観光立国、立県にふさわしい施策をより早く

きのうは、水田農業再生協議会の幹事会と総会、それらを終えては国道342号通行に係る安全祈願祭で須川高原の栗駒山荘へ。祈願行事を終えたら下って午後は議会の運営委員会、そして夜は警察署東成瀬駐在所と消防分署のみなさんの合同歓送迎会と、めずらしく一日に5つの会議や集いが重なりました。

私にとっては、こういう時間配分の行事日程は大歓迎。内容によっては時間効率を優先させることが無理な行事もあるでしょうが、横の連携をとられてこのような組み立てにしていただければ、お互い、時間をより有意義につかうことができます。タテだけでなくヨコの連携・連絡も加えてものごとを編む、なにかにつけてこういう視点は大事ですね。

CIMG3254-1きのうは、毎年のことながら冬季閉鎖の道路ということであらためて考えさせられたことがありました。栗駒山麓とこの地域の観光・交流人口にかかわる日本海側と太平洋側を結ぶ国道398号につづき、要となる国道342号も早期開通しました。なのに、この地域の観光にとって訪れる方々から切望されていてもまだ開通できないのが二つの国道を結ぶ県道仁郷~大湯線(昔の栗駒有料道路)です。

開通できないのは落石や落雪の危険のためであり、昨年から年次計画で一定の落石防止対策等の工事が進められています。しかし、この現地で切にのぞまれているのは国道342号の開通にあわせてゴールデンウィーク前にこの県道も同時開通できることへの抜本対策です。これは栗駒国定公園とその周辺地域を訪れる宮城、岩手、秋田、東北、全国の方々の痛切な願いでもあります。

「二つの国道が通れるのに、なぜ、二つを結ぶ観光の要となる県道が通れないの?」ここを訪れる観光客のみなさんからよく出されるこの質問は、課題がいつまでも解決されないままだと、素朴な疑問がやがては厳しい目へ結びつくと考えなければなりません。

融雪時期の落石や落雪防止の抜本対策をとられて、「観光立国、立県」を裏づけるゴールデンウィーク時には安全通行できる「宝モノ」の県道の実現を、一年でも一ヵ月でも一日でも早く願いたいものです。

この日、来賓として出席された県議さんが、現地の実情を把握されてでしょう、ごあいさつの後半で仁郷~大湯線の早期開通のことに触れられました。県南の観光立県の要となる県際の県道、重要な観光道路でもありますので、今後も県議会の場などをふくめ、冬季閉鎖の早期解除実現に力を尽くしていただきたいと思ったところです。

雪上を蟻巣山へ

CIMG3185-1CIMG3181-1「年に一度は」の残雪の尾根歩きを、おとといやっと実行できました。歩きは朝の8時から11時ちょっと過ぎまでのたったの3時間。向かったのは、合居川と岩手県西和賀町の南本内川境に位置する蟻巣山(ありすやま・1162㍍)。

蟻巣に向かったのは、短時間で行けるにしては展望がよくひらけて気分がよい山だからです。このコースは土倉沢沿いにのぼり、以前は三界山への登山の一コースとして歩いたところ。その時は、いったん県境まで上がり道路沿いに少し下り、蟻巣の裾をたどってジショウのテイ(時宗の平地)を経て三界山にむかうのが私たちの歩きでした。

今回は、目的が蟻巣山なので県境の道路境地点から尾根をまずは南に進み、途中から東にむかってややきつい斜面を横切り、蟻巣の北川山腹は崖と雪崩が危なくて登れないので今度は合居川と分水をなす県境の尾根に移り、蟻巣山の頂上に至るという歩きをしました。

CIMG3180-1途中、県境の秋田側尾根にたった1カ所、杉の木があります。ここは部落の入会地でブナの若木が育つ林ですが、なぜここにわずかの杉があるのか不思議です。どなたかが何かの目印に植えたのか、岩手側の植林地から種でも飛んできて実生が育ったのでしょうか。

CIMG3187-1朝のうちの北側急斜面は雪が堅く、ちょっとしたアイスバーン状態。今年は雪が少なく、尾根の広い範囲はネマガリタケが出ているのでやぶこぎを避け雪のある斜面を横切ることにしました。ただ、これほど雪の堅い急斜面を歩くのは久しぶりのこと、滑り落ちぬようにだけ気をつけながら、久しぶりに緊張した一歩一歩をていねいに踏んで登りました。
県境尾根にはマンサクの花が厚い雪の上で満開。ブナの幼木は、尾根特有のダシ(吹きだまり)に押さえられて苦しそうに弓なりのまま雪の中です。小枝にはノウサギの食べ跡も。

