栽培もののゼンマイも盛りに

深山はブナの芽吹きが終わらず山菜もこれからが本番ですが、里山はその山菜が真っ盛り。

畑やたんぼの土手に栽培されている村のゼンマイもようやく採り時をむかえています。これからしばらくは、我が家でも88歳になる母ひとりで、採る、ゆでる、干す、揉むの手数を必要とするゼンマイとのつきあいの日々となります。

栽培ものといっても、もともとそこは自然のゼンマイがよく育っていた原野。今も、畑すぐそばの原野や林には天然もののゼンマイも豊富に見られます。

 

ただむかしとちがって、高齢化がすすみ、また食べられるまでの作業のめんどうさがつきまとい、山村の食生活そのものの変化もあるためか、自然のゼンマイを採る人々の姿もぐんと少なくなりました。そのため村の里山のいずこも、手折られずに育つゼンマイが以前とは比べものにならないほど豊かのようです。

また、昔のプロ山菜採りの生活をささえ大切な役割をはたした高品質ゼンマイが採れる深山でも、プロの方々のほとんどが引退するか鬼籍にはいっておられますから、里山よりもゼンマイ採りの姿はさらに少なくなっています。

長年の生業をささえたそのプロたちの採り場には、見事なゼンマイがまるで畑のようになっている所もたくさんあります。こちらも時々深山でそんな見事な天然の「ゼンマイ畑」を見かけることがありますが、わが家は栽培もので足りているので「うわーすごい」と思うだけで、深山から背負ってくることはありません。

わが家の周囲では細めのネマガリタケの笹子(タケノコ)も顔を見せ始めました。深山の太いタケノコとはちがい、細めは細めなりの食べやすさ、味の染みこみやすいおいしさがあり、私はもっとも好きなランクにあげる山菜のひとつです。