によるわが地区に割りふられた税申告相談日。例年のように住民の方々への懇切丁寧な助言のもとで手続きがスムーズに進められていました。今年も新型コロナ対策で、相談者の密を避けるため地区を細やかに分けての日程がとられています。

村会計の決算からもうかがえますが、村の農業所得(収入)の低下がいちぢるしく、過去5年連続で村全体の所得はすべてマイナスです。その傾向は一部をのぞき今年度の申告でもおそらく同じでしょう。我が家も、作付け規模が小さい割には、トラクター、田植機、コンバイン、乾燥機、籾すり・調整機械など農機具の修繕費などが多く、さらに肥料代や農薬費、そして多額の苗購入費が加わります。

申告の時をむかえる度に「こんなに赤字なら、田んぼ作付けをやめ、コメ買って食べる方が増えているのは当然だな」とつくづく思ってしまいます。機械、とくに壊れやすく費用がかさむコンバインなどは、使用年数が古くなるにつれ修繕費も驚くほど大きくなるからです。お米の価値が下がるにつれ田んぼの荒れも増加の一途。世界全体の食糧事情を考えても、水が豊富でこれだけの農地をもっていながら作付けされない面積が増えている我が国の現状に「こんな政治でいいはずがない」といつも思います。

▼18日の集落はずれの庚申塔です。この日、大柳地区の積雪は295㌢。村の今冬の最深を記録しました。明日から2日間ほど、今冬最後の本格的な雪降り日の続く予報があり、それに備えて週末から休日はあいかわらず車庫、農機具格納庫の除排雪に動きました。

そろそろ積雪が増し続ける季節は終わり。これからは雪降りはまだまだあるものの最大積雪深を更新することはほぼないものと思われます。ですからできれば屋根雪にはもう手をかけたくないのですが、軒だけは雪から離しておかないと雪が解けるときの引っ張り力で軒破損の心配があり、これは用心のための除雪作業でもあります。

日曜日にはわずかの陽射しに誘われて自宅前の河川敷を散策。成瀬川のせせらぎはもう真冬のもの静かな川面ではなくなり春色に。雨天もあったことから流れは勢いを増しています。伏流水に育つクレソンも日増しに緑色を濃くしています。緑が鮮やかになってきましたので今日は片手にもてるほどの軟らかな芽を摘みました。

道路沿いでは、秋にどこかへ隠していたのでしょうクルミを咥えているカラスをよく見かけるようになりました。車に割らせて食べようとする得意の賢い動きです。彼らにとって今の季節が食にもっとも困る時なのです。

視野をひろげて

およそ700万年~500万年前、猿から進化しアフリカ大陸に出現した我々の先祖猿人は、20万年ほど前にさらに進化をとげホモ・サピエンスとよばれる新人となった。後に彼らはアフリカ大陸の外へ出て世界にひろがり、現在、同胞は80億人近くを数えるほどになっているという。こうした人類史のイロハ程度のことは学校教育で教えられていることだから人々の常識だろうが、私のように学校もふくめ学びがきわめて浅かった者にとっては、その常識水準のことがとても新鮮に受けとめられる。

昨日も、繰り返し読んでいる本を棚から取り出し、雪との難儀な向き合いでずいぶん狭く縮こまっている頭の回路を少し拡げ軟らかくしようとした。手にしたのは、折に触れ愛読している「地球の歴史」(中公新書)である。著者は地球科学者の鎌田浩毅(かまたひろき)京都大学教授。

鎌田氏はこの著書のなかで地球の歴史を論じながら、その歴史のなかでごく瞬間をしめる人類の歴史にも触れ、世界規模の大きな人口減少が地球規模でおきたことを著している。はじめの減少は10数万年前にはじまった地球の寒冷化・氷期によるもので、世界はこの時「総人口は1000人を切るほどまで減ったと推定されている。」と記されている。

鎌田氏は、地球規模の環境変動をみれば現在は温暖な間氷期にあるが、その温暖な期間は今後1万年程度は続くもののやがて寒冷化することを述べ、今迫る人為の温暖化とは別に、全体としては温暖から寒冷期に向かう途上にあるのが今の地球だという。