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CIMG3222-1CIMG3212-1CIMG3210-1予想どおり展望はまことによし。晴天花曇り(黄砂?)で岩手山は望めませんでしたが、南本内川とその支流、焼石連峰の山々、大森山のはるか向こうには栗駒山もくっきりです。1162㍍の孤独な頂では、ホー ホケチョの鳴き声をもつ小鳥と時をともにしました。

若い頃から何十年もの間クマ猟に駆けまわった合居川の名だたるクラ(崖)の猟場は、大森山麓側の西からタギノマダ(滝の又)、ナナグラ(七倉)。合居川渓谷を大きく二つに分ける境の尾根ナカザキツル(ナガヅル)。蟻巣側では西からカビラ、アガクラ、シゲマツのごく一部のクラ(倉・崖)などが眼下眼前にひろがります。

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東日本大震災の直後の4月、クマ狩の記録撮影をおこなった合居川の全体を、この日はメインのカメラを据えた大森山頂上と向き合っている反対の蟻巣山からじっくりとながめました。こうしてみると、合居川の谷も大きい。雪崩の落ちたクラ(崖)を見ながら、あそこで、あそこで、あそこでと、過去にクマとむきあった崖での場面を思いうかべました。
帰路、雪崩跡の小沢に今々のクマの足跡が雪上に。彼らの動きも活発になったようです。▼「やれる時にやれることを」と、旧式のクロ(畦)削りにきのうは一日を費やしました。

いろんな「花見」

過ぎた週末からきのうにかけては、水稲の種まき作業がピークとなったでしょう。

我が家では、豪雪で育苗ハウスを損壊させてから苗作り作業はやめていますので、この週は、これからの農作業準備などにちょこまかと動きました。それに、合居川と南本内川の境に位置する蟻巣山(1162㍍)まで岩手県境との尾根歩きに少し足をむけたり、合間に童との外遊びで過ごしたり。

DSCF0003-1土、日曜と好天に桜の満開が重なり、県内の桜の名所はいずこも花見でにぎやかだったようです。気温があがり、村内では、梅も桜もほぼ同時咲き。我が家前の城下公園も花と萌えたブナがいっきに見ばえよくなりました。

DSCF0002-1CIMG3131-1CIMG3125-1CIMG3141-1CIMG3170-1CIMG3178-1CIMG3160-1CIMG3119-1CIMG3112-1たんぼがある河岸段丘の台地も、母の実家のゼンマイ畑や家の裏にある沢筋の畑も、カタクリやチャワンバナコ(キクザキイチゲの仲間)が真っ盛り。ショウジョウバカマやエンゴサクの仲間も満開。桜でなくとも風情あふれる「花見」が山里では楽しめます。

里の地面や河原の柳はいっきに緑を増し、里山のブナも芽吹き前線を高所へと勢いよく上昇中です。春本番への草木の衣替えも瞬く間に中盤にさしかかり、これからナラなど遅れて芽吹く木々がほんわりと白緑になれば、里山の萌えの季節はまもなく終わりとなります。

CIMG3244-1CIMG3241-1CIMG3156-1CIMG3174-1河原、たんぼ、公園と、童たちは、暖かい春の陽の下、花、緑、水、冬眠あけの生きものたちに遊んでもらったりで、なんだかんだとおおはしゃぎ。満足の休日となったのかな。

所によって、人によって好きずき大きい山菜「シャク」

先月、由利本荘地方にでかけた時、道の駅などの直売所で売られていた早緑の菜に「山にんじん」という名がつけられていました。

「いったい、なんだろう」と手にとってみたら、それは芽をだした直後のヘリザグ(シャク)でした。村ではセリのことをヘリと発音する方が多く、葉っぱがセリに似ているサグということでヘリザグ。葉っぱがニンジンにも似ているので由利地方では「山にんじん」と名をつけたのでしょうか。それにしても、「ヘリザグの茎ならまだしも、葉っぱが店頭にならぶとは。所ちがえばなぁ」と感心してしまいました。

シャクはわが村でも少々は食べますし、直売所にもほんの少しならびますが、それは主に茎。食通の方は塩蔵までして利用しているようですが、最も早く芽を出し、活きのいい緑なのに村ではファンの少ない山菜です。

