湯沢雄勝(主に湯沢市三関・須川地域)と横手平鹿(主に十文字町・増田町)特産のサクランボが収穫真っ盛りです。主力品種の佐藤錦が家庭でも贈答用にもひっぱりだこです。
我が家でも、身内の果樹農家から今年の初モノを先日いただきました。今年は晴天続きでしたから、実の甘さもいつもの年より濃いのかなと感じながらごちそうになりました。
穀物の小豆が先物取引のひとつの象徴として小説「赤いダイヤ」でとりあげられました。同じ赤色の食べ物でもこのサクランボは、文字通り一粒一粒が「真っ赤なダイヤ」と言いたくなるほどに輝いていて、食べてしまうのになんだか気がひけるほどです。
さて、一方の野の木の実たち。先日ご紹介した自宅前のサルナシ。花時は過ぎ、もうこんな小さな実を結んでいます。花の数に比べて実の数は極端に少なく、ほかの野の木の実たちと同じようにすべてに実がつくわけではないようです。これから9月の末頃まで、散策しながら、実が大きくなり熟すのを見続け、待ち続けます。
モミジイチゴも開花の早かった樹では実がオレンジ色に熟しはじめています。木イチゴの仲間では最も早く食べられ、美味さも一等級のモミジイチゴ。あと一週間も経てばほとんどの樹で楽しいもぎ取りができるでしょう。
食べられる木の実で、この季節にもうひとつあげておきたいのはトズラゴ(クマヤナギ)の実。いま黒い色の実は、昨年に花を咲かせ結実し赤色の実がやがて長い冬を越してようやく黒く熟した実です。今年の花はこれから咲くようで、熟した実のそばで白みがかった薄緑の花穂をいっぱいつけています。実は、甘さはあるものの薄い渋みもあり、お世辞にも「おいしい」とはいえない味です。でも、貧乏で半ば「欠食児童」みたいな60年ほど前のわがガキの頃は、ガキ仲間たちと競って取り合い食べた木の実でもあります。
トズラゴのそばには、サルトリイバラ(猿捕茨)ももうこんなに大きくなった実をいっぱい着けています。こちらは食べる実ではなく、葉っぱは容器として使われたり根は薬草として珍重する地方もあるようです。私は、秋に朱色となる実の美しさに惚れていますが、とっても鋭いトゲトゲ(茨)がいっぱいある樹です。
田んぼ脇の土手でまだ私たちの目を引くのはウドザグ(ハナウドの仲間)の花。これから花を咲かせるシシウドやエゾニュウと同じで生育条件がよければ草丈は2㍍をこえ野草としてはサシドリ(オオイタドリ)とともにもっとも背高ノッポの仲間に加わります。サグ(シシウドやエゾニュウ)とちがい茎の中は空洞ですが、それが力の法則にかなっていてこれだけノッポなのに強い風にもしなやかに耐えられるのでしょう。花をよく観ると、ちょうどシシウドなどと同じで打ち上げ花火のようななんとも派手なかたちをしています。花火はいわば希望の象徴のようなもの。ハナウド類は観る人に「希望」を抱かせる花ということもできるのか。「ハナウド」という名がいかにもふさわしく感ずる花姿です。