山の木の実は豊作、平年作の年か

豊作として結実する年は数年に一度というブナの実を除けば、今年の野山の木の実は全体として豊作もしくは平年作のように見えます。

ここで木の実というのは、村で昔から子どもたちが「よく食べてきた木の実」いうことで、その代表格は、クリ(ヤマグリ)、クルミ、ヤマブンド(ヤマブドウ)、アギビ(アケビ)、そしてハシバミ(ツノハシバミ)と各種の野イチゴです。

例年以上に実の着きのよいのはツノハシバミとアケビで、今から森の生きものたちの喜ぶ様子が目に浮かびます。

ハシバミ1ハシバミ2アケビ
7月~8月は、本州で最大の生きものツキノワグマにとって食べ物の確保に最も難儀する時。先日入った里山でもブナの森深山でも、アリの巣にある卵を食べようとしてでしょう倒れ腐った木の根元を掘った跡が見られました。そんな時に里の畑ではトウモロコシやスイカ、モモやスモモ、早生のリンゴなどが稔りますから、クマたちはそこへも集中するわけです。

そういううちの一頭でしょう、県南地方の仙北郡で先月箱ワナで捕獲されたクマの胃腸の中は「ほとんど空っぽ」だったという話を関係者からお聞きしました。たまたま空っぽ状態だったということもあるでしょうが、クマにとってこの季節の自然は食がもっとも細くなることは確かですから、クマ対策ではそれを前提とした心がけがもとめられます。今なら、実が結実しているクルミの木にもおそらくクマは近づいているはず。

もう少し経てば、ドングリもヤマグリも実が充実してきます。豊作のアケビやまずまずの実が見られるヤマブドウの実る9月はもうすぐ。コロナ禍と猛暑に暮らす人もそうですが、クマをはじめ生きものたちも辛抱の夏がつづきます。