オシドリ夫婦?

レンゲツツジに続いてヤマツツジが咲き始めた田んぼの土手。早苗田が根着いた圃場には満面に水が張られ、「水田がダムの役割を果たす」という光景が農山村全体にひろがる季節です。この頃になると深山の雪解け水も安定し、田んぼに大量の水が引かれることもあって成瀬川の水量はグンと下がり落ち着いてきます。

焼石岳に登り、西のわが村や横手盆地、東の胆沢平野を眺めたとき、春のこの早苗田に水が光る風景と秋に黄金色の稲穂が輝くふたつの風景美に心が踊ったことを思い出します。それらは日本の農村風景の象徴ともいえる人々のくらしと、水と緑と瑞穂の美がとけあった景色に満ちているからです。

田植え後のその田んぼは水鳥たちの絶好のエサ捕り場、休み場となり、カルガモをはじめ、サギの仲間、シギの仲間たちが入れ替わり立ち替わり登場します。田んぼは、タニシなど貝類、ドジョウなど魚類、イモリやカエルなど両生類やあらゆる昆虫、は虫類、ネズミやモグラ、ミミズたちの住み処だけでなく、それらを食べる猛禽類や小鳥まで多種の鳥や、キツネ、テン、イタチ、タヌキなどのほ乳類もふくめて生態系の命をつなぐ大きな役割を果たしているのです。

先日は、時期が時期ですから繁殖期に入ったのでしょうかオシドリの夫婦らしい2羽が、やはり早朝の田んぼにいるのが目に入りました。このオシドリ、カモ類の仲間ではカルガモより警戒心が強く、近くではなかなかシャッターチャンスに恵まれません。が、この日はかろうじて何枚か写真にすることができました。

そばにはそれより一回り小さいシギの仲間も一羽いましたが、こちらはもっと警戒心が強く、車を止めたらすぐに飛び立ってしまいました。