とりあげている人口減少の歴史はそれだけではない。今から7万4千年前の巨大噴火によって、この時期の総人口が約1万人から3千人にまで減少したことも著書は述べる。

最大級の自然災害といえば我々は体験上から大地震を真っ先に想像するのだが、地球規模でみれば大地震は局地的な災害とされる。それに対して巨大噴火は世界規模の災害、人類全体の生存に大きな影響を及ぼしてきたことが様々な側面から考えられるらしい。長いスパンの地球環境のうごきから、人類にとっての将来を見つめるとともに、現在の環境問題、とりわけ自然災害との関係で鎌田氏は火山噴火が与える影響の大きさを指摘する。ほかに太陽黒点と宇宙線が及ぼす地球環境への大きな影響も掲げている。

6500万年前のメキシコ・ユカタン半島への小惑星(直径数10㎞)衝突が恐竜をはじめとする生物大絶滅の原因ということは、これも今では世界の常識らしい。小惑星衝突は数億年に一度の確率とされるからそれは脇におくとして、巨大火山噴火による地球規模の災害は、たとえば北米大陸イエローストーンの火山はいつ起きても不思議でない期にすでに達しているという。日本でも、国内最大級のカルデラ噴火は約7千年に一回の頻度で起きているので、「次の巨大噴火がいつ起きても不思議はない事になる。」と鎌田氏は述べる。いつおきても不思議でないとされる列島を襲う数多の大地震と同じなのである。

自然災害だけでも、局部的な大地震にとどまらず、人類や生物の生存にとってこれだけの規模の地球や宇宙の法則がはたらくことを人類は知っているのに、さらに加えて人類は自らの手で環境破壊の地球温暖化を産み、自らの手で人類を絶滅に追い込む規模の核兵器を持つに至った。

温故知新という。それは、近・現代史の人々が発しあらわした言葉や行動から過去をよく知り、未来にその教えを活かすというだけでなく、もっと視野を広げ地球史規模で我々の存在を知り、未来を見据えることだと思われる。その点で、ここでとりあげた「地球の歴史」は私にとってとても参考になる書籍である。

今わかった段階での人類の歴史を巨視的にみれば、世界80億人近くの人々はみなアフリカ大陸を故郷とする親戚同士。そういうおおらかな視野にたてば、特別の道徳観がなくても今あらゆるところで問題になっている差別や蔑視、あるいは政治がからむ悪行や破廉恥、醜悪な犯罪はもとより、思想信条、宗教などのちがいを理由として多様性に寛容でない心を因とする分断もうまれなかったであろう。人類は、よくいわれる「宇宙船地球号」にたまたま同乗した一員というだけにとどまらず、われわれはすべてにわたって隔てや差のない「もとは同じ家族」という構成体員ともいえるのである。お互いを尊重する心と行動があれば人類社会に大きな分断はうまれないのである。

我々のはるか遠い祖先は、アフリカから出て4万年ほど前に日本にまで達し、やがて豪雪の土地にまで足を伸ばし居を定めたらしい。後に、たまたま我々は奇跡のような数万年もの命の連鎖をたどった祖先のおかげでここに生を受け、あるいは縁があってここに居を定め、豪雪とむきあう人生を今おくっている。

自然の法則による地球規模の環境変動は我々の手ではどうしようもないが、人間の手が原因となる環境変動すなわち地球温暖化や核兵器などは、人類のつとめで防ぎなくすことができるものである。そういう地球規模、人類規模のつとめを大きな視野で見つつ、自分でできることをこつこつと果たしながらまずは生きたいもの。

その一方で、豪雪に生きる当座のこの難儀なくらしを少しでも軽くできるよう、みんなで今の時代にふさわしく豪雪の土地をもっと生きやすく過ごせる方策、智慧をさらに出しあいたいものである。

豪雪もあと少し、がんばろう!

東北大学文学部教授をつとめられた歴史学者の高橋富雄氏は、著書「もう1つの日本史・徳間書店刊」の中で、越後塩沢の鈴木牧之(すずきぼくし・1770―1842)が著した『北越雪譜』を引用しながら、雪ぐにのくらしの特徴を述べています。

たとえば『北越雪譜』のなかの「雪意」の節を引いた部分の解説で高橋氏は、「生活も産業も労働もここでは、春は春、夏は夏、そして秋は秋とじっくり熟成した形をとることができない。冬型の陰の文化にユックリで、夏型の陽の文化にセッカチな人間類型は、こうして、長い冬の論理学の所産なのである。」と述べ、冬の間の半年間だけでなく、それ以外の季節も冬にそなえて生きる雪国の人々の特徴を記します。

とりわけ今冬の豪雪地帯は、鈴木牧之や高橋富雄氏の著書からもうかがえるような、雪とむきあう暮らしに内在する厳しい側面をそっくり感ずる規模の大雪となり、「雪国で生きるのは、なかなか大変なもの」と思われている方も少なくないでしょう。

