手芸と写真の二人展

すでに秋田魁新報紙上でも紹介されていますが、原田ハルヱさん(手芸)と備前源さん(写真)の二人展がこの16日から横手市十文字町のコミュニティハウス ね・ま~れで開催されています。

お二人はいとこで、原田さんの出身地は岩井川。備前さんは私と同級生で、すばらしい写真を若い頃から撮りつづけている岩井川在住の方。原田さんの妹さんも私と同級生ですが、原田さんと我々は歳が一回りほどちがいますし、十文字にお住まいの方ということですので、同じ学校の卒業生であってもこれまで面識はほとんどありませんでした。

きのうは、そんなお二人の展示会に出かけ、秀でた技が創りだした見事な芸術作品を観賞してきました。

私の手元に、世界的に著名な写真家であった土門拳氏(1909-90年)が著した写真論集(ちくま学芸文庫)があります。その著書の最後で土門氏は、「微妙にして美しいものにひかれるこころを養おう。それは自然のすみずみ、野の花、流れる雲にある。人間ならば、含羞のひとにある。」とのべられています。

写真は、それを表現しようとする方の心があらわれるとよくいわれます。備前さんだからこその視点で見つめた自然をとらえる心が、展示された作品から伝わってくる観賞のひとときでした。

原田さんは、手芸に用いる布への愛着を込めた言葉などを、展示室のテーブルに置かれた冊子へ手記模様に綴っておられました。美しい字と文章が連ねられたその冊子の各ページからは、手芸にむきあうご本人の心がひしひしと伝わってきます。

お二人の家筋は、わが村でよくいわれる「てど」のある方々をまことに多く輩出されていることで知られています。「てど」があるとは、ものづくりの技にとりわけ秀でているということで、同じ家筋の「てど」のある方々から教えをうけてきた村人はたくさんおられて、技の伝授は今も村内でありがたく続いております。お二人は、そのすばらしい「てど」の筋に加えて、自らの技を磨く努力も重ねてこられたのでしょう。

今回の展示会をまたひとつの節として、お二人が旺盛な創作にひきつづきとりくまれることをご期待したいものです。

▼きのうは田子内大塚地蔵堂のお祭り日。同集落の愛宕神社も、この24日が祭り日(虫まつりと聞く)。たんぼ脇の地蔵堂と神社には幟がはためき、そぼふる雨の中、地区の親子会による御神輿の練り歩きもみられました。「地蔵堂はお産の神様として信仰が厚く、遠く岩手方面からも参詣者が」と村の郷土誌は伝えます。それだからでしょうか、まわり当番というたんぼ持ち主の家のお母さん方が、祭り日の狭いお堂をまもっていました。