ハヘ(ハサ・稻架)架け、そして一番刈り

今日は、伝統の自然乾燥米づくりに励む地元集落の先輩Sさん(前村農業委員会会長)の作業姿です。Sさんは水稲をバインダーで刈り取り、ハサに架けての乾燥を長年つづけてきました。

この秋も、刈り取りの時期を前にした11日、成瀬川をすぐ脇にした田んぼでハヘ(ハサ)づくりに懸命のうごきをしていました。

一から十まで、伝統のこういう昔風なハサを架ける働きの姿は、山間の村でも今ではごくわずかの方々しかおりません。

自然乾燥にこだわるSさんもそのお一人。高みにあがるとき、ハサを組み立てる長木に手をかけるとき、一本のヒモを手に、あるいは手のかわりに噛んでヒモを確保する仕草のとき、縦横斜めの長木どうしをヒモで結わえるとき、ハサ架けでお米をつくる意気込みがそばで見ているこちらにも伝わってきます。

村芸文協の会長で菌床シイタケ栽培の先進篤農家でもあるSさんは仕事諸々の手際よさでも定評の方。架けるハサも見事で、設計図にもとずく構築物のように縦横斜めの狂いがなく、それは芸術作品のようにさえ見える美しいつくりです。

そしてきのう12日、例年どおり集落でもっとも早く刈り取りに入ったSさん。いつもの年のように夫婦での作業です。ト、ト、ト、ト、ガチャーンとバインダー(稲刈り機械)の音を心地よく響かせ、よく育ち粒が充ち満ちたあきたこまちの稻束が次々と刈り取られハサに架けられていました。

▼議会は今日から明日にかけ決算特別委員会や常任委員会が開かれます。議員各位は審査の準備を入念にしてこの委員会にのぞむはずです。どのような議論が交わされるか注目です。

▼きのうはずいぶんとボケの多い写真が多くありました。老眼の度が強くなっているのに写真はメガネをかけずに撮り、しかも後の処理もお粗末でよく精査せず載せるため最近はとくにそんな写真が多くなっています。以後、充分に気をつけます。

シャカシメジ登場

9月も半ば、豊作とみられるヤマブドウも黒く熟れ始め、栗駒山や焼石岳など高嶺ではウルシなど色づきの早い草木が少しずつ赤みを増し始めた頃です。

ヤマブドウの色づき具合をみて私が里山へ向かうのは、集落そばのナラ林に顔を出すフジミャゴ(シャカシメジ・センボンシメジ)たち。

シャカシメジは、偶然の出会いをのぞけばそう簡単には巡り会えないキノコで、こちらが知るのは5箇所ほどの発生地。巡り会いがなかなかできないことに加え、さらに採り頃盛りの株に出会うとなるとそれはひとつの運のようなもの。なぜならせっかく出会えても少し早かったり、老菌状態で食べられなかったりが多いからです。

シャカシメジは、樹下に下草のあまり多くない比較的きれいな場所に発生するキノコ。顔を出す場所の林をていねいにながめれば、株が大きく白色なのですぐにそれとわかります。

今回散策がてらに訪れた一箇所では、それほど大きくはありませんが、見回せる15㎡ほどの範囲に10ほどの株がまずまずの状態で出ていました。大きさはまちまちながらも1箇所で10株ほどと、案外多くの株が見られるのはここだけです。

採り盛りの株をこうして近くで見れば、「千本」とか「釈迦」の名前がつけられた由来がよくわかるような気がします。

同じ樹下にはウラベニホテイシメジも顔を出し、なじみのハギモダシ(ハナホウキモドキ)やアガキノゴ(サクラシメジ)も見えましたので帰宅後に並べてみました。

ほかにも、シシタケと味も臭いも似ている同じイボタケ科のカワダケや、めずらしい黄色のコウモリタケ(不食)、一本食べても命の危険がある猛毒のドクツルタケらしい種をはじめ、食、不食、毒、猛毒と様々なキノコがにぎやかに顔を出していました。写真は、目についたうちのほんの一部です。

終わりの写真2枚はホウキタケの仲間です。一枚目はいつもご紹介するハギモダシ(仮称ハナホウキモドキ)。最後はハナホウキモドキによく似ていますが、それより一回り小型で根元はかぶら状、ゼラチン質の特徴があるキノコです。食べられますが、菌列をつくり大量発生のハナホウキモドキとちがい数はきわめて少なく、味も今イチです。

ホウキタケの仲間は多彩で研究途上種が多く、ガイドブックにも満足のゆく多彩な種の紹介や解説がまだ不足しているようで、記述もバラバラです。科学的な分類が遅れているからでしょう、これら二つの種にも万人が共通してあつかう正式な名前はまだついていないようです。

