畦塗り作業

金曜日には畦塗り作業を終え、一回目の畦草刈りも翌日に済ませ、本代掻き作業の段取りをすべて整えました。

我が家と同じように荒代掻き(あらしろかき・一回目の代掻き)に入った方々が村内でも見え始め、苗をあっせんするJAからは「21日から植え付け苗の供給を始めます」という旨の連絡が入りました。今週末から村内は田植え風景一色となるでしょう。

土を塗り替えられ草を刈られた畦と土手はこのようにすっきり。新しく塗られたばかりの畦は土がまだ軟らかく、その日の夜に歩いた生きものの足跡が残ります。この足跡は、タヌキかな?アナグマかな?

代掻き後の田んぼは水が満面に張られていて、そこはカモたちの絶好の羽根休め場、エサ採り場へと変わります。

主に観られるカモは留鳥のデロガモ(カルガモ)とオシドリ。つがいとなったオシドリの美しい羽根姿にはいつみてもウットリです。

▼昨日は、訪れた童たちと連れだって閉鎖中(今日正午に県境までは開通)の国道397号沿いを散策しながら山菜採り体験です。アザミのトッコ(茎)など山菜の大好きな童たち。アザミの茎は今が真っ盛り。雪崩の塊があり雪消えの遅い沢筋ではウド、アエコ(ミヤマイラクサ)もまだ採り頃です。

家周りのオオナルコユリの仲間や、転作の田んぼに植え付けているギョウジャニンニクも今が食べ時。笹子(ささご・細いネマガリタケノコ)も加え週末は山菜がいっぱいならぶ食卓となりました。

水とふれあうしごとの始まり

きのうは早朝5時前から一回目の代掻きをはじめ、畦塗りの段取りを終えました。そして今日は畦塗りです。

代掻き最中には、カエルやミミズ、ケラムシなどがいっぱい出てきて、それを食べようとカラスやセキレイ、ムクドリなどが畦や田んぼを忙しそうに飛び歩きます。

代掻き後、水が満面に溜まった田んぼにはデロガモ(カルガモ)が早速着水し羽根を休めていました。

田んぼは、生き物たちの大切なエサ採り場、憩いの場でもあるのです。

▼午後、所用で村内をまわったら、あちこちの家々で自家用に採ってきたゼンマイ干しが盛んです。

昔とちがいゼンマイ採りのプロ、いわゆるハギミの方々は激減していて、以前のように深山から採ってきた大量のゼンマイを揉み乾燥する人々の姿は少なくなっています。むしろ昨今は、田んぼへ転作としてゼンマイを植えた方々のほうが、生産・販売量としては多くをしめているでしょう。

自家用のゼンマイなら、昔から集落まわりの里山で充分に採ることができたのですが、社会の高齢化にともない、簡単に入山できる里山でさえゼンマイ採りの方は年々少なくなっています。そのため、人里近くでも採られずに生長しているゼンマイをたくさん見かけます。ゼンマイにまで、世の高齢化は及んでいるのです。

豪雪の村の貴婦人たち

豪雪の村の象徴のようなトガクシショウマとシラネアオイが花盛りとなりました。

植生の場所がある程度限られ稀少な花として愛されるシラネアオイ。村ではごく普通に里山から深山に群生地が見られます。一方のトガクシショウマは深山の極めて限られた範囲でしか見られない村でも極めて稀少な野草です。

深山のあちこちを歩くこちらも、トガクシショウマの植生はブナの森でわずか3箇所を知るだけです。

二つの野草とも一属一種の特産種とされています。そんなこともあってでしょうか、花の美しさとあわせ稀少種ということもあり、観る人の心に深くのこる花たちです。シラネアオイなどは「貴婦人」などとたとえられることもありますが、花の色と姿をみれば「なるほど」と思えてもきます。

華麗な貴婦人たちが咲き誇るそばのブナ林にはタムシバやムラサキヤシオツツジも満開です。こちらの花姿もどことなく高貴ですから「樹木の楊貴妃」とでもしておきましょうか。

