カルガモはどうなった?

先月9日と12日に出会ったカルガモの卵。それからほぼひと月近く経った去る3日、もう巣立ちをして「巣」は空だろうと立ち寄ってみました。

予想したように、巣に近づいてもいつもなら飛びだす親鳥は飛ばず。さらに歩をすすめて巣の跡の窪地に目を向けたら卵殻が割れた状態でちらばり、巣の外にも殻がいくつか転がっています。

卵は全部で8個あったのですが、巣や巣のまわりの殻を拾い集めてみても8個分には何個か不足のようです。

はてはて、8個の卵は結局どうなったのかわかりません。全部が雛となったのか、一部が雛となったのか、それとも全部がカラスや獣、ヘビなど天敵に襲われ孵化できなかったのか、殻をみていろんな想像をしてみました。

手にのせているのはその卵殻の一部です。専門家の方なら「雛が自分で内から殻を割って出てきた跡か、それとも天敵が卵を食べようとして口やクチバシで外から割った跡なのか」殻の割れ状態をみればわかるかもしれません。

仮に孵化できたとしても、か弱い命、飛べるまでには天敵からの襲撃がつづきます。われわれがよく目にするカルガモですが、成鳥になってあのように大空を羽ばたけるのは、産みおとされたうちのほんのわずかの「幸運の命」たちなのですね。

▼おとといの朝、台所に立つ妻が「あっ、アカショウビンが鳴いている」と言います。耳を澄ますと、自宅そばの沢筋からキョロロロロローン、キョロロロロローンとラテン諸国の楽器を奏でたようなあの特有の鳴き声が早朝のしじまのなかに響き渡ります。

カルガモとちがって、アカショウビンはめったに目にすることのない稀少な渡り鳥。私自身も、これまで野外で実物を目にしたのは2回だけ。鳴き声あれど姿見えずの鳥です。テントでも張って何日も待っていれば写真にできる可能性はありますが、偶然の出会いを待っているだけではなかなか見ることのできない鳥です。私は、朱いこの鳥を火の鳥とよんでいます。

この日の朝も、2回しか聞くことができなかった鳴き声をたよりに、カメラを手にして沢筋に駆け寄りましたが、やはり姿は見えませんでした。今が南から渡って来る季節なのでしょう、村内なら、みなさんの所でも聞こえるかもしれませんよ、キョロロロロローンが。