大地に緑が少しずつ増えて

CIMG3036-1CIMG3037-1この間、冬眠あけのクマが最も早く食べ物にする野草の一つに「ウドザグ」という方言名をあげました。そしたら、「ウドザグってどんな草」との問い合わせがありました。

それで、まず最初の写真はウドザグの新株、そして2枚目の写真はサグの新株を載せてご紹介です。「ウド」は空っぽのことで、茎が空洞のためについた方言と思います。

これでおわかりだと思いますが、ウドザグはハナウドの仲間でしょう、においが強烈で、おそらくまったく食べられる代物ではない種。村の人々は見向きもしません。が、なにしろ雪国の野草の中ではもっとも早く芽を出すことから、クマやカモシカをはじめ野の生きものたちは、まずはウドザグなどをめざすようです。

茎が充実したサグとちがい、このように茎が中空で、夏の前に一足早くいっぱいの花が咲き、先へ先へと成長がすすむ群生のウドザグ。野の生きもの、あるいはミツバチたちなどにとってはなんともありがたい野草ということです。

一方のサグは、シシウドやエゾニュウの仲間のことをいうのだと思います。こちらは、クマをはじめ多くの生きものたちも大好物なら、村の人々も好んで食べる山菜。村では塩蔵専用の山菜でもあり(最近は新芽の茎もキンピラなどの料理で利用)、わが家では冬の間の常備菜でもあります。塩蔵で利用するのは新芽の茎ではなく、成長して茎が二又に分かれた間から出た柔らかい中心茎。

サグは、地方によっては根を薬草として利用するほどに価値の高い野の草。クマも、夏の高山では中心茎や根を掘って食べた跡がよく見られます。かれらも、サグの栄養価や薬効をきっと知っているのでしょう。

今年の村は雪消が早く、里山の日向斜面を緑に染めているのはウドザグ。まもなくサグも、ウドザグを追って次から次へと芽を出し、それよりやや遅れてヤマウドも目立つようになるでしょう。集落の道路沿いなど法面にはヘリザグ(シャク)も緑を濃くしています。日向の里山ではブナが芽吹き始め、ヤマザクラも咲き始めました。林も大地も若緑にそまりはじめ、川も勢いがあり、生きものたちは愛の季節入り。ものみな躍動の春です。

CIMG3111-1先日、「食べてください」と友人からコゴミをいただきました。田子内集落の春祭りがまもなくです。いつもの祭りだと主な山菜は少し早めなのですが、今年は、オードブルのごちそうだけではなく山菜のはしりが結構食べられる、野の食でもうれしい祭りの年となるのかも。

▼きのうは湯沢雄勝地域農業委員会連絡協議会の総会へ。今年度の事業計画を決めるとともに、関係法の改定によって委員などの選出方法が新たなしくみとなることへの対応をふくめた情報交換をおこないました。