エドかぎ(池の泥上げ)

夏は野菜や山菜洗いなど、冬は雪消し用として、山里でくらすにはとっても役にたつエド(井戸・池)。そのエドの掃除、エドかぎ(井戸掻き・池の泥上げ)にきのうとりかかりました。

そのエドかぎは、童たちがとても喜ぶ作業なので、できれば学校や保育園が休みの時にと思っていたのですが、今後のお天気や仕事、行事の都合もあり、また時期も時期、やむなしと二人だけでの作業にかかった次第。

昔のエドなら、洗い物、消雪に加えて食べるための鯉やウグイ、イワナなどまで泳いでいました。今も魚は泳いでいますが、エドに棲むその魚を食べることはほとんどなし。山里の食の変わりようはこういうところにもあらわれています。

当然のことながら、食べなくなった池の鯉は年を経るごとに大きくなります。中には丸々と太ってひとかかえほどの大きさになったのもいて、つかまえて暴れられると、こちらの体が揺さぶられるほどの重さです。特別エサをやらないイワナも、用水路から入る水棲昆虫などを食べているのでしょう、どんどん大きくなっています。

池の泥上げは、我が家の冬支度の締めくくり。残している農機具小屋の冬囲いを少し終えれば、あとはいつ根雪になってもだいじょうぶというところまで支度は進みました。

越冬用野菜の収穫

遅れていた秋野菜の収穫をきのう終えました。

「雪にあてた野菜は甘くなり美味」と昔からよく言われたもので、きっと寒締め野菜がおいしい理屈と同じなのでしょう。それをあてはめれば、我が家の野菜は二度も雪にあててからの収穫ですから、おいしいことまちがいなしと思います。

今日ひとつ、翌日またひとつと冬を越す段取りを整えているうちに、ひたひたと冬本番の寒気が寄せてきています。我が家の冬支度締めくくりはあともう少しです。

雪を見る日が多くなる

きのうは今冬二度目の人里への積雪となり、役場からの積雪情報が発信されるようになりました。

役場そば、仙人様の大イチョウの葉っぱはまだこんな状態ですから根雪になるのはもう少し先だと思いますが、暮らしは一日増しに本格的な冬構えにと変わりつつあります。

▼そんな雪の舞う中、きのうは広島県尾道市議会のある会派のみなさんが教育行政視察で来村されました。前日には男鹿市へ視察で入られたようです。

村議会では、新型コロナ禍を考慮し議会のホームページで視察の受け入れを原則お断りしていたものですが、教育委員会と共にいろいろな状況を判断し、学校への視察はできないことなどの限定つきで今回の視察要請に応じたものです。

村への視察は教育行政を主にしてとても多くなっており、昨年度は、徳島県議会や山形県議会、埼玉県志木市議会、静岡県清水町議会をはじめ全国12地方議会の常任委員会、会派など72名の方々に訪れていただいております。議会、教育関係者、マスコミ、企業など全体の教育行政視察の人数は海外も含め昨年で約450名で、この増加傾向はここ数年続いていました。

それが、新型コロナでやむなくこちらからお断りしたことや、予定した先方側の中止もあり、今年度は議会のみなさんとしては最初の視察ということになりました。

今回は、学校視察の時間がなかった分、教育長の説明や質疑応答には充分の時間を割くことができ、村の自治における教育行政の姿は一定程度ご理解いただけたものと我々は思っています。「兄が校長をしているので」という議員さんや、憲法と教育を結びつけてご発言された議員さんもおられ、みなさんからはそれぞれ内容の濃い質問とご意見が出されました。

学校現場の視察ができなかったこともあってでしょうか、意見交換締めくくりの時間には「もう一度、議会の多くで、視察に来たい」という旨のご発言がありました。須川高原の栗駒山荘などをご承知のようでしたので、「今月の14日に、NHKBSのグレートトラバース300名山で、栗駒山と焼石岳への登山も報道されますから」とご紹介しながら、宿泊での再度の来村をお誘いしたところです。