CIMG3107-1CIMG3110-1山菜ときのこで生きているような我が家でも、当方以外は誰も口にしないシャクが食卓に並ぶのはめずらしい初物の一度だけ。きのう、家のそばに採り頃の茎がありましたので、ほんのひとつまみ、特有の香りをいただきました。案の定、一度ごちそうになれば「もう、たくさんです。」でした。

地方や人によって食べ物利用度のちがいは実に様々。シャクも特有のクセをもつ山菜なので、特別に好きな方もきっといるのでしょう。家畜のヤギなどは、このシャクが大の大好物ですからね。

▼きのうは、県南地区農業委員会会長会の総会が大曲で開催されました。現行組織構成のもとで農業委員会が運営されるのは今後およそ1年と少しということになり、今年度の活動計画を決めました。

先日の暴風により、育苗ハウスを主とする農業施設への被害が各会長さんたちから語られました。損壊した資材の入荷・補充が遅れれば「種まきが遅れるかも」という言葉も交わされていました。

大地に緑が少しずつ増えて

CIMG3036-1CIMG3037-1この間、冬眠あけのクマが最も早く食べ物にする野草の一つに「ウドザグ」という方言名をあげました。そしたら、「ウドザグってどんな草」との問い合わせがありました。

それで、まず最初の写真はウドザグの新株、そして2枚目の写真はサグの新株を載せてご紹介です。「ウド」は空っぽのことで、茎が空洞のためについた方言と思います。

これでおわかりだと思いますが、ウドザグはハナウドの仲間でしょう、においが強烈で、おそらくまったく食べられる代物ではない種。村の人々は見向きもしません。が、なにしろ雪国の野草の中ではもっとも早く芽を出すことから、クマやカモシカをはじめ野の生きものたちは、まずはウドザグなどをめざすようです。

茎が充実したサグとちがい、このように茎が中空で、夏の前に一足早くいっぱいの花が咲き、先へ先へと成長がすすむ群生のウドザグ。野の生きもの、あるいはミツバチたちなどにとってはなんともありがたい野草ということです。

一方のサグは、シシウドやエゾニュウの仲間のことをいうのだと思います。こちらは、クマをはじめ多くの生きものたちも大好物なら、村の人々も好んで食べる山菜。村では塩蔵専用の山菜でもあり(最近は新芽の茎もキンピラなどの料理で利用)、わが家では冬の間の常備菜でもあります。塩蔵で利用するのは新芽の茎ではなく、成長して茎が二又に分かれた間から出た柔らかい中心茎。

サグは、地方によっては根を薬草として利用するほどに価値の高い野の草。クマも、夏の高山では中心茎や根を掘って食べた跡がよく見られます。かれらも、サグの栄養価や薬効をきっと知っているのでしょう。

今年の村は雪消が早く、里山の日向斜面を緑に染めているのはウドザグ。まもなくサグも、ウドザグを追って次から次へと芽を出し、それよりやや遅れてヤマウドも目立つようになるでしょう。集落の道路沿いなど法面にはヘリザグ(シャク)も緑を濃くしています。日向の里山ではブナが芽吹き始め、ヤマザクラも咲き始めました。林も大地も若緑にそまりはじめ、川も勢いがあり、生きものたちは愛の季節入り。ものみな躍動の春です。

CIMG3111-1先日、「食べてください」と友人からコゴミをいただきました。田子内集落の春祭りがまもなくです。いつもの祭りだと主な山菜は少し早めなのですが、今年は、オードブルのごちそうだけではなく山菜のはしりが結構食べられる、野の食でもうれしい祭りの年となるのかも。

▼きのうは湯沢雄勝地域農業委員会連絡協議会の総会へ。今年度の事業計画を決めるとともに、関係法の改定によって委員などの選出方法が新たなしくみとなることへの対応をふくめた情報交換をおこないました。

もう、来る冬に備えて

雪が消えたらすぐに、冬へそなえてのしごとが始まる雪国のむら。

昔なら、まだ雪解け前の3月には、来冬に備えて燃料用の薪の伐り出しが始まっていました。しかし今は、広い山林持ちのごく少数の家ならそんな作業を続けている方がいるでしょうが、集落全体で、入会林野から薪を切り出す昔の作業はなくなっています。