そういう豪雪の県南の中でも、特別に雪の多い地区のひとつであるわが村。雪のそれほど多くないところ、あるいは西日本や太平洋側などのように積雪がほとんどなかったり降雪はあっても積雪が固定化しないところの農山村でも過疎化や高齢化が進む中、わが村はこれだけの豪雪の土地であっても、なんとか踏ん張って過疎でも高齢化でも雪のない地区とほぼ同じ指数位置で村を維持し、人々のくらしが営々と築かれてきました。これは、わが村だけでなく、県内の豪雪地帯、全国の豪雪地方に生きる人々も同じでしょう。雪国に生まれたから必然といえばそれまでですが、豪雪の土地に生きるのは、いろんな意味で「誇り」といえるのかもしれません。

前置きが長くなりましたが、豪雪の土地に生きることをじっくりと見つめ直してみたいと思い、以前に読んだ高橋氏の著書を棚から出して雪に関する部分の一部を引用したところです。

世界有数の豪雪の土地で、リンゴ、サクランボ、ブドウなど果樹栽培の長い歴史をもつ秋田県南地方。特産地としての誇るべき地位を築いた農家のなみたいていでない努力を先日ここでも記しました。

昭和の後半年代からはそれと同じように、豪雪の土地では以前には考えられないようなパイプハウスを利用した花卉園芸や夏秋トマト、キュウリなどの野菜栽培が、そして平成年代にはやはりハウス施設による菌床シイタケも急速に普及しました。

同じ雪国といっても秋田県南地方は、積雪のみられる地方という程度の雪ではなく、そこは文字通り「豪雪の地」。その土地で大雪と向き合ってこれだけの栽培実績を築いてきた農家のみなさんの努力はほんとうにたいしたものだと思います。

今日、このことをまたあらためて記したのは、今冬の豪雪のなかでもそういう努力を続けておられる農家のみなさんへの敬意を、あらためてあらわしたいからです。

災害救助法が適用されるという、豪雪の中でもなお異例の豪雪のなかで、施設の倒壊を防止できなかった農家や経営体が多くありますが、そこでは倒壊を防ぐための懸命の努力が続けられていたことを私たちは目にしています。しかし諸々の条件悪が重なったためか、被害をうけたというのが現実でしょう。

先日、パイプハウスで花卉栽培を長年続けている県南の篤農家のAさんから、今冬の豪雪の中でハウス施設を倒壊からまもった苦労体験をお聞きしました。そこはわが村とほぼ積雪量が同じ地区です。Aさんは「こんなに雪で難儀した年ははじめてだ。雪、落ちなくて、寝ないでハウスの雪寄せしないと間に合わなかった」と語りました。そうやって、彼は多くのハウスをひとつも倒壊させることなくまもりきったそうです。

この3日間、そういう努力をしている農家への追撃となるような大雪がまたやってきました。県南地方では今日も、ハウスをつぶさないための、果樹の枝を折られないための豪雪との懸命の格闘が続いています。

それは、暮らしのすべてが雪を抜きに語れない所に生まれ、そこで生きてゆく覚悟を決めた人間たちの誇りをかけた挑戦ともいえるのでしょう。度を過ぎた大雪はまさに災害。行政を軸に、ともにささえあいながらがんばりましょう。

今冬トップクラスの暴風

全国町村議会議長会から豪雪で災害救助法が適用された村へお見舞が届きました。ここに深くお礼を申し上げる次第です。ありがとうございました。

ところで、最高震度6強となった13日夜の福島沖を震源とする地震被災地のみなさんは、雪こそないもののその後の雨や強風で大変だったと思われます。負傷された方をはじめ被災されたみなさんへ心からのお見舞いを申し上げます。

おとといの雨で、成瀬川は今年はじめて規模はそれほど大きくないものの増水となり、流木が濁流に揉まれ浮き沈みする様子も見られました。

昨日は、冬の季節特有のアマゲェシ(雨返し)と呼ぶ雨天後に決まってやってくる強風が荒れ狂いました。わが集落は村内でも「風の強い地区」で名の通る所。我が家も、13日は震度4クラスでぐらりぐらりと揺れ、きのうはまた台風規模の強風でと揺れが続きました。劣化した家は、地震や暴風のこんな揺れが繰り返される度にひび割れが少しずつ増えているようで、それは老化しているこちらの肌のシワが増えているのと似ています。