モノクロ調に落ち着きはじめた谷

過ぎた日曜日の午後、落葉後の渓谷とブナ林をながめに天正の滝まで入りました。この時期になると、渓谷へ向かう林道は県境をまたぐ国道と同じようにすでに冬季閉鎖です。

渓谷は半年ぶりに人の気配がほとんどなくなり、聞こえるのはせせらぎと滝つぼに落ちる水の音、時折聞こえるキツツキの幹を突く音、シジュウカラの群れの鳴き声、落ち葉が枝とふれあうパラパラや大きなホウノキの葉っぱがガサリと地面に落ちる音です。

遊歩道そばのイタヤカエデの倒木には生長真っ盛りのナメラコ(ナメコ)が、カメラ持ちを満足させるいいかたちで輝いていました。

滝も、絶景の「いずくら」も落葉がほとんど終わり、葉の紅色はわずかの低木モミジで保たれているだけ。まもなく谷のすべてはモノトーンのような落ち着いた景観美へと移りかわります。

▼その「いずくら」の断崖。今年は新型コロナで秋の行事中止や会議出席が軒並みなくなったこともあり、また、地元「いずくら」にはすぐに通えるので、所用の合間を縫い連日の崖紅葉名所通いができました。地元集落からほんの近くにある谷ではあっても、こんなに続けて「いずくら」の崖に向かったのは初めてのことです。

今年の「いずくら」の紅葉は10月23日頃から28日頃までのおよそ一週間がいわゆる見頃といわれる期間でした。その間の日々の色づきを確かめに崖へ通ったというわけです。色づきの進み具合やお天気や時間のちがいもあり、紅葉には微妙な変化がありました。その変化を日毎に分けて載せておきます。

まずは23日、午後2時頃から。

次は24日、朝7時少し過ぎ。

24日、10時過ぎ。

次は26日、9時少し過ぎ。

次は最も見頃となった27日、朝8時過ぎと、11時過ぎ。 (11時過ぎ)

最後は28日、3時過ぎです。

豪雪の谷で、ほぼ垂直な柱状節理の崖に芽生えた木々たちが岩のわずかな隙間に根を張り、落雪や落石に耐えながら樹齢を幾数十年も重ねている姿です。早春の芽吹きから紅葉の季節まで、美しい景観を楽しめるとともに、その崖風景は、常緑のキタゴヨウ松も含め樹木の生きる力のすごさを教えられる所でもあります。

集落こぞって冬支度

地元集落の共同作業がきのう行われました。

今年最後の共同作業は冬を越すための支度。基幹となる農業・生活用水路や沿道の掃除と草刈り、公園の片付けと植木や施設の雪囲いなどが総出でとりくまれました。村内各集落でも、昨日までに同じような冬支度が済まされたでしょう。

▼立冬を過ぎた村では里への二度目の降雪が今日から明日にかけてあるようです。「二度目の雪降る前に」と、今年はまだ出会えないでいたムラサキシメジの様子を見に国道すぐそばの里山へ立ち寄りました。

このムラサキシメジ、こちらはそれほどおいしいキノコとは思いませんが、初冬に顔を出していて、紫色のキノコが列をつくっている姿には魅力を感じます。つまり、私にとっては食べるよりも冬の美しいキノコを撮るのがうれしくて向かう相手です。ハタケシメジと同じで、我が家の植木の間にも顔を出したりする、とっても身近なキノコでもあります。

里山では、気温が低くなったのを感じたユギノシタキノゴ(エノキタケ)が次々と顔を出しはじめ、やはり晩秋のカオ役ヤマドリモダシ(クリタケ)もいきいきしています。

晩生のハタケシメジも、「これから大きくなろう」と生長途上の株もまだ見られました。

エノキタケやムラサキシメジが登場するようになれば、そろそろこちらのキノコだよりはおしまいへと向かいます。根雪とならなければまだまだ彼らとの出会いは続くのですが、果たして今年の雪はどうなるのでしょうか。

その晩秋から初冬にかけて、広い範囲の地面に菌列や菌輪をつくって発生するキノコが、食毒症状例が時々あらわれるというツチスギタケです。古いガイドブックでは食べられるキノコとされていることもありますが、私はムリせずカメラへ収めるだけにしています。

そして最後は、最強の猛毒キノコの仲間に入るニガクリタケ。ナラタケやクリタケの出ている同じ広葉樹や針葉樹の根元や倒木などに並んで発生していることもあり最も用心の要るキノコの仲間です。生でかめば苦みを感じます。まちがって万が一食卓にあがっても苦みを感じたら「食べ方、すぐやめ!」をよくおぼえておくとよいでしょう。