ただ、今でも薪を燃料としている家々では、山での作業はなくなっているものの、来冬にそなえる薪づくり仕事はあります。方々の家々には、森林組合や山林業者さんから購入した薪材が積み置かれ、切ったり、割ったりの作業風景もはじまっています。

CIMG3099-1CIMG3100-1我が家も、身内からいただいたダンプトラック2台ほどのリンゴ樹の材を、おとといから2日ほどかけて、切る、割る、積むの作業に少々の汗を流しました。

CIMG3104-1▼熊本地方の震災が拡大し、かつ長引く様相がみられ、村として被災自治体への支援準備を念頭におく日々が続いていました。きのう朝には、事務局長へ「執行当局と連携し、的確な動きをしよう」という旨をつたえました。きのう朝の時点で、村と災害時の支援協定を結んでいる市町村では支援を要する規模の大きな被災はないようですが、こういう時にはすべての市町村が「お互い様」助け合いの心で、被災地が求めていること、支援できる可能なことに精をつくすのが、自治体、そして社会の常道だからです。

午後、薪づくり作業を終え一服していたら、総務課長から「美しい村連合構成の被災自治体で物資の不足があり、要請された物品を準備し夕方4時半に発送する運び」という旨の連絡が入り、急きょ役場へ向かいました。

急ぎの準備で量的に多くはないものでしたが、村で備蓄されていた飲料水や食品など村の「支援の心」を載せたトラック便が夕刻に役場を出発しました。それを見送り帰宅したら、また「熊本地方で震度5強の地震発生」の報道が流れました。震度4以上の揺れがすでに70回をこえるほどに頻発、被災地のみなさんの不安に同情の日々がつづきます。

散策しながら、捕る、採る、撮る

おととい、家族が「はじめで、ホケチョの鳴ぐ声、聞いだ」といいました。

わが家前の柳の河畔林が芽吹きはじめる時、南の国からの渡り鳥たちが少しずつ姿を見せ始めます。ウグイスの初鳴きが聞かれる頃ですから、青い鳥オオルリや、小鳥では美の象徴ともいえるキビタキも帰ってきているでしょうが、どうしたわけかまだそちらは一度も姿を見ません。

土曜日、その河畔林に童と散策。春歩きのついでは魚とキノコと山菜とり。童はとくに魚とキノコに興味がありそう。

CIMG3055-1CIMG3050-1CIMG3051-1河畔林には少々の伏流水がわき出ていくつかの小さな淵をつくり、成瀬川本流に注ぎます。その淵には本流からカワザッコ(ウグイ)やニガペ(アブラハヤ)がのぼり産卵、そこは天然の池みたいなものですから、そのまますみついた小魚たちが群れでみられます。

CIMG3086-1一時の鑑賞用に、その小魚たちを網ですくい2人でおおはしゃぎ。大きくならないアブラハヤは、こちらがガギの頃は、ごはんつぶの餌で釣ったりした親しみ深く郷愁をさそう小魚。水槽に入れたら、童は満足の顔でしばらくながめていました。金魚用の餌やごはん粒でしばらくあつかい、「少し楽しんだら放そう」と約束しました。

CIMG3047-1CIMG3061-1CIMG3085-1CIMG3058-1魚をすくってから、河川敷を自由に歩き回る童が何かを見つけたようで「眼をつむっていて!」と突然こちらに叫び、遠くから何かをつかんで駆け寄ってきます。「虫か、なにかの生きものをとらえたのだろう」と眼をひらいたら、童の手にはきれいなエノキタケが。こちらが歩いた同じ通りでキノコを見つけ、大人を上まわる「発見のすごさ」で驚かそうと思ったようです。この季節は次から次へとユギノシタキノゴ(エノキタケ)が顔を出し、この日も、あっちにもこっちにも。キノコ味噌汁大好きの童は大忙しです。

CIMG3066-1CIMG3070-1CIMG3069-1CIMG3073-1湧水流末のヤジ(谷地・湿地)や流れに育つノゼリも春の旬時です。「つめたーい」といいながら童も泥に指をさし、慣れぬ手つきで今度はセリ摘み。「セリは生で食べれるんだよ」と口に入れ「ちょっと苦い」などと楽しんでいました。栽培セリとちがいノゼリはアクが強いですからね。でも、これがセリ本来の味というものです。

CIMG3077-1CIMG3079-1CIMG3083-1そばにはエベロ(オオウバユリ)やアザミの新芽もあり、エベロは球根を堀りとって、アザミは葉と茎を切り取って、これも旬の味を味噌汁でいただきました。童も、キノコとアザミとセリを持ち帰り、旬の味覚をたっぷりとごちそうになったでしょう。

