過ぎた日曜日の午後、落葉後の渓谷とブナ林をながめに天正の滝まで入りました。この時期になると、渓谷へ向かう林道は県境をまたぐ国道と同じようにすでに冬季閉鎖です。
渓谷は半年ぶりに人の気配がほとんどなくなり、聞こえるのはせせらぎと滝つぼに落ちる水の音、時折聞こえるキツツキの幹を突く音、シジュウカラの群れの鳴き声、落ち葉が枝とふれあうパラパラや大きなホウノキの葉っぱがガサリと地面に落ちる音です。
遊歩道そばのイタヤカエデの倒木には生長真っ盛りのナメラコ(ナメコ)が、カメラ持ちを満足させるいいかたちで輝いていました。
滝も、絶景の「いずくら」も落葉がほとんど終わり、葉の紅色はわずかの低木モミジで保たれているだけ。まもなく谷のすべてはモノトーンのような落ち着いた景観美へと移りかわります。
▼その「いずくら」の断崖。今年は新型コロナで秋の行事中止や会議出席が軒並みなくなったこともあり、また、地元「いずくら」にはすぐに通えるので、所用の合間を縫い連日の崖紅葉名所通いができました。地元集落からほんの近くにある谷ではあっても、こんなに続けて「いずくら」の崖に向かったのは初めてのことです。
今年の「いずくら」の紅葉は10月23日頃から28日頃までのおよそ一週間がいわゆる見頃といわれる期間でした。その間の日々の色づきを確かめに崖へ通ったというわけです。色づきの進み具合やお天気や時間のちがいもあり、紅葉には微妙な変化がありました。その変化を日毎に分けて載せておきます。
次は最も見頃となった27日、朝8時過ぎと、11時過ぎ。 (11時過ぎ)
豪雪の谷で、ほぼ垂直な柱状節理の崖に芽生えた木々たちが岩のわずかな隙間に根を張り、落雪や落石に耐えながら樹齢を幾数十年も重ねている姿です。早春の芽吹きから紅葉の季節まで、美しい景観を楽しめるとともに、その崖風景は、常緑のキタゴヨウ松も含め樹木の生きる力のすごさを教えられる所でもあります。