これ、毒キノコではありません

夏日、真夏日を過ぎ、秋の気配がやや深まってきたら、いっきにキノコの仲間たちが目覚めてきました。

先に「今年は発生が遅れているし、発生量も少ない」とご紹介していたタマゴモダシ(タマゴタケ)が、なんとこの時期になってモミ乾燥機小屋脇の樹下でいっせいに顔を出してきたのです。

あきらめていたので今回はタマゴ状態(幼菌)の写真は撮り遅れましたが、このキノコ特有の真紅や朱色の鮮やかさはまだ残っています。

むかし、我が家隣にキノコ採りプロ(ハギミ)の女性の方が住んでおりました。今は亡きその方は、「タマゴモダシ」という呼び名がこのキノコにつけられていて、「昔から食っている」と語ってくれたことがありました。もしかしたら縄文のむかしから食べられていたキノコかもしれませんが、このキノコを最初に口にした太古の人は、挑戦心のかなり強い方だったのでしょうね。

タマゴタケは、美しさでも味でもAランクと多くのガイドブックは書きます。ただ、美しさは別にして、「おいしい」ということについては味覚へのとらえ方が人によって様々です。

「おいしい」の記述につられてこのキノコを口にしたことがありますが、また食べたいと思うほどのものではありませんでした。これは、私にとっては観て楽しむキノコとしておきます。

キノコを採り慣れている方なら見分けは簡単です。でも、この仲間にはやや似た猛毒種もありますから、はじめて食へ挑戦する方は入念なお心がけを。

先に立つ者にもとめられる資質

国政の次のトップを決める急転のうごきがはじまっている。

国でも、県でも、市町村でも、治めるところの先に立つ者に求められる最大のカナメは「民の側に心が寄り添っているか」であろう。そのため人の先に立つ者、とりわけ国政では、深い国家観、洞察力とともに人としての徳がより深くもとめられることは、古今東西の歴史上の人物たちの言葉からも学ぶことができる。

村の郷土誌にも、これは大きな治世のことではないが、藩政時代、行政組織の末端にあたるところの村の長ともいえる「肝煎」(きもいり)役について、その役目にふさわしい人物を選ぶための条件として当時の秋田奉行所がしめした四つの資質が記されている。いつかも、この欄で引用したことがあったかもしれないが、行政組織トップの資質として示唆に富むものがあるので再度ご紹介したい。

肝煎の四つの条件

一、第一貧ならず、正直にして心広く、質朴にして貪らず。

二、慈悲あって贔屓(ひいき)なく、分別ありて奢らず。

三、また、身上余慶もあり、頼もしげありて気長く、偏屈ならず。

四、大酒を好まず、好色のくせなく、芸能の癖のないもの。

条件は以上である。時の藩主たちも、藩政の重鎮たちも、治める末端組織の肝煎の条件としてこのような条件をしめしたということは、自らももちろんこれに心がけ、それだけにとどまらずさらにもっと崇高なトップとしての資質獲得に磨きをかけていたものと思われる。

肝煎四条件は藩政時代のものであり、もちろん今の時代にみなあてはまるものではないが、ひとつひとつの条件・言葉が引き出された背景を考えれば、国、県、市町村と治める組織の違いはあっても、現世のトップというものにもとめられる大切なイロハがよくよく考えられ掲げられていると思われる。論語などから教えられるいくつかの言葉もそうだが、時代が変わっても、治世の柱となる者にもとめられる大切な教訓は変わらないのである。

武士道の著書で広く世界に名が知られた新渡戸稲造は、人の先に立つ者の存在について別の著書「武士道的一日一言」のなかで「仁と義と勇にやさしき大将は 火にさえ焼けず水に溺れず」の言葉をのこしている。どんな危機、有事にも的確な対応ができる、国のトップにはそういう資質がとりわけ強く求められているからであろう。今でいえば、新型コロナ禍、入院の必要な方が入院治療できない、またはそのまま死に至るという考えられないことが日々おきている時、この有事に的確対応できる政治がもとめられているのである。

ところで、民主主義、高齢化社会の現代では、これらの資質のほかにも大切な要素があることを我々は教えられる。それは年齢のことである。前記のような資質を考えれば考えるほど、政治の場で仕事をする者が自らを律するうえで大きな要素の一つとして「年齢」をも考えていることがいくつかの発言事例からも類推できる。

全国的に、国政でも、県政規模でも、70歳代の方、あるいは80歳に近くなった方々が、「今後の活動」つまり「引退」ということをひきあいにして年齢を強く意識したと思われる発言を春以来度々発していたことは衆知のことだ。

こういうことを記している私も今年3月に70歳となった。小さな村ではあるが、そこで政治の一翼をになう仕事をする者の一人として「ついに70歳を過ぎたか」と大きな節目の年齢を意識せざるをえなくなっている。

