ひっそりと野の花、野の木の実

里山の草木に、華やかさで目を引く花の第1シーズンがほぼ終わりとなるこの季節。

私の関心は、青葉の中でひっそりと実を結ぶ木の実や日陰で花開く木々たちです。

木の実の代表格は、先日もご紹介したカンゴ(クワ)の実で、それに続くは、最近は村でも所々でしか見られなくなったモミジイチゴの実です。2つとも、むかしの童たちにとっては待ちに待っていたこの季節の野からのごちそうで、その甘さを知る方々は、今でも口中に昔の味覚がのこされているでしょう。私の観察するモミジイチゴは、今年は実の大きさがいつもより心持ち小さめのようです。

この季節に熟すほかの木の実では、これはそんなにありがたく食べるほどおいしいものではありませんが、表現にむずかしい特有のわずかな甘さをもつトズラゴ(クマヤナギ)の実があります。昨年にできた実が雪の中で一冬を越して黒く熟すというめずらしい木の実で、蔦状の樹には、今、黒く熟した実とこれから花開き来年に熟す房とがいっしょに着いています。

目立たぬ日陰の花で、美しいという言葉に最もふさわしい代表格はシラグヂ(サルナシ)の花。これも蔦の樹で、秋にまことにおいしい実を結ぶ蔦の葉陰で、魅惑にあふれる花をいっぱいに開いています。これからはカンゴの実も各種の野のイチゴの実も熟し続けますから、そこはクマたちの食事場ということにもなります。山里に暮らしていれば、そういうことをいつも頭にいれておくことも必要です。

▼成瀬川がしばらくぶりで増水するほどの降雨となったきのう、たんぼの草取りで一日を過ごしました。除草の相手は、ここでは「ビッキの鼻通し」とよばれるクログワイ(写真)。

芋状の種から発芽し田植え時の除草剤だけではなかなか絶やすことができないクログワイ。今後の除草剤散布で退治する方もおられるようですが、「春以外は除草剤を使わず」方針のこちらは、毎年、手で草を引き抜きます。

我が家の田んぼはいずこも土深く、当然まだ水が張られていて足が土に深く沈む中での作業です。一年経つごとに足腰の痛みも増しているのを感じつつ、日曜日の都議選で、議員数第一党の歴史的大敗が報じられるニュースをポケットに入れたラジオで聴きながら、「傲るもの久しからずは歴史の法則」をあらためて教えられました。為政者は、政治の主人公が一人一人の民であることを片時も忘れてはならず、です。