お世話になった先輩T氏逝く

20歳代の半ば頃から活動を共にし、書くこと、話すこと、諸々の課題への的確な政治判断と機敏な対応など、様々な面で教えをうけた先輩方のうちのお一人T氏が急逝され、きのう葬儀がおこなわれた。

まだ78歳。人の命はみなひとしく大切なもの。でもよく「なんで、あんなにいだましい人が早く亡くなるの」といわれるように、あまりにもいたましいT氏の、早すぎる訃報に接し無念でならない。

T氏は長年旧稲川町の町議に就かれ、川連塗りの伝統工芸士としても尽力された。趣味としては書の道にも長けておられた。漆器はもちろんだが、氏の手による漆塗りの表札や名刺、年賀状など、氏の塗りが施された伝統の技の見事さに感銘をうけた方は多かった。

T氏は、読み手の側を考えたわかりやすい文章を書くことにも秀でた方で、またその文字の美しさ、編集力の高さでも名の通った方だった。文章がまだ手書きの時代、あれほど読みやすく美しいビラなどを書き編集できる方は世間にそんなに多くはいなかった時代のことである。

医師の令息をはじめ、奥様も看護師の長い経歴があったので、T氏が病魔に襲われこんなにも早く命を奪われたこと、ご遺族皆様方のその心境をお察しすれば申し上げる言葉もない。

憲法がかかげる平和と地方自治の大切さを強く説かれた先輩T氏。お世話になり、教えをうけたことをあらためて思い起こし、活動を共にしたありし日の姿を偲びながら焼香に立ちご冥福を心からお祈りした。

▼きのう午後、籾すり作業の合間に「クォークォー」のかん高い鳴き声が聞こえた。空を見上げたら栗駒方面へ南下する雁の群れだ。50羽ほどの一群れに続き、もう一群れも続いた。毎年人里に紅葉が下りる頃彼らの群れがやってくる。奥羽の峰を越え、宮城県北部の各沼地をめざして渡ってくる大集団の先陣だろう。冬鳥たちの季節が今年もきた。