雪穴方式の消火栓維持

豪雪の村では、防火水槽や消火栓など雪に覆われてしまう消防設備をいつでも供用できるよう、雪から出しておくというつとめがあります。

コンクリート枠の防火水槽は、除雪機械が出動する度に機械力で雪が寄せられますが、消火栓の機械除雪はムリ。そのため、消防分署員を主にして、消防団、時には近場の地域住民の手なども借りて、ひと冬のうちに、何度も何度も人力で消火栓の雪が除けられます。

その何度も何度もが結構手間取るしごとなので、消火栓の背丈をはるかに上回る積雪になると「雪穴方式」に除雪をきりかえた方が楽になります。雪をすべて除けるよりも、「かまくら」のように正面の穴だけ掘れば雪寄せでは手間が省け、消火栓もすばやく作動させることができるのです。

村では、数多くあった簡易水道施設の更新統合をすすめ、すでに大字田子内と椿川の両地区は設備が完成し、残るは今年からはじまる岩井川のみ。この施設整備にあわせて、従来より背丈がはるかに高い消火栓が更新設置されていますから、村内で「雪穴方式」の消火栓がみられるのもあと3~4年ほどでしょうか。

ただ、今冬の豪雪では、その背高のっぽ消火栓も雪に隠れているところがみられました。これはこれで背丈が高いだけに、穴を掘るのも中途半端で「雪穴方式」にもなかなか適さずの様子とお見受け。豪雪の土地では、すべてにおいて、簡単にものごとの解決がつかないことがいっぱいあります。

消火栓をまもってきた「かまくら」が形をだいぶ崩してきました。その姿からも「冬は終わりだな」を雪国人は感じます。