風は強いものの午前にはいったん収まった雪。しかし午後からは予報通りの猛吹雪・地吹雪となり今朝になったら大量の雪が吹きだまりとなっています。道路除雪のみなさんも、今朝は今冬でもっとも特徴的な吹きだまり除去作業となったでしょう。いよいよ地吹雪が激しくなる季節到来です。

あまりの荒れ空でどこにも行けずのきのう。役場で朝の定期所用を済ませて後は、家周りや納屋まわりの強風対策や、強風と雨による増水で集まる用水路取水口や池のゴミ詰まり掃除の一日となりました。

雪を負とだけ見ず

県南にはまたも大雪が予報。多くの人々にとって豪雪はくらしにとって大敵以外のなにものでもないと思うなかでこの冬を過ごしているでしょうが、それは大人社会に限ったこと。

子どもたちにしてみればスキーや雪遊びのできる冬は、春、夏、秋と同じように、あるいはそれら夏季よりもなお楽しい季節なのかもしれません。

自分の子ども当時のことを振り返っても、記憶に濃くのこる数々の出来事の多くは冬の遊び、雪の遊びでした。かまくらの数倍もの大きな雪の山の中に雪の洞窟通路を縦横につくり、お化け屋敷のように真っ暗な通路やたくさんつくった室のなかでふざけあったり、いちばん大奥の大部屋の中には稲ワラやむしろを敷き、ろうそくで灯りをとりながらトランプや花札遊びをすることなどはしょっちゅうありました。スキーも、まわりの山などをふくめあちこちの斜面でお金をかけず自由に滑るのがごくあたりまえでしたから、今の児たちよりもなお雪遊びは多彩だったのです。

わが集落ではマタギと呼ばれる狩猟者も多く、そこの子どもたちは小学校高学年から中学にかけてはウサギ猟の勢子役(追い出し役)として父親たちと同行することも時々ありましたから、それも楽しい遊びのひとつだったわけです。そんな猟のまねごとをして、木や針金でつくったパチンコを手に、小鳥を撃ちに雪の山をかけまわったり、リスやバンドリ(ムササビ)の巣をのぞこうと高い杉の梢にのぼったり、樹洞をさがしたり、ウサギを捕らえる括りワナをしかけたり、テンやイタチをガバサミ(小型のトラバサミ・現在は狩猟法で使用禁止の猟具)や竹筒ワナで捕り小遣いかせぎをしたりという子ども当時の体験を思い出せる方もいるはずです。

遊びの内容は時代とともに変わりますが、雪を楽しむ子どもの心はいつの時代も豊かです。過ぎた休日は、久しぶりに訪れた童たちの雪遊びにおつきあい。

近くにある手頃な高さのクルミの木に、にわか支度のブランコをつくったり、河川敷堤防の斜面でそり乗りをしたり。歓声があがったかと思えば、ブランコから逆さまに落ちて泣いたりと童たちの世界はにぎやかなもの。そんなひとときを過ごしている時は、「雪は大敵」の思いがどこかに飛んでいってしまうものです。

大人社会では「豪雪は大敵」がごくあたりまえと述べましたが、その雪がなければ暮らしや経営が困る方もおり、また逆にその雪を活用しての人の営みもあります。なにごとも適度であってほしく、被害を大きくするような「度の過ぎた豪雪だけ」は困るという程度の今社会の人間の愚痴なら、自然も聞きとめてくれるでしょう。

▼昨日から今朝にかけては雨。村の各地で大小のヒラ(底雪崩)が頻発しました。台風規模の低気圧により今朝からは雨に変わり猛吹雪。今後三日間ほどは新たに1~2㍍の降雪も予報され、今日予定した災害対策特別委員会の豪雪被害調査は24日に延期しました。

続いた心休まる晴れ空

2月半ばに晴れ空が3日も続く週末と休日を過ごしました。

空の青を目にし、ほんのかすかながら春らしさを帯びた陽射しを浴びれば、体があたたまるだけでなく鉛色の雲に押さえつけられ鬱屈気味でいた心もほっこりと休まるような気がしました。

成瀬川の岸辺では早くもネコヤナギが姿を見せるようになり、伏流水に育つクレソンも緑色を濃くし始めました。おちこちの路傍では、盛りのついたらしいオス猫がうろうろする姿も。雪原にはユキムシの姿もいっぱい。春は一歩ずつ近づいているようです。