土のサクラ、イワウチワ

▼大分まで震災が拡大した九州の大地震。何度も震災を体験した我々には、被災現地の方々の心情が推しはかれます。山村集落の孤立、被災者規模の多さに比べ避難所収容力の不足と配給時などの長時間の列並び、避難所の床面対策や、乳幼児、妊婦、病人、老人など災害弱者対策、個人でできる資材・備品備蓄の重要さ。報道は、今後の震災対応策への課題を全国に教えます。

CIMG2993-1CIMG2994-1CIMG2998-1▼先週14日、役場での用務を果たして帰宅途中、お天気予報とはまったくかけはなれた陽射しが注ぎ、しかも晴天は長持ちしそうでした。それで、「ん、天正の滝まで、ちょっと、行くが」と急きょ決め、カメラ持参で合居川渓谷へ直行。目的はイワウチワの花です。

CIMG3028-1CIMG3030-1もちろん、道路は厚い雪、まだ車は通れません。それに、今の時期の渓谷、とくに合居川は、国有林入り口からいきなり大雪崩の多発地帯で、普段の年ならこれからも大小の雪崩発生が続きます。われわれは、長年の経験で危険を避ける谷や尾根歩きをしますが、この季節の一般の方の入山は極めて危険、命にかかわりますので谷入りは御遠慮ください。

さて、歩き開始は10時半。気温が高く斜面の雪がゆるみ始める時。ガンクラ(岩崖)にまだ残っている雪でこれから発生するヒラ(底雪崩)や、落ちてきて斜面の残雪上にとどまっている石落ちが、まことに危ない時間帯です。ただし、すでに落ちた雪崩規模は、冬の累積降雪量が少ない分例年よりはるかに小さく、渓谷の雪解けも予想どおり早し。

CIMG3002-1CIMG3007-1CIMG3012-1CIMG3016-1CIMG3033-1CIMG3031-1CIMG3020-1チヂザグラ(土桜・イワウチワ)は、滝の展望台周辺はまだ雪が消えたばかりで花は少々の赤みをさした堅いつぼみのまま。それで「雪解けの早い斜面に」と、柱状節理のいずくらを下からのぞめる川のすぐそばまでブナとミズナラのきつい尾根を下ったら、途中、西南向きの日当たり斜面に花色の濃淡様々な小群れが見られました。無理して来たかいがあり、可憐な美しさに何度も立ち止まり、息を止めてささやかな花見を。滑り落ちないよう柴木を左手でつかみながら右手でシャッターを押したり。そばにはショウジョウバカマも。

往きには、ヤマドリ3羽がまとまった視野の雪崩跡にいて、オスが自分を誇示してドラミングをして見えたり、かすかに鳴き声らしき音も聞こえました。1羽はメス、2羽はオス。ヤマドリが、メス1羽とオス2羽がともにいるところを春にみるのは初めて。「まもなく繁殖期、これは、メスの奪い合いの最中にまちがいない」と、すぐにピンときました。

CSC_0002-1CSC_0003-1CSC_0004-1CIMG3038-1瞬時、1羽のオスにカメラをむけましたが、遠すぎて焦点定まらず写真はまったくのボケ。でも、雪崩跡のボコボコ雪塊の上で愛を競っているらしいオスのかたちだけはのこりましたのでご紹介です。帰路には、やっとそれらしい姿になりはじめたミズバショウも湧水そばで目にし、背中に汗を感じながらおよそ2時間で車に到着。熊本震災はその夜でした。

CIMG3093-1▼15日は、羽後町議会の議長さんと副議長さんが就任のごあいさつということで村を訪問され、副議長とともに応対。17日は地元部落の総会へ出席。役員改選もありました。

熊本地方の震災で地震列島を実感

直下型地震をふくめ過去に何度も大きな地震を体験した私たち、その当時を思い出させる震災が今度は熊本地方で発生しました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたみなさんへの心からのお見舞いを申し上げます。

この地震が真冬の豪雪地帯で深夜に発生したらどうなるか、震災の都度、私の頭をめぐるのはいつもそのことです。県内の自治体では、冬の震災にそなえた避難訓練を行うところも出てきましたが、行政、各機関、各地域、個人が、厳冬期の震災に即対応できる諸々の現実策に今から備えておかねばと、あらためて感じました。ここは地震列島を忘れずに。

