自然も人も落ち着きの初夏の季節へ

社会が衣替えの6月は、村の山々もそれまでの新緑から深い緑に衣替えの時。

その頃に家庭の庭先で花盛りとなるのが牡丹や芍薬。我が家でも、山陰の牡丹島を訪れた際に求めてきた牡丹が花の盛りです。

牡丹の咲く頃になると、妻が若い頃お世話になった房総半島館山の花卉農家Sさん宅からは、毎年ビワの実が贈られてきます。今年の実はいつもより大きく感じます。

牡丹、芍薬、ビワの実。まもなく県南では特産のさくらんぼの季節もむかえます。初夏を告げる花や実を楽しむ頃になれば田植えもほぼ終わり、昔なら「さなぶり」のとき。

山に鍋を持ち込み、タケノコやあざみのトッコ(茎)、ウルイ、ミズ、ウドなど多くの山菜を、包丁をつかわず手でもぎり、サバ缶詰を出汁にしての「もぎり汁」を家族や友たちと楽しんだもの。初夏の風物詩ともいえる野外での「タゲノゴ汁」、「アザミのとっこ汁」「ミズ汁」がほとんど見られなくなったのも山の村に住む者たちの暮らしの変わり様のひとつです。

農地の集積が進み、年々田植えそのものが多くの農家の手から離れつつあります。給与所得社会となり、農山村の暮らしそのものが全体としてゆったりした流れでなくなっていて、人々の娯楽や趣味の世界も広くなっています。普遍でもあった村の山菜やキノコの「野外鍋文化」はもう復活することなどない社会となったのでしょうか。

村の初夏はタケノコ採りシーズンも真っ盛り。村内の缶詰や瓶詰めの加工業者さんたちはそろそろ大忙しの日々がはじまっているでしょう。我が家でも、先週末に採ったタケノコの瓶詰め作業に妻は大わらわ。「36瓶詰めた」とやや疲れ気味のようです。

加工品づくりというのはめんどうな細かい作業の繰り返しです。我が家の瓶詰めは自家用、贈答用ですが、店頭にならぶ瓶詰めや缶詰の価格が安くないのは、それだけの手間がかかっているから。手を抜けば品質が落ち、また腐敗もおきるから詰め作業すべてには念入りが必須。めんどうくさいことがムリな方は、業者さんに頼むか、味は数段落ちてしまいますが昔のように「塩漬け」にするしかありませんね。もっと簡単なのは「買って」食べることでしょうが。