ビッキの鼻通し取り

過ぎた週末~日曜は、燃料用の薪割り作業や、田んぼの雑草「ビッキの鼻通し(クログワイ)」取りをはじめました。

田植え直後の除草剤散布でも効果のないクログワイは、害虫のカメムシとともに我が家の稲作りの最強の敵。この雑草駆除ではこれから除草剤を散布する方法がもっとも効果があるようです。でも、我が家は「春以降は除草剤を使わぬ」が方針。手作業でこの雑草を毎年抜き取り続けています。

薪割は3年ほど前から機械割りですから、時代劇のようにマサカリを振り下ろすことはなくなりました。でもその代わりにかがめる腰はずいぶん痛みます。草取りはそれよりなお腰の痛いしごとで、これを何日も続けてやった昔をしのびながらの作業となります。昔の草取りは、私の体験でいえば田んぼ仕事のなかでももっともつらく嫌な仕事でした。腰が痛む、手首が痛む、指が痛む、眼が痛むの四重苦のその作業を知るのは、我々の世代あたりが境目でしょうか。

そういうつらい作業だったので、家々が作業を手伝い合う「結いっこ」があり、その共同作業時にはひとつの楽しみもありました。それは、作業をする方の中にとりわけ話題が豊富の方、あるいは話術に長けた方が必ずおられて、その方の漫談のような語りや、政治などを風刺した話、男女や夫婦のことを脚色した話がなんともおもしろく、愉快で、そのおかげで、つらい「痛み」が一時の間どこかに失せ、あるいは和らいだりしたものです。草取り仕事の田んぼに時折聞こえる男や女たちの笑い声。私のビッキの鼻通し取りは、そういう当時をしのぶ作業の日でもあります。

▼そんな作業の合間に、「終わり初モノ」のタケノコを食べたくなり夕刻近くなってから1時間ほどブナの森へ出かけました。

ブナの森では、まだヒメアオキの実が真っ赤っかで健在。マイズルソウ(舞鶴草)が花盛りとなり、そばのブナの幹にはにぎやかな鳴き声が聞こえるエゾハルゼミでしょうか、脱け殻があちこちに。

森の地面には、「これが、植物?」とみんなに不思議がられるギンリョウソウ(銀竜草)がいっせいに顔を出し始めました。