集落総出の春作業

きのうは集落総出の春作業。各施設の冬囲いを解したり、国道沿いや成瀬川河川敷、支流の沢にあるゴミを拾い集めたり、幹線用水路(遠藤堰)の泥上げ作業にと、今年最初の共同作業です。

公園のブナの木が若緑の新芽を見せ始めていて、公園、周囲の河川敷や田んぼ、里山にも雪だまりをのぞけば通常の積雪は無きに近し。4月の第三日曜日でこんなに早く雪がなくなり公園のブナが萌え始めたのはこれまでなかったことでしょう。この日は地元部落の総会もあり、村内各集落でも今年度の事業がいよいよスタートです。

▼焼石連峰のひとつ三界山の残雪の白さがひときわ映え、河川敷の柳もいっそう緑を増した晴天の週末。田んぼ25㌃ほどに転作栽培しているワラビ畑への施肥と、畑に生えた樹木や雑草の取り除きに動きました。

以前は田んぼであったものの、ワラビ栽培をはじめればそこはもう原野と同じ。それもそのはず、田んぼ開墾の前のそこは正真正銘の原野、藪だったのですから。

ワラビも決して繁殖力の弱い植物ではないのですが、動物や人間社会と同じでどんな世界・分野にも「上には上」があるもの。植物の世界もそれは同じです。放っておけばワラビ園に増え始める最強の野草軍団は茅(ススキ)、ヨモギ、ホギ(フキ)。樹木では、柳、各種バラ類、ナラ、ヤマグリ(シバグリ)、フジ、クゾ(クズ)、ほかに名前のわからぬいろんな低木類がたちまちのうちに根を張り芽を出します。

人の手が加わらず5年も経てばそこはまた藪、10年も経てば林になってしまうでしょう。減反政策にはじまり、生産者米価の大幅下落とあわせてそういう「元は田んぼ」であった土地の藪化と若齢林化がいっきょに進みました。田んぼがこれほどまでに荒れた様子など、30年ほど前には考えられなかったことです。

さて、草木を除かずにそのままにしていたら、やがてススキや樹木は手で引き抜くのは無理となり、ノコや刃物で切断するしかありません。いちばん望ましいのは、ワラビが倒れた後に毎年火を入れ、昔の入会林野の「茅野」のように焼ければいいのですが、今の時代、火災の危険や法などの制約もあるらしく通常一般個人ではそれはなかなか覚悟のいること。そういうことで、毎年増え続ける木と草をこつこつと取り除いているわけです。

▼その作業を終えたら、先日ご紹介したチヂザグラ(イワウチワ)の小さな花園を「今度は満開になった頃」とまた見学に向かいました。途中のあちこちではショウジョウバカマが花盛りとなっていました。この季節、低木で花らしくない花をつけて目につくのはマメボッチ(キブシ)。低木類のなかでは、多様性の象徴ともいえるような花形です。何しろこれが花ですからね。

田んぼに向かう道路の雪も、今年は除雪機械を動かすことなく先週末までに解け終わり車が通れるようになりました。雪解けの遅かったそこの土手にはチャワンバナコ(キクザキイチゲ)がいま真っ盛り。次いでカダゴ(カタクリ)が蕾を開く寸前まで生長していました。もう少し経ったら、これら小花たちの咲き競いをながめながらの畦削り、そして耕起作業へと入ります。

田んぼ用水路の上には、雪崩落ちた雪だまりがまだ残っています。雪解けが遅いそこら一帯にはまだ採り頃のみずみずしいバッケ(フキノトウ)がいっぱい。妻は「バッケ味噌をつくって保存する」と、品定めをしながらそれらのなんぼかを摘み取りです。