▼成瀬ダムの国道付替2号トンネル工事が今年からはじまります。この工事にあたる建設会社の支店部長さんたちが、昨日役場を訪れました。すでに現場所長の方の訪問も受けていますが、今回もあらかじめ議会にも来訪連絡がありごあいさつを申し上げました。

「今冬は、わが村とならぶ国内最大の豪雪地帯、新潟、長野県境の雪が少なかったので、役場所在地や人里集落の積雪ではわが村がもしかしたら国内最大級であったかも。それも例年よりはるかに少ない雪で」と、そんなことを念頭に置きながら、工事関係者にとっては関心があるうちの一つでしょう雪についてなどで言葉を交わし合いました。

平年よりはるかに少ないその積雪でも、工事現場周辺の残雪の多さはみなさんの想像をこえたようです。トンネル工事ですから仕事は地の中、雪は外の世界のことでほとんど支障はないでしょうが、彼らがはじめて過ごす本格豪雪の村、ラニーニャ現象が予想される今後、果たしてこんどの冬の雪はどうなるかです。

▼5月19日に予定される契約案件などでの臨時会議、6月8日開会予定の定例会議などの日程案もほぼ当局側と折り合わせ済み。それらの議会日程を頭に積みながら、会議運営に関する改革内容などを詰める運営委員会がこの26日午後に開催されます。

CIMG2984-1▼累計降雪量が少なかった分、わが家のたんぼの雪解けも平年よりはるかに早くすすみ、残る雪は畦際に少しというところまできました。

たんぼへ向かう道路は、自然融雪を待っていては農作業に間に合わないほどの吹きだまり。村によってそういう農道などは除雪されますが、雪が少ない年でも、まだわがたんぼ脇の道はこんな雪の壁です。

CIMG2981-1その雪の壁の上にはバッキャ(フキノトウ)が真っ盛り。どこにでもあるバッキャですが、思わずカメラをむけたくなる、そんな魅力的な見目形のバッキャにはなかなかであえないものです。これなど、魅力度はBクラスかな。

自家製味噌仕込み

一週間ほど前から、残雪の春山を歩いている方々が「今年は、クマの出るのが早い」というお話をしていました。

予想した通りです。雪解けがいつもの年より早く進んだため、里山で冬眠あけしたクマなら芽出しの早い臭い強烈なウドザグなど野草の新芽がありますが、野草のまだほとんどない深山のクマは昨秋に大豊作だったブナグリ(ブナの実)の落ちている林にまずは多く集まっているようです。カロリーもおいしさもブナグリは抜群だからでしょう。

今春の山の生きものたち、とくにクマの特徴、それは雪消の早いブナ林にはクマが「とにかく多い。それも大きいクマたちが」ということのようです。里山は別にして、深山では子連れの母グマの大半はまだ穴の中。今は早く活動し始めたオスグマが多いため「大きいクマ」が比較的目につくのでしょう。

残雪のブナ山歩きとクマの生態観察を春の趣味としているこちらも、天気がよければ行事、行事がなければ天気悪しで、なかなかクマたちとのご対面ができないでいます。

▼議会の広報編集委員会は、4月の発行日にむけた最後の委員会をきのうひらきました。今年度からは、首都圏なるせ会のみなさんからのご要望があり、村の広報と同じように会員のみなさんに届けられる予定です。

▼こちらは、この季節につきものの自家用味噌仕込みを妻に手伝い。我が家が毎年仕込む味噌は2斗。むかしのように多くを必要としませんから、大きな味噌桶の3分の1ぐらいまで詰め込むだけ。それもできあがりの材料を仕込むだけですから、釜を準備、火を焚く、豆を煮る、つぶす、麹と塩を加え混ぜるなど、昔のあの手間の多い作業よりはるかに楽なものです。

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味噌の仕込みに合わせて昨年秋に塩蔵していたキノコも塩出しされ、今度は味噌漬けとして何段も積み重ねて別桶につくられます。CIMG2966-1

昨年に仕込み、1年かけて熟成した味噌を食べ始めるのもこの春。味噌はお米と並び家族が毎日、あるいは我が家を訪れる誰もが食べる食の大元。新しくお出ましのわが家の味噌は、今後1年間、どんな食の語り合いを家族に結び、どんな人々との食卓での出会いをつくってくれるでしょうか。