おととい、家族が「はじめで、ホケチョの鳴ぐ声、聞いだ」といいました。
わが家前の柳の河畔林が芽吹きはじめる時、南の国からの渡り鳥たちが少しずつ姿を見せ始めます。ウグイスの初鳴きが聞かれる頃ですから、青い鳥オオルリや、小鳥では美の象徴ともいえるキビタキも帰ってきているでしょうが、どうしたわけかまだそちらは一度も姿を見ません。
土曜日、その河畔林に童と散策。春歩きのついでは魚とキノコと山菜とり。童はとくに魚とキノコに興味がありそう。
河畔林には少々の伏流水がわき出ていくつかの小さな淵をつくり、成瀬川本流に注ぎます。その淵には本流からカワザッコ(ウグイ)やニガペ(アブラハヤ)がのぼり産卵、そこは天然の池みたいなものですから、そのまますみついた小魚たちが群れでみられます。
一時の鑑賞用に、その小魚たちを網ですくい2人でおおはしゃぎ。大きくならないアブラハヤは、こちらがガギの頃は、ごはんつぶの餌で釣ったりした親しみ深く郷愁をさそう小魚。水槽に入れたら、童は満足の顔でしばらくながめていました。金魚用の餌やごはん粒でしばらくあつかい、「少し楽しんだら放そう」と約束しました。
魚をすくってから、河川敷を自由に歩き回る童が何かを見つけたようで「眼をつむっていて!」と突然こちらに叫び、遠くから何かをつかんで駆け寄ってきます。「虫か、なにかの生きものをとらえたのだろう」と眼をひらいたら、童の手にはきれいなエノキタケが。こちらが歩いた同じ通りでキノコを見つけ、大人を上まわる「発見のすごさ」で驚かそうと思ったようです。この季節は次から次へとユギノシタキノゴ(エノキタケ)が顔を出し、この日も、あっちにもこっちにも。キノコ味噌汁大好きの童は大忙しです。
湧水流末のヤジ(谷地・湿地)や流れに育つノゼリも春の旬時です。「つめたーい」といいながら童も泥に指をさし、慣れぬ手つきで今度はセリ摘み。「セリは生で食べれるんだよ」と口に入れ「ちょっと苦い」などと楽しんでいました。栽培セリとちがいノゼリはアクが強いですからね。でも、これがセリ本来の味というものです。
そばにはエベロ(オオウバユリ)やアザミの新芽もあり、エベロは球根を堀りとって、アザミは葉と茎を切り取って、これも旬の味を味噌汁でいただきました。童も、キノコとアザミとセリを持ち帰り、旬の味覚をたっぷりとごちそうになったでしょう。