週末、滝ノ沢~平良の道路を通ったら、200㍍ほど先をオスヤマドリが横切りました。飛翔の様子をみれば着地姿勢でしたので「雪の上を歩いているかもしれない」と車を止めて雪原をのぞいたら、見事な尾羽のオスヤマドリが雪上を歩いていました。しかし警戒心の極度に強いカレはこちらに気づくのが早く、カメラをむける暇もなく瞬時に飛び立ってしまいました。画面の真ん中に羽根をひろげて飛んでいるその鳥が写っています。拡大してやっと存在がわかるほどです。春が近くなれば、食や砂嚢用の小石を求めて土肌の見える箇所に寄るヤマドリの姿がより多く見られるようになり、私は彼らの動きからも春近しを感じ取ります。

▼12日の金曜日は、県町村電算システム共同事業組合議会の定例会、県町村議会議長会の理事会などで秋田市へ。電算議会では、平成3年度の当初予算6億3,483万8千円などを可決。理事会では来年度の事業計画と予算を決めました。理事会の主要事業は、来年度も新型コロナ禍でかなりの制約をうけることが予想されます。

今冬の秋田市はいつもの年よりやや雪が多いようですが、積雪2㍍を越えるわが集落と比べれば雪はほぼ無いのと同じ。八郎潟周辺から能代山本地方の議長さんの中には「我々の町は秋田市より雪が少ない。田んぼの出ているところもあるよ」と語る方もおりました。毎度のことながら、2月の会議で秋田市へ通う日は、同じ県内でも沿岸地方の雪の極端な少なさと県南内陸部の豪雪のすごさを知らされる時となります。

休日は相変わらず軒につかえた雪掘りなどで過ごしました。今週に寒気の襲来が予測されていて、それに備えたつもりです。今度来る寒気を過ぎれば今冬の冬本番は峠を越してくれるような気がしますが、果たしてどうなるか。

愛くるしい訪問者

おととい午後のこと。この冬に何度も家まわりに飛んできている1羽のシジュウカラが、曇った窓をはさんですぐ外の雪の上にいるのを室内から目にしました。

しばらく様子を見ていての後、カメラを取り出し外に出て写そうとしたら、こちらを早くに見つけそばの木に飛び移ってしまいました。

鳥たちを写そうとする時はたいていこんなことが多いのですが、この日はいつもと少し違う展開がそのすぐ後にありました。なんと、そのシジュウカラが、家の風除室にまで入り込んできたのです。

たまたま玄関の戸が少し開いていた時にそこから入り込んだらしく、気づいたこちらが居間から玄関に近寄り追い出そうとしたら、こんどは逆に居間にまで飛び込んできました。

室内のわずかの隙間に隠れて出てこなくなったのを、やっとのことでつかまえ外に飛ばしてやりましたが、その後もシジュウカラは家のまわりからはなれず近寄ってきています。

先日は困りもの訪問者のアオゲラくんを載せましたが、そんな訳で今日は、どなたが見ても「可愛い」といいたくなるでしょうシジュウカラです。つかまえた時には必死の目つきで逃げようとこちらの指先を小さな嘴で激しくつつきました。命をまもる術としてつかえるのは嘴だけでしょうからそれは最大限の抵抗だったわけです。生きているシジュウカラを手中にしたのははじめてですが、これほど激しい防御の動きをしたのには意外を感じました。「か弱い小鳥でも、命がかかればこんなに必死の抵抗をするのだ」ということを教えられました。

冬の間、我が家のまわりによく訪れる小鳥たち。みんな目的は食にありです。軒先に棲むクモなどの虫を食べるのはシジュウカラの仲間とアオゲラ。それに雪消し水が常に流れる舗装面に棲む水棲昆虫を求めにしょっちゅう飛び寄るのはセキレイ、そしてなんでも食べほうだいのカケスやヒヨドリの仲間たちです。

▼「これが今冬最後の雪下ろしだろう」と、田んぼわきにある小さな農具置き場の雪下ろしにきのう向かいました。終わって、田んぼそばの秋田杉の美林を通り小高いミズナラの森から集落を眼下に。気温の割には風が冷たい一日となりました。

毎冬のように森の中にあるタヌキとアナグマの巣に立ち寄りました。夏場は出入りしている土穴がたくさんあるのですが、いつの年も冬は雪のために2つか3つに出入り穴数は限られています。しかし今冬はこの通りの大雪。アナグマは冬眠中でしょうが、冬でも活動するタヌキたちは豪雪で出入りが難儀なためか、今年はたった一箇所の出入り口を確保しているだけ。さすがタヌキ、賢しいもの。積雪3㍍を少し越えるだろうこの場所、土穴の上のほぼ垂直の3㍍深さの雪穴を彼ら一家は出入りしているのです。たいしたものです。