品格のある花々たちが咲く渓谷やイズクラの崖は春紅葉の真っ最中。それでも谷の尾根上部まではブナの萌えが上がりきらず、山はその境目がまだはっきりとわかります。

幾度もお伝えしているように合居川林道に落ちた今年の雪崩の大きさは例年をはるかに上回る規模で、雪崩の直撃を受けた樹木ごと道を塞いだままです。雪崩や落石の危険があり除雪作業はもう少し経たないとできないでしょう。

葉ほげがなかなか上がらず

風の強かった9日午後、「ブナの葉ほげ(萌え)が1000㍍ラインまで上がったかな?」と、6日午後に訪れた須川高原へまた上がってみました。

途中の成瀬ダム工事現場周辺の北ノ俣沢や赤川、狐狼化沢周囲から国定公園入り口までのブナは先日と同じように萌え真っ盛りで、そこまではずうっと若葉の世界です。

しかし、それより標高を上げると3日間も経ったのに期待に反して萌えはそれほど進まず、ブナの森林限界となる林では、ごく一部の樹がやっと萌芽をはじめたばかり。雪上にブナの新緑が映える高原景色まではもう少しの日数が必要のようでした。今日あたりならブナのいっせい萌えは始まりだしたのかな?

林内には、不作といわれた昨年秋でも実をつけたブナが所々にあり、クマがそれらの幹を探して樹上で枝を折りながら実を食べたクマ棚の跡が見られます。雪上には実をつつんだ殻の粒々が落ちています。なので、不作のなかでも実をつけた、クマたちにとってありがたい幹は一目で見分けがつきます。萌えが進んだ里山のブナを見れば、今年は昨年よりもさらに実が不作と思われます。こういう食べ跡や落ちた殻の様子を来春は見られないかも。

雪上の新緑のブナはご紹介できませんが、3日の間をおいた高原の様子をまた載せておきます。遠望の嶺は栗駒の北に隣り合わせる同じ国定公園内の焼石連峰です。

▼10日夕方には田んぼへ初の水入れをしました。1回目の代掻きをして畦塗りをするための段取りです。水の入った田んぼを見ると、「さあ、今年もコメ作りの始まりだ!」と、心にちょっとの気合いが入ります。

里山の萌えはほぼ進み終わり、山全体は色とりどりの新しい衣へと着せ替えを終えました。この頃になれば、自宅周りではササゴと呼ぶ細いネマガリタケノコが真っ盛りとなります。わが食卓は、タケノコ、アザミ、ウド、コゴミ、ホンナ、シドケ、ウルイ、ワサビ等々、家周りの散策がてらに採れる山菜食の日々が続きます。化成肥料ゼロ、農薬ゼロで育つ山の菜がこんなに豊かに食べられるのですから、春の山村暮らしはうれしいものです。

県町村議会議長会の理事会へ

県町村議会議長会の正副会長会議と理事会がきのう秋田市内で開かれました。

理事会は任期満了にともなう議長会の役員改選が議題で、新たな役員体制が決められました。現会長の金子芳継氏(三種町議会議長)に替わる新会長職には私が選ばれ、新副会長には井川町の遠藤政勝議長が選任されました。監事には藤里町議会議長の小森久博氏と大潟村議会議長の丹野敏彦氏が選任されました。すべて全会一致による選任です。

午前には県町村電算システム事業共同組合議会の臨時会が開かれ、監査委員選任の同意を求める二つの案件が審議され全会一致で同意となりました。

新監査委員は、識見を有する委員として高橋真一氏(再任)、組合議員からの選任としては五城目町議会議長の石川交三氏です。

新たに、あるいは一部交替の体制で、それぞれの組織は令和3年度事業を引き続き進めることになりました。私も、議長各位をはじめみなさんの助言をいただきながら職責をしっかり果たさねばと気を引き締めております。各位のご協力をどうか今後もよろしくお願いいたします。

