小さな楽しみがなくなる

年に幾度か都内での行事や会議があり向かいますが、使う交通手段はすべて新幹線。

いつも早い朝飯を自宅でとり出発。普通電車から新幹線に乗り換えればまずはひと落ち着き。そこで待つのはホットコーヒーを売る車内販売。それを飲みながら、四季折々の東北、関東の田園や家並み、奥羽山脈や北上山地などをながめるのが小さな楽しみでした。

……楽しみでした。というのは、これからは小さなその楽しみがなくなるからです。この6月30日限りで、東京に向かう新幹線の車内販売から、ホットコーヒーが消えるのです。

先月29日、都内で行われた会議の帰り。そういうこともあって、新幹線車内販売のコーヒーを「こちらがいただくのは、これが最後」と、大げさにいえば感慨を込めて、いつもより深く味わいながらごちそうになりました。

その際、飲んだ後の空容器を寄せようとしたら、販売員の方が「こちらへ」とその空容器を受け取ってくれました。動いているついでに捨ててくださろうとしたのでしょう。コーヒーの販売がなくなるのは少し残念ですが、販売員の方のこのやさしい気遣いの一言には、心がホコっとあたたまり、うれしくなりました。