清水の生きものたちとご対面

土曜日、集落まわりの山々で本格化したヒラ(底雪崩)が各所に見られるなか、ズブズブと雪に足がとられるほどぬかる雪原を、童とともに清水の湧き口へ向かいました。

目的は、ここに棲むセモリ(サンショウウオの仲間)とサワガニを目にすること。

今年は、サンショウウオもカニもいつもの年よりはるかに数が多く、石を起こす度に「あっ、いる、いる」の声が続いてあがるほど。おまけに今年はなんといまの季節にカエルも石の下の流水にじっとしていて3匹。さらにおまけに名を知らぬ昆虫の幼虫や石の下で冬を越していたクモ(メキリグモとかの仲間かな?)も童は見つけ大喜び。加えて、秋にそばの木からでも落ちたのでしょう長~い芽が出ている栗の実も石を動かしていて発見。驚きと喜びがいくつも重なった石起こしでした。

サンショウウオはこの時期になると動きが夏場とほぼ変わらぬほど。さすがにカニはまだ動きがまったく鈍し。でも、種によって違いはあるでしょうが石の下にじっとしていたこのカエル(アカガエルの仲間で冬から繁殖活動するというタゴガエルでしょうか)は予想外に動きが活発でした。

あいかわらず雪解けの早くない春ですが、清水に生きるミズバショウも新芽をわずかに見せるようになりました。雪解け箇所にはどんどん数が増えているバッケ(フキノトウ)を「かっか(母)におみやげ」「こうやれば、採れるんだね」といいながら童はだんだんと手際よくなり摘み採ります。

成瀬川はやや雪解け水を加え始め、ほんの少し笹濁りの瀬色となっています。帰宅して我が家前からその川をはさんだ向山を肉眼でながめたら、二匹のカモシカが雪崩跡にいます。双眼鏡でのぞいたら、冬の間は常食としている柴木の小枝やまだ堅く閉じている木の芽を食べています。

雪崩のあった急斜面は雪がなくなり低木類や多年草が出ていてそこはカモシカにとってこの季節としては食の宝庫。しかし斜面にはまだ崩れやすい雪が方々に見られます。雪崩跡でカモシカの死体を見ることが時々ありますが、命をつなぐ食と危険な雪崩が隣り合わせる場にくらすカモシカ、こんな光景が自宅前で見られるのも豪雪の村ならではのことです。