9月も半ば、豊作とみられるヤマブドウも黒く熟れ始め、栗駒山や焼石岳など高嶺ではウルシなど色づきの早い草木が少しずつ赤みを増し始めた頃です。
ヤマブドウの色づき具合をみて私が里山へ向かうのは、集落そばのナラ林に顔を出すフジミャゴ(シャカシメジ・センボンシメジ)たち。
シャカシメジは、偶然の出会いをのぞけばそう簡単には巡り会えないキノコで、こちらが知るのは5箇所ほどの発生地。巡り会いがなかなかできないことに加え、さらに採り頃盛りの株に出会うとなるとそれはひとつの運のようなもの。なぜならせっかく出会えても少し早かったり、老菌状態で食べられなかったりが多いからです。
シャカシメジは、樹下に下草のあまり多くない比較的きれいな場所に発生するキノコ。顔を出す場所の林をていねいにながめれば、株が大きく白色なのですぐにそれとわかります。
今回散策がてらに訪れた一箇所では、それほど大きくはありませんが、見回せる15㎡ほどの範囲に10ほどの株がまずまずの状態で出ていました。大きさはまちまちながらも1箇所で10株ほどと、案外多くの株が見られるのはここだけです。
採り盛りの株をこうして近くで見れば、「千本」とか「釈迦」の名前がつけられた由来がよくわかるような気がします。
同じ樹下にはウラベニホテイシメジも顔を出し、なじみのハギモダシ(ハナホウキモドキ)やアガキノゴ(サクラシメジ)も見えましたので帰宅後に並べてみました。
ほかにも、シシタケと味も臭いも似ている同じイボタケ科のカワダケや、めずらしい黄色のコウモリタケ(不食)、一本食べても命の危険がある猛毒のドクツルタケらしい種をはじめ、食、不食、毒、猛毒と様々なキノコがにぎやかに顔を出していました。写真は、目についたうちのほんの一部です。
終わりの写真2枚はホウキタケの仲間です。一枚目はいつもご紹介するハギモダシ(仮称ハナホウキモドキ)。最後はハナホウキモドキによく似ていますが、それより一回り小型で根元はかぶら状、ゼラチン質の特徴があるキノコです。食べられますが、菌列をつくり大量発生のハナホウキモドキとちがい数はきわめて少なく、味も今イチです。
ホウキタケの仲間は多彩で研究途上種が多く、ガイドブックにも満足のゆく多彩な種の紹介や解説がまだ不足しているようで、記述もバラバラです。科学的な分類が遅れているからでしょう、これら二つの種にも万人が共通してあつかう正式な名前はまだついていないようです。