こんなに小さな形ながら死亡例が全国で時々あったキノコで、東北でも、一家の何人もの命を奪ったこともある猛毒種なのです。色も黄色を軸に濃淡様々、オールシーズンみたいに長い期間発生していますから、ほんとに気をつけたいキノコとして載せておきました。

最後は、キノコたちのそばにあった初冬のアケビです。めずらしやこの季節のアケビ。晩晩生ともいえる冬の訪れにやっと完熟した実は、とっても甘さの濃いすぐれものでした。

部落長会議

春に予定していたものの、新型コロナ禍で開催できないでいた部落長会議。秋の会議はきのう開かれました。

通常は春と秋の年2回開催のこの会議。部落の要望を村と議会が合同で聞き、行政側の考えや検討状況を報告する会で、秋は予定どおり開催されたものです。

要望内容のうち、現場をみて判断すべき箇所については村と議会がすでに視察を終えています。すぐに対応しなければならない要望、あるいは予算的にもすぐにとりかかれる要望については来年度をまたずに解決されており、その他の内容については要望が出された直後に村の考えや対応策が各地区へしめされています。

今回の会議では、それ以後の検討状況などをふくめ、あらためて10月末時点での村の対応策が説明されたもの。村独自で措置できる要望については、それらの一定数が来年度予算編成に向けて検討されることになります。

▼きのう午後は雨もあがり「これは、儲け空」と、野積みの薪を屋内へ収納する作業に急きょとりかかりました。

雨よけ用に薪を覆っていたシートをとったら、越冬用にもぐりこんだアシナガバチの仲間たちがシートの中にいっぱいいます。カメムシや蜂をふくめ昆虫たちのなかには、人間のくらしと深くかかわる場所で冬ごもりをしている種もいるのです。せっかく冬ごもりしていたのに、蜂さん、ごめんなさい、です。まだ別の場所をさがせるでしょう。

薪のそばには、まだ冬眠していない小さな青ガエルがいました。先日の人里への初雪を見たような低い気温でも、カエルの仲間たちのなかには冬眠にはいらない個体もいるのです。またひとつ勉強になりました。

落葉シーズンの里山へ

文化の日の午後、ほんの一時でしたが思わぬ晴れ間が広がりました。このお天気に誘われ自宅そばの里山を散策。歩きのお目当ては、きのこのコナラ(シモフリシメジ)です。

村の里山は今が落葉の真っ最中。いっぱいの落ち葉を傘に載せながらシモフリシメジは生長のピークをむかえています。

こちらの採り慣れた場所での発生は比較的良いようで、このキノコ特有の菌列が、いい形の株でいっぱい見られました。

高貴な香りのするこのキノコは柄が白肌。大きさが手頃で形に品があります。こくのある旨味とサクサクとした食感も特徴で、我が家ではすまし餅(雑煮)の具として重宝扱いされます。一箇所での採取量がやや多めなこともこのキノコがひろく人気を集める理由のようです。採ったキノコは早速雑煮でいただきました。

シモフリシメジのそばには、これもおいしいキノコの晩生ヌレンボウ(ヌメリササタケの仲間)が粘液に覆われた傘を広げて見られました。

林の中は、遅くに色づいたモミジの赤や黄が目立つようになっています。このモミジ葉が散り終える頃になれば村は冬本番へと近づきます。きのうは、まずは1台の車のタイヤを冬用に交換しました。

県種苗交換会・幅広く高位受賞の村産品

村の夏秋トマトも栽培はほぼ終わりの時期となり、栽培農家のAさんから先日「これが最後のトマト」と、おいしい逸品をたくさんいただきました。

自家用で栽培しているトマトも先月半ばほどで収穫が終わっていましたが、いただいたこのトマトが我が家の食卓にのぼる村でつくられた今シーズン最後のトマトとなりそうです。「ここのトマトがおいしくて」とトマト目当てに遠方から直売所を訪れる方の多いわが村。秋冷の季節となってからのトマトはさらに味が濃くなり、我が家でも最後のトマトを毎日おいしくごちそうになっています。

