豪雪のくらしをまもる水

正月三が日を過ぎたら、雪下ろし作業が毎日のように見られるようになった村内。

この降りようだと、「今週中に4度目の下ろしだな」と覚悟している我が家です。下ろした雪がたまっている窓際は、すでに二階から出入りできるほどの高さになっています。集落で2㍍の積雪が測られるのはもう時間の問題でしょう。

豪雪の村で、除雪や融雪で活躍する代表格は水。流雪溝はもちろんのこと、水は、家々のエド(井戸・池のこと)や、その流末などを利用して流れによる消雪もはかられます。地下水もほんの一部で利用されますが、村内集落へこれら大部分の水を供給するのはそれぞれのヘギ(堰)。

 

 

 

 

 

ヘギ(堰)の多くは、夏場は田んぼの農業用水や生活用水となり、冬場は流雪や消雪の役割にと四季を通じて大活躍です。このように雪国の用水路「堰」は、農家だけの「利益を産む水」ではなく、そこに暮らす人々全部のご利益となる命をまもる水路です。

わが集落の幹線水路の名は「遠藤堰(えんどうぜぎ)」。「1663年(寛文3年)から6年の歳月を要して完成した堰」と村の郷土誌は記します。それから幾度もの改修を経た堰は、成瀬川支流でいずれも県境を源流とする合居川、沼又沢、土倉沢の水を合わせて通し続け、350年以上も部落の人々のいのちをまもっています。