豪雪の里山、ブナとミズナラの森で

雪の村にあって、もっとも雪の多い過ぎた2月末の里山です。

里山といっても、我が家の前も後ろもそこはブナやミズナラの林。春の山菜から秋のキノコ、四季を通じて鳥や生きものたちとの楽しい出会いが待っているところです。

さて、目にかなりの老化があらわれている当方ですが、それら森に棲む生きものたちを見つける眼力だけはまだよくはたらくようです。

豪雪の今年、白一面の世界の里山で、その眼力は真っ白なノウサギに注がれます。最初の写真のノウサギは夜間の行動を終えて柴木の下に穴を堀り、日中は穴口に伏せて休んでいたノウサギ。穴を掘るのは、タカなど猛禽類に襲われた時に隠れるためだと思われます。

 

 

 

 

このノウサギが動いた夜間は降雪があり、雪が止んだ後の足跡がよくわかります。夜の食事活動を終えたノウサギが日中に休む時は、キツネやテンなど地上に棲む天敵から身をまもるために「忍びの者」のような特徴的な足跡をつけます。それだけに、足跡を臭いで追跡するキツネやテンと違い、視認でたどるヒトの目はごまかせません。それどころか、雪上ではその特徴的な足跡が、逆に自分の存在を知らせてしまう証となってしまいます。

夜の動きを終え「さて、休もうか」となったノウサギの足跡は、まず歩幅が狭くなり、後ろ足がやや広めに踏まれ、急に方向を転回して一度踏み進んだ自分の足跡をそっくりそのまま戻り踏みをします。わが集落のマタギはこれを「モドリ」踏んだといいます。

「モドリ足跡」の次には突然ほぼ90度の角度で大きく横っ跳びをします。やはりマタギはこれを「トッパネ・跳っ跳ね」と呼んできました。「トッパネ」の後にはさらに何度も角度を変えた踏み跡(これをカギ跡という)をつけ、雪穴ができやすい柴木根元や低木根元のネグラに至るのです。同じノウサギでも警戒心のとくに強い個体は、これらを何べんも繰り返すことがあります。クマも、穴入りの時はさらに手の込んだ警戒行動をとります。

お天気の関係で、今回の写真は足跡がよくわかりませんが、「モドリ跡」、「トッパネ跡」そしてこちらを発見して伏せているノウサギ、そのノウサギが休んでいた伏せ穴、逃げるノウサギ(ボケ写真)です。尾根でカモシカの休んでいた伏せ床跡もおまけに。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

穴口に伏せている二匹目のノウサギは、雪上の足跡などまったくわからない場所を歩いていて、「眼力」で目に入った別のノウサギです。30㍍ほど離れた柴木の下にポツンと黒が見えます。「おかしいな?」と思ったらやはりそれはノウサギの目玉。

ノウサギと出会う、群境の尾根で集落を見下ろすなじみのブナの林を通る、私の雪の里山ブナの森歩きは「あと何年できるかな?」この頃はそんなことを頭におきながら、雪上にカンジキ跡をつけています。今日から67歳をスタート、68歳にむかいます。