村の政治にも、「若い力」、「新しい力」がもっともっと求められる時代に我々は立っている。そういうことを考えながら古希を越えたなかでの仕事に全力をあげたいと思う。70歳代は、後々の村発展を見据えれば、「後のことを考える」それを強く自覚しなければならない年齢だということを心に持ち、積み重ねたものを活かしつつ進取の気概で仕事に邁進したい。

仕上げの畦草刈り

おとい午後ときのうは今年最後の畦草刈りへ。5月、代掻き前に最初の作業を始めてからこれで5回目。つまり畦草刈りは月に一度ペースの作業ということになります。

今年は、農道や大きな土手などには非農地用の除草剤を時々使ったので、草刈り作業の時間は比較的短くなりました。畦の一部にも農地用の除草剤を少し使っていますが、当分は今の使用程度で済ませておこうと思います。

黄金色を増してきた稲穂のそばでは、3年ほど前に植えたオミナエシも黄金色に輝いています。集落では、この花を「盆ばなこ」と呼ぶとともに「黄金ばなこ」とも呼びます。いよいよ収穫の9月、稲穂の傾きも大きくなり、山間の田んぼは、まるで黄金のじゅうたんを敷いたようになり実りの季節へとまっしぐらです。

先日種を蒔いたダイコンが芽を出しもう双葉がこんなになっています。

田んぼの排水も今年は万全、畦もきれいになりこれで刈り取りの準備はすべて整いました。今年は天気さえよければ収穫作業は早く進められそうなので、コンバインや乾燥・籾すり機械も点検を少しずつ進めています。

▼おとといお伝えした里山のキノコたちの続きです。今日は猛毒キノコ、毒キノコ、もしくは食毒不明、あるいは食べられるだろうけれども私は食べないキノコの仲間たちです。

それらの最初にあげるのはホウキタケの仲間。いずれも白色もしくは薄茶色で、食べられるホウキタケの仲間とも思われますが、こちらは警戒して食べません。

次の傘と柄が赤みを帯びたイグチの仲間、それに薄茶色のイグチの仲間もこちらは食べないキノコ。薄茶色のイグチは食べられる種と似ているので食茸かもしれませんが、ムリして口にすることはありませんので食体験はなしです。

ほかは猛毒や毒種のテングタケの仲間であり、最後のオオワライタケは似たものがほかにないほど色と形に特徴のあるはっきりとした毒種。それでも山形の一部地方では一定の解毒処理をして「食茸」扱いしていると記すガイドブックがあります。こういう面でもキノコの世界は奥深しです。なるほど姿をみればいかにも食べられそうですからね。

一般質問、予算特別委員会

きのうは3議員による一般質問が行われました。

実はこの日、「2年ぶりに開催したい」としていた子ども議会(小中学生による議会)の準備のために児童・生徒みなさんの傍聴も当初予定されていたのでした。が、計画を練る段階で新型コロナが再度全県的なひろがりを見せていたために「今年も開催はムリ」ということで計画断念の知らせを聞いていました。

今回はこういうことで子供たちの傍聴もない議会となりましたが、村の将来を担う彼らのためにも、しっかりとした村政運営と議会活動にいっそう努力し合わねばと思っているところです。

一般質問は、新型コロナなどに関連する内容などが多くとりあげられました。

一般質問後の会議では「沖縄防衛局による沖縄本島南部の沖縄戦没者の遺骨が混じった土砂の採取計画を止めることを国に要請して求める意見書の堤出要請に関する陳情書」が審議され、委員会報告と同じく趣旨採択となりました。意見書発議までには至らない、陳情の趣旨を採択するという結果です。

本会議後には予算特別委員会が行われ、補正予算案が審査、可決されました。

サクラシメジ(アガキノゴ)も登場

近くの里山に見置きしていたネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)が、採り頃の大きさになっていたのでいただいてきました。今年、この種の発生量は平年の半分ほど。それにキノコも大きさがいつもより小さめです。彼らの生長にとって今年は厳しい夏だったようです。

すぐそばにはアガキノゴ(赤きのこ・サクラシメジ)も顔を出しはじめています。9月初めから末近くまで採れ、発生箇所も比較的広く収穫量も多いためか、プロはもちろんのこと気軽に出かける山入の方々もふくめひろく人気のあるキノコです。村では塩蔵して冬の鍋ものなどによく利用されます。

アカヤマドリも生長にともない傘が特有の色形となってきました。今回は湯を通した後に一夜漬けでのごちそうです。

ナラ林内には、ハナホウキモドキと毒きのこがデュエットしているような姿も目に入りました。これからの森は、表現力豊かな菌類たちが色形様々な装いで登場します。それは、さながら、森を育て掃除するキノコたちのミュージカル舞台のようでもあります。

