地の利を活かしブレずに食を作りつづける村

鳥海山の残雪が今年は多いと思っていましたが、それは奥羽山脈も同じで、新幹線の車中からながめる焼石連峰の東側も、吹きだまりの残雪がこんなに多くあります。

先日訪れた嬬恋村からながめた浅間山にも残雪が少し見られ、冬季閉鎖が解除されて草津町へぬける標高2000㍍近い地点の道路にも残雪が見られましたが、鳥海山や栗駒・焼石ほど多くの雪はありません。標高1500㍍ラインでこんなに雪の多い焼石、われわれの住む山麓の豪雪をあらためて知る峠越えでした。高原道路沿いの二種のシャクナゲの花も真っ盛りで、ムラサキヤシオに似たピンクのツツジも花盛りでした。

嬬恋村のキャベツ畑は、その多くが国有林を国営の開発事業で開拓、払い下げられたものとうかがいました。広大でなだらかな高原をこれだけの畑にするまでには幾多の苦労があったのでしょう、その努力が実を結び、今では全国の夏秋キャベツ出荷量の5割近く、約20万㌧(平成24年)を占めるまでになっています。

人口約9700人の村で認定農家だけで約320戸、農振用地が3,300㌶、台帳地目農地が4,600㌶、平均耕作面積は7~8㌶となっています。同行した我々のある方がお聴きした情報では「キャベツは反収約50万円ほどとなるそうだから、面積から収入と所得が推定できる。う~ん」と語っておりました。

近年は、以前にはあまりなかったキャベツの獣被害(カモシカ、シカ)があり、とくにシカの食害が拡大しているようで、広大な畑の周囲には獣の侵入防止で電気柵やワイヤーメッシュ柵が延々と張られていました。

役場庁舎での説明会の際、会場が議会事務局のすぐそばで開放的でしたので入室しご挨拶を申し上げてきました。こちらの記憶が定かであれば、村長さんはごあいさつのなかで「家内が二戸市出身。ジオパークの関係で仙北市や男鹿市などを訪れたこともある」とお話されました。私も名刺交換の際、村のことを一言のべてきました。実は、後に知ったことなのですが、嬬恋村の議会は、平成28年度村当初予算の一般会計予算案を全会一致で否決、再提出の後に可決というめずらしい出来事もあったところなのです。人間社会、所変われば、地勢だけでなく人為の諸々にもなんと多様さがあるものです。

移動途中の道の駅などで売られていた山野草や山菜。めずらしい赤い花が咲くヤマシャクヤクは6,750円、白花シラネアオイは3,240円。ヤマウドやゼンマイは写真のとおり、それにこの地方らしいイナゴの佃煮もごらんのようにならんでおりました。

▼帰って我が家の鉢植えヤマシャクヤクを見たら、出かける前はつぼみだったのに、たった3日の間にもういくつかは花を終えていました。きのうは雨の前に田んぼへの除草剤散布を済ませ、とりあえず春の農繁はこれでしめくくりとしました。

全国農業委員会会長大会へ

29日は全国農業委員会会長大会が東京文京シビックホールで開催され、終わっては県南地区農業委員会会長会の視察研修で群馬県嬬恋村方面へ出かけきのう夜9時半過ぎに帰宅しました。

大会がかかげる大きな主張は会場にかかげられたスローガンの写真で明白ですが、農地を有効活用して作物をつくる「農地利用の最適化」が柱となった会議でした。国会議員への要請集会も29日夜にもたれ、「地方、農山村の振興なくして日本の発展なし」という認識が互いに深められた時間ともなりました。

こちらは、これが最後の会長大会出席となります。県内にはともにしごとをした会長各位のなかにも私と同じで「農業委員は今任期限り」という方もおられ、新たな体制がくまれる今年は組織のなかにも様々な変化がみられる年となりそうです。

嬬恋村では、村役場で村長さんや農業委員会会長さん、職務代理さんのご挨拶やご発言をいただき、職員のみなさんから村の農業振興策などのご説明をしていただきました。浅間山を目の前にして広がる高原キャベツ栽培地も視察。販売額も所得額も国内最先端を走る嬬恋村の実績を積み上げてきた過去と現在の努力をお聴きし、また課題も感じとってきました。