部落長(自治会長)会議

7日に部落長(自治会長)会議が開かれました。各地区から村と議会に新しく出されていた要望について地区代表の方々から説明を受け、当座の村の考えがしめされました。

要望箇所の現地視察が村と議会合同で6月に行われます。部落長会議前には、豪雪対策会議も開かれ、経過報告や支援対策についての報告もされました。対策本部はこの日をもって任務を終え解かれました。

▼7日午後は成瀬ダム建設促進期成同盟会の総会へ。総会の前段には花篭利行成瀬ダム工事事務所長を講師とする研修会も行われました。

この日は、女性たちの運営するなるせ加工研究会の直売所が営業を開始。コロナ禍なので
ゴールデンウィーク中の開店は昨年同様見送り、連休明けからのスタートとなりました。

▼8日は早朝5時から田んぼ用水路の共同清掃作業へ。豪雪の影響で水路への倒木などが例年より多く、その処理などで例年より作業に時間がかかりました。水路では雪の圧力による側溝の一部損壊も見られます。おそらく村内のほかの用水路でも程度の差はあれ同じような状況が見られる所もあると思われます。

▼きのうは地元集落の春祭りの日。例年なら青年達や各地区親子会による4つの恵比寿俵や神輿奉納があり、それが集落内を練りあるくのがこの日のごくふつうの光景。しかし、昨年に続き新型コロナ禍なのでそれらは今年もなし。2年続きでさみしい静かな祭り日となりました。

▼6日午後、はじめて栗駒山荘や須川高原温泉のある県境の高原まであがりました。

この日、標高1000㍍ラインまでブナの芽吹きはまだ昇らず、新緑はわずか下まで迫っていました。

雪解けの早い小高い地にはイワナシが花を開きはじめ、ショウジョウバカマもここでは今が咲き始めです。

1000㍍を少し越えるラインはブナ帯の森林限界でもあり、残雪いっぱいのブナ林のなかには里山では3月に咲き始めるマンサクが今花盛り。まだ雪に押さえられているつぼみや枝もいっぱい見受けられます。アカミノイヌツゲの緑も残雪の白さに映え、真っ赤な実も目を引きます。

栗駒山や秣岳をのぞむ高原にはたくさんの池塘があり、そこではミズバショウやコバイケイソウの群落が新芽をどんどん伸ばし始めています。

28日正午の国道342号開通にあわせて今シーズンの営業が始まったわが栗駒山荘や岩手側の須川高原温泉には、雪の世界での露天風呂などを楽しむ人々でしょう、ドライブなどで訪れた姿が一定数見られました。北方には焼石連峰も見通しよくのぞめます。
毎分6千リットルの湧出といわれる熱くて豊富な源泉は、小川のように湧き流れていました。温泉前のミネザクラはこれから咲きます。サクラ、タムシバ、ムラサキヤシオ、ウラジロヨウラク、サラサドウダンなどなど、雪と高原の花見をしながら楽しめる県境をまたいで隣り合わせる栗駒山荘と須川高原温泉。みなさんに、ぜひこの絶景をのぞみながら二つの温泉を楽しんでいただきたいと思います。残雪の栗駒高原、須川温泉へぜひお越しください。

 

山菜シーズン入りの里山にクマ多し

4日、集落の友人の方(元マタギ)が立ち寄り、村内柳沢地区の里山に山菜採りに入ったら、「クマがサグ(エゾニュウ・シシウドの仲間)の茎を食べた跡がいっぱいあった」と語り、「大声を出し、クマを遠ざけるようにした」と伝えてくれました。

こちらもおととい、童たちの大好きな山菜を採りにその柳沢と隣接する沼ノ又沢に向かったら、やはりクマがサグを食べた跡が随所で見られました。

この季節、冬眠明けのクマが最も多く食べるのがエゾニュウで、彼らは茎の根元部分をとくに好んで食べます。クマにとって深山のネマガリタケノコが出るまでの間は、里山や深山のエゾニュウは主食みたいなもの。茎の食べ跡が見られるところでは近くにクマがいる確率がとても高く、要注意です。

