あわび貝のようなウスムラサキホウキタケ

今年最後の田んぼの畦草刈りをきのう終えました。

春の代掻き前から秋の刈り取り前まで月に一度の割合で作業にあたる畦草刈り。5回目の秋ともなると地面を這うような草が多かったり、やや茎が堅くなったりで仕事は少々手間取ります。

作業を終えて後、自宅近くの里山へ入りました。目的はネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)。「そろそろ出ている頃だが、今年は猛暑続きでムリかな?」と半ばあきらめながらむかいました。

このキノコは発生箇所がごく限られる稀少な種。私は3箇所の発生場所しか知らず、きのう向かったのはそのうちの2箇所。一箇所はわずかの発生だけですが、もう一箇所は例年並みに見事な菌列をつくり生長していました。

食べられるホウキタケの仲間のうちでもこのネズミハギモダシは特に肉厚で大型。幼菌はまるでサンゴのように華麗で、株の根元などアワビ貝のように厚みがあり、ホイル焼き、吸い物、煮物、鍋物、一夜味噌漬け、てんぷら、刺身風等々いろんな料理で楽しめます。

目指したネズミハギモダシはありましたが、里山の林内には、いつもなら顔を出しているほかのキノコたちの顔がほとんど見られません。サクラシメジもはしりが出るころですが、それも見られず、ほかの食毒数多のキノコたちも極端に少ないようです。猛暑の影響かもしれませんが、それにしてはネズモハギモダシはよく並の量が出ていたものです。自然は人間がとらえているよりもっともっと奥深い生態の輪の中で動いているのですね。