豪雪の村の貴婦人たち

豪雪の村の象徴のようなトガクシショウマとシラネアオイが花盛りとなりました。

植生の場所がある程度限られ稀少な花として愛されるシラネアオイ。村ではごく普通に里山から深山に群生地が見られます。一方のトガクシショウマは深山の極めて限られた範囲でしか見られない村でも極めて稀少な野草です。

深山のあちこちを歩くこちらも、トガクシショウマの植生はブナの森でわずか3箇所を知るだけです。

二つの野草とも一属一種の特産種とされています。そんなこともあってでしょうか、花の美しさとあわせ稀少種ということもあり、観る人の心に深くのこる花たちです。シラネアオイなどは「貴婦人」などとたとえられることもありますが、花の色と姿をみれば「なるほど」と思えてもきます。

華麗な貴婦人たちが咲き誇るそばのブナ林にはタムシバやムラサキヤシオツツジも満開です。こちらの花姿もどことなく高貴ですから「樹木の楊貴妃」とでもしておきましょうか。

品格のある花々たちが咲く渓谷やイズクラの崖は春紅葉の真っ最中。それでも谷の尾根上部まではブナの萌えが上がりきらず、山はその境目がまだはっきりとわかります。

幾度もお伝えしているように合居川林道に落ちた今年の雪崩の大きさは例年をはるかに上回る規模で、雪崩の直撃を受けた樹木ごと道を塞いだままです。雪崩や落石の危険があり除雪作業はもう少し経たないとできないでしょう。