ニホンジカ次々目撃

村では、ツキノワグマの目撃情報はごく当たり前のことですが、先日は、人とクマとの偶然と思われる出会いもあり人的被害がおきました。

クマは、果樹やトウモロコシ、そして近年は稔り始めた田んぼの米を食べるなど農作物への被害とともに、このように人へ危害を加えるなど実にやっかいな存在となっています。

村では、大きな野生動物といえばクマとカモシカがその代表で、はるか昔には生息していたニホンジカやイノシシ、サルの群れなどは途絶えていました。

ところが、ここ数年、かれらが隣県から県内へどんどん入り込み、冬の間も定着して生息域をひろげているようで、豪雪の村でもシカやイノシシの目撃例が度々聞こえてきます。

シカは群れとしての確認事例は村では聞いたことがありませんが、イノシシは村境の里山で群れが幾度も目撃されており、すでに村内でも群れで生息しているものと思われます。

シカの目撃例は、ほとんどが一匹で、それはたいがいオスジカです。ということは、群れもすでに村内に定着している可能性が大きいといえます。

▼写真のニホンジカは、7月13日に、村内岩井川城下の国道そば、田んぼの脇にいたニホンジカです。役場職員のTさんとご家族が国道を走る車内から目撃、スマホで撮影したという写真をお借りしたものです。このシカは一定時間のうごきを動画でも記録されています。岩井川ではほかにも国道397号の沼ノ又地区で6月末にシカの目撃例があります。

シカもイノシシも、昔はあたりまえに生息していた村だったでしょうが、それが人の手で遠い昔に絶滅しました。ですから村での彼らの生息はいわば「復活」ということでしょう。

豪雪の村ですから、真冬にはたとえ越冬しようとしても深い雪では天敵(人間)から逃げることはムリなので、特別豪雪地帯の山間部で生息数を増やすと言うことは困難のはず。そういうことで一度は県内から絶滅したといえます。しかし、雪の少ない日本海沿岸部の里山や出羽山地、あるいは平野部の丘陵地帯なら同じ県内でも天敵(人間)の狩りで捕獲できるのはごく一部に限られ、彼らは生息数を漸増させることが可能と考えられます。

それらの地域で生息数が増えれば、雪のない夏場には村など奥羽山脈の山間部地域に彼らが群れで移動することは当然考えられ、前述したようにすでにその群れの兆候もあります。

そうなれば、村でも農作物への被害発生が考えられ、その規模はクマなどの比でないことは太平洋側の現実をみればすぐに想像がつきます。クマとともに、イノシシ、シカへの被害対策も考えなければならないのか。予測できなかった現実が我々の目前に迫ります。