わが村は県内ではトマト産地の草分けのひとつ。規模こそ少なくなったものの継承されてきた優れた栽培技術は今も活かされていて、10月30日~11月3日に横手市で開催された第143回県種苗交換会では、村の栽培農家・佐々木茂さんのトマト(麗月)が2等賞の県知事賞(農林水産大臣賞に次ぐ賞)や県町村会長賞に選ばれました。

小さな村ですが、農の技に秀でた方々はほかにもたくさんおります。交換会ではほかにも切花部門のリンドウ(深山秋)で、古谷実さんが1等賞の全国農協中央会会長賞に輝き、やはり県知事賞も受けました。佐々木さん、古谷さんは村の篤農家して地道な研究努力を続けてこられた方々です。度々ご紹介しているように、お二人はこちらの同級生でもあります。

交換会では、村のなるせ加工研究会の「ほっこりなるせみそセット」も3等賞に。県産米品評会では、うるち玄米のあきたこまちで高橋弘克さんが最優秀賞や特別賞も受賞。県種苗交換会の高位受賞は県内農家にとって大きな栄誉。野菜、花卉、加工産品、玄米と、幅広い部門で村の産物が高い評価を受けたこと、村の誇りとなる受賞に心からのお祝いを申し上げます。

▼今朝、人里にまで初雪がいっきに降りてきました。里山ではまだ木の葉が散り終わらないうちの初雪です。

人里に初雪を見るようになれば、は虫類や昆虫たちの多くはもう完全な冬ごもりに入ったでしょう。雪のなかで活動する生きものたちも、ノウサギは真っ白に、テンは黄金色に、カモシカはフワフワのあたたか銀鼠(ぎんねず)色に、クマは脂ぎった黒光り色になど、着ける衣を完全な冬毛に替え、厳しい冬を越す準備を整え終えたでしょう。

冬を越す支度の日々

集落からのぞむ焼石連峰の権四郎森(ごんしろうもり・南本内岳)や県境のサンサゲェ(三界山)は数日前から薄く雪化粧をしたままです。そんな薄化粧の頂を目にしながら、10月末から11月にかけての晴れの日の山里では冬を越す支度の日々が続きます。

我が家の冬支度は、家屋や小さな植木の冬囲い、冬に食べる秋野菜の収穫、薪の収納、田んぼの排水作業、用水路の掃除、自家用水道の貯水タンク掃除、除雪用機械の点検整備、雪消し池の泥上げ等々です。雪国のこれからは、根雪の前に済ませておかねばならないあれこれが頭から離れない季節となります。

そんなことで過ぎた休日は、春先を見据えて田んぼの水はけをよくする作業や、貯水タンクの掃除などに動き回りました。

貯水タンクの据えられている里山は今が落葉の盛りです。樹下には落ち葉に隠されるようにしてシモフリシメジが真っ最中で、立ち枯れ木にはムキタケも。湿り気のある沢筋にはサモダシ(ナラタケの仲間)も晩生特有の肉厚のかたちで今も見られます。

沢と田んぼそばの林や草むらではユギノシタキノゴ(雪の下キノコ・エノキタケ)がいっせいに顔を出し始め、トヂナメラコ(ヌメリスギタケの仲間)や晩生のハタケシメジともまだ出会えます。たまには里のナメコとも。

▼ところで、そんな動きの合間の31日には、小6の童が活動している子ども仙人太鼓の演奏に少しの間立ち寄りました。演奏は、成瀬ダム工事事務所と村がとりくんでいる、「ダム上下流交流会」「ダムモニターツアー」の行事のひとつとしておこなわれたものです。

地域交流センター「ゆるるん」での交流会には、湯沢市内の親子連れの方々が参加され、子ども仙人太鼓の鑑賞や少々の太鼓打ち体験、成瀬和紙のブックカバーつくりなどが行われました。

例に漏れず、子ども仙人太鼓も全国的な新型コロナ禍で練習ができず、演奏の機会もまったくなしという状態が長く続いていました。この日のための直前練習がわずか2回ほどということでしたが、童たちの鉢を振る動きと表情には、久しぶりに太鼓を叩けるうれしさ、響きを楽しんでいる様子がよく伝わってきました。参加された湯沢市の親子のみなさん方も、きっとそこから感じとれる何かがあったと思われます。