初冬の天正の滝

過ぎた休日の17日、落葉が終わってもまだ積雪には至っていないブナの森をみようと、合居川渓谷に少しの間足を向けました。

すでに車道は冬季閉鎖で通行止め。いちばん入りたい渓谷の奥はもう積雪となっていますので、この日は天正の滝までで引き返しです。

谷とブナの森は、いつの季節もそれぞれの魅力にあふれていて、落葉が終わり、まだ積雪前の渓流と林も私の大好きな風景です。合居川渓谷は尾根筋をのぞけばほかの山に比べてチシマザサが少なく、地面低くから遠くまで見通しが利きます。ために初冬の林歩きはまことに快適なのですが、この日の谷の奥部はもう雪なので深入りはあきらめました。

この季節は、落ち葉に足をとられて滑りそれには気を配ります。でも、滝の周囲はまだ降雪がないので歩きやすく、それに草木の落葉が終わっているのではるか遠くまで見通しも利きます。私のように山入りを趣味とする者にとっては、どこにどんな木があるのかをふくめ山の様子を知るうえでも、雪のない初冬の林歩きは絶好の季節なのです。

それに、初冬のキノコたちとも必ず出会えますから、なおのこと私の気持ちははずみます。

燃えに燃えた紅葉絶景の崖「いずくら」も天正の滝も、流れ落ちる水の色も勢いも、みんな初冬のたたずまいに変わり、まわりはいずこも水墨画の世界です。それだけに、落葉のまだ終わらないカラマツの黄色が、峰々のブナを覆っている新雪とともにその輝きがよけい引き立ちます。木々の葉っぱが落ちるとよく目に入るのがスズメバチの巣。森のあちこちで大きな巣が幹の高所に垂れ下がっています。

滝の周囲では、ミズナラやブナの倒木、根株などにクリタケとムキタケがいっぱい。小さな粒や株もみられますから、雪が積もらなければナメコも含めてもっと遅くまで山の幸を楽しむことができるのです。

積雪前の各地のブナの森深山へ向かいたいのですが、予報ではまた山の積雪が少し重なるようですから今年は無理でしょう。

▼人里集落への初降雪が昨夜からあり、今朝の国道、県道、村道には今冬初の除雪車が出動しました。家々でも除雪作業が必要となり、我が家でも除雪トラクターを半年ぶりに稼働です。吹雪模様の荒れ空に、これからの厳しい冬をまた覚悟です。

▼昨夜は、都内に住む親戚から「TBSで村の教育を放送したよ」と電話が入りました。今月の30日には日本テレビ系列の「世界一受けたい授業」でも村の教育が放送されると聞いております。取材があったことは知っていますが、どんな内容なのか注目です。