4日から5日にかけ柳沢地区では、4頭のクマがほかの山菜採りなどに目撃されていて、目撃した方たちの談によればそのうちの2頭は若子(わかご・今年生まれた子グマ)1頭をもつ親子。ほかの2頭は大きなオスらしいクマで、1頭はとりわけ大きい体だったとみられています。若子連れの母熊は冬眠穴のすぐそばに出て子グマとともに外での活動をはじめたばかりの様子です。古子連れ(ふるごづれ)と違い若子連れは天気が悪かったり夜になれば冬眠穴に入り、まだ出たり入ったりを繰り返しています。

里山の狭い範囲でオスグマ2頭もが子連れの母熊のすぐそばで目撃されたということは、生殖行為のためにメスグマの存在を意識した行動のはじまりといってよいのでしょう。子連れの母熊、メスを求める大きなオスグマ、同じクマでもこれはわれわれにとって極めて危険度の高いクマです。

今も彼らはそれほど離れない場所に生息していると思われます。椿川手倉から岩井川の柳沢地区から馬場地区、沼又地区の集落すぐそば里山へ入る方は目撃されたこれらのクマにとくに用心してください。

▼さて、クマのそんな食べ跡があるほどの里山斜面ですから、いよいよ山菜もシーズン本番入り。おとといは、ウルイ(オオバギボウシ)の初モノをごちそうになりました。

ヒラ(底雪崩)の落ちた谷には相変わらず大量の雪がかぶさり、雪の橋、雪のトンネル状態が今年はしばらく続きます。おかげでこちらは川を越えるのがとっても楽。

川のそばにはニリンソウの群落が花盛り。豪雪の村ですから、カタクリも残雪の脇で新芽を出したばかりの様子がまだまだ見られます。

深山も芽吹きの季節

5月1日で木々の芽吹きが標高800㍍ほどまで上がりました。

その日の午前、合居川渓谷のほんの手前まで少し入りましたが、林道には、ここ10数年にみられないほどの規模の大きな雪崩があり、道路は岩のような雪の塊でふさがれています。

これでは、雪塊の落下が危険でもうしばらくは除雪作業もできないでしょう。徒歩でも、雪崩の場所を歩き慣れたマタギ系列の狩人やハギミ(山菜採りのプロ)の方以外は入山は避けたほうがよさそうです。

同じ日に、28日に開通した国道342号を栗駒高原方面へ向かいました。国定公園入り口の大谷地付近までやっとブナの萌芽が始まっていて、そこで雪原を少し歩き引き返しました。合居川渓谷に比べこちらの道路斜面の雪はそれほど多くありません。過ぎた冬の山の雪は、村の岩井川方面での降雪が椿川地区よりも多かったのでしょうか。

往き来に眺める絶景は里山の春黄葉と成瀬川の背にそびえる名峰・東山。今年は連休の晴天が途切れ途切れで、焼石連峰や東山に連なる仙北街道方面への雪上歩きの機会をもてずに過ごしてしまいました。

▼4日には田んぼの耕起を終えました。粘土質の我が家の田んぼは、雪解け直後ということもありまだ水が溜まっていました。しかし、連休明けから行事がぽつぽつと入るので、「やれるうちにやっておこう!」とムリして作業に入りました。

案の定、場所によってはトラクターがかなり深く沈むところもありましたが、なんとか作業を終えました。

田んぼ土手に栽培しているゼンマイも採れはじめの頃をむかえ、童の臨時保育を兼ねながら、田んぼ作業に、ゼンマイ採りにと過ごす日もありました。

田んぼのまわりには残雪も少し見られます。カタクリやキクザキイチゲがここでは連休中に花姿真っ最中でした。