いよいよキノコの季節は本番入り。この日とってきたシーズン最初によく食べるキノコをならべてみました。

▼9月定例会議の今日は、3議員による一般質問、陳情審議が行われ、予算特別委員会が開かれます。

一般質問は3議員

9月定例会議の一般質問は6日に行われます。

新型コロナ対応や地域おこし協力隊関連などで3議員から質問通告が出されました。(質問項目は議会のブログでご覧を)

今定例会議には、先にも記したように新たな「過疎計画」も提出されました。これは今後5年間の村発展に関わる重要な議案です。そのため本会議での質疑・採決の前にこの計画案をより深く理解しなければという判断で、常任委員会として調査活動の一環に急きょ加え、15日に総務教育民生常任委員会(議長をのぞく全議員構成)を開催することになりました。

会議には、副村長、関係課長などの出席を求め、この計画に焦点をあてた説明が先の全員協議会、本会議に続いて再度行われ、質疑応答が交わされる運びです。

▼議会での行政報告にもあったように稲穂の登熟が順調に進み、今後、天候にさえ恵まれれば平年よりやや早い刈り取り時期となることが予測されます。

実りの進んだ我が家の稲穂。その稲穂にイノシシかシカらしい生きものがやはりまた訪れ、稲株をつぶしてモミを食べた跡が残されていました。土手の土を掘ったイノシシ特有の跡もありますからおそらくこれはイノシシ?の仕業でしょう。彼らが出没する前までは稲株がこんなに踏み倒されることはクマ以外はなかったのですから。

くくり罠で捕獲とまでしなくてもなんとか被害をくいとめられないかと、夜間だけ携帯ラジオを鳴らし続け、古着に整髪料などのスプレーを噴射、畦に立てかけて臭いを発散、イノシシが警戒して近づかないかもなどと考え「にわか策」をまずとってみました。

一週間ほどこれで試してみるつもりですが、果たしてどんな結果となるか、です。クマは、「ラジオ程度ではまったく効果がなかった」と、過去に同じようなことを考え試行した集落の先輩が語っていましたが、さて、イノシシ?はどう反応するかです。

9月定例会議はじまる

村議会9月定例会議が1日~17日の日程ではじまりました。

きのうは行政報告が行われ、成人式の来年1月への延期や敬老会の中止、例年11月に開かれる首都圏なるせ会の総会も2年連続の中止となることなど、新型コロナ禍における諸々の状況がまず最初に報告されました。

続いて報告は令和2年度決算にも触れ、経常収支比率が100.4㌫であることや公共施設の老朽化など財政需要は常に増加傾向にあり、「財政の硬直化が続いている」、「楽観視できる規模ではない」という旨が述べられました。

また、「過疎地域の持続的発展支援に関する特別措置法」施行にともなって県が定めた方針に基づき村も発展計画を策定することとなり、令和3年度から7年度まで5カ年にわたるその「計画」も提出されました。これらと不可分の関係にある村の新たな「総合計画」と「地方創生総合戦略」は住民アンケート等を行った後、12月の策定を予定していることも報告されました。

議案の説明を受けた後に会議は散会とし、常任委員会では陳情1件の審査が行われました。

会議は、6日に一般質問や陳情審議、予算特別委員会、14,15日に決算特別委員会や常任委員会、17日に議案審議となります。

秋きのこシーズン入り(その3)毒キノコたち

湿り気と涼しさで菌類の活動が活発となった里山。そこには食べられるキノコだけでなく名うての毒キノコたちも続々登場しています。

シメジ類とよく間違えられるクサウラベニタケはその代表格。姿形だけをみればいかにも食べられそうですが、口にしたら嘔吐、激しい下痢(腹痛なしの場合が多い)に襲われるという有名なキノコ。

村内でも過ぎた年に、こちらの友人夫婦がクサウラベニタケを食べてイタイ目にあったことがありました。腹痛はほとんどなかったものの、下痢と嘔吐にはまいったと語っていました。腹の痛みがあまりなかったのでお医者さんにはかからなかったようです。

次の傘のやや黒色のキノコはツルタケかコテングタケモドキの仲間でしょうか。猛毒菌の仲間と近いようですから毒としておけばよいキノコです。

最後の美しいのはシロオニタケ。ガイドブックによっては明確な毒指定とされていないものもありますが、このかたちを観て食べる方はいないと思います。近年の研究では「変形アミノ酸という毒成分をふくむ」と記す著書もあります。自然の造形美をながめて楽しむキノコです。

▼今日から9月定例会議がはじまります。会議では、令和2年度決算認定案、今後5年間の村の施策のカナメとなる「過疎地域持続的発展計画の策定について」の重要議案も提出されます。