▼大分まで震災が拡大した九州の大地震。何度も震災を体験した我々には、被災現地の方々の心情が推しはかれます。山村集落の孤立、被災者規模の多さに比べ避難所収容力の不足と配給時などの長時間の列並び、避難所の床面対策や、乳幼児、妊婦、病人、老人など災害弱者対策、個人でできる資材・備品備蓄の重要さ。報道は、今後の震災対応策への課題を全国に教えます。
▼先週14日、役場での用務を果たして帰宅途中、お天気予報とはまったくかけはなれた陽射しが注ぎ、しかも晴天は長持ちしそうでした。それで、「ん、天正の滝まで、ちょっと、行くが」と急きょ決め、カメラ持参で合居川渓谷へ直行。目的はイワウチワの花です。
もちろん、道路は厚い雪、まだ車は通れません。それに、今の時期の渓谷、とくに合居川は、国有林入り口からいきなり大雪崩の多発地帯で、普段の年ならこれからも大小の雪崩発生が続きます。われわれは、長年の経験で危険を避ける谷や尾根歩きをしますが、この季節の一般の方の入山は極めて危険、命にかかわりますので谷入りは御遠慮ください。
さて、歩き開始は10時半。気温が高く斜面の雪がゆるみ始める時。ガンクラ(岩崖)にまだ残っている雪でこれから発生するヒラ(底雪崩)や、落ちてきて斜面の残雪上にとどまっている石落ちが、まことに危ない時間帯です。ただし、すでに落ちた雪崩規模は、冬の累積降雪量が少ない分例年よりはるかに小さく、渓谷の雪解けも予想どおり早し。
チヂザグラ(土桜・イワウチワ)は、滝の展望台周辺はまだ雪が消えたばかりで花は少々の赤みをさした堅いつぼみのまま。それで「雪解けの早い斜面に」と、柱状節理のいずくらを下からのぞめる川のすぐそばまでブナとミズナラのきつい尾根を下ったら、途中、西南向きの日当たり斜面に花色の濃淡様々な小群れが見られました。無理して来たかいがあり、可憐な美しさに何度も立ち止まり、息を止めてささやかな花見を。滑り落ちないよう柴木を左手でつかみながら右手でシャッターを押したり。そばにはショウジョウバカマも。
往きには、ヤマドリ3羽がまとまった視野の雪崩跡にいて、オスが自分を誇示してドラミングをして見えたり、かすかに鳴き声らしき音も聞こえました。1羽はメス、2羽はオス。ヤマドリが、メス1羽とオス2羽がともにいるところを春にみるのは初めて。「まもなく繁殖期、これは、メスの奪い合いの最中にまちがいない」と、すぐにピンときました。
瞬時、1羽のオスにカメラをむけましたが、遠すぎて焦点定まらず写真はまったくのボケ。でも、雪崩跡のボコボコ雪塊の上で愛を競っているらしいオスのかたちだけはのこりましたのでご紹介です。帰路には、やっとそれらしい姿になりはじめたミズバショウも湧水そばで目にし、背中に汗を感じながらおよそ2時間で車に到着。熊本震災はその夜でした。
▼15日は、羽後町議会の議長さんと副議長さんが就任のごあいさつということで村を訪問され、副議長とともに応対。17日は地元部落の総会へ出席。役員改選もありました。