村の里山は広く深し

面積およそ203平方㌔㍍の広いわが村は、その多くを山林がしめています。

村全体の山林の様子と、それらの山に通ずる林道の状況をよくつかんでおくことも議員や議会の大事なつとめです。私は山歩きの趣味と重ねてあちこちの林道、とくに郡境、県境をまたぐ「峰越し林道」などに時々車を走らせます。その時期は、ほとんどが山の見通しがきく晩秋から初冬。各林道の管理状態もそれである程度確認することができます。

今年は、滝ノ沢から山内武道金山沢方面に越える道、そして先日の入道から岩手西和賀町川尻へ越える道を通っています。めずらしくまだ積雪のなかったきのうは、役場で所用を果たした後、肴沢から前山沢に入り増田町滝ノ下と田子内大沢に至る林道を走りました。

肴沢の林道は、手前の改良舗装が今年行われ途中までは快適。ですが、郡境近くになると幅も狭く、きつい勾配やカーブを覚悟しなければならないのはいつものこと。例年なら積雪となりもう通れない時期ですが、今年は二度目の積雪も消えきのうまではぎりぎりセーフで通れました。山全体がひっそりと静まるなか、途中、ぬかるみや一部土砂落ちで走行トラブルがあれば困りものと思いながらも、やや悪めの道の孤独の山越えをしてみました。

側溝のない林道は流水によって路盤が荒れるのはいわば宿命みたいなもの。大沢川の林道も上流部のその荒れがかなりで、「溝に車輪を落とさないようどこを走るか」とタイヤの通り道を慎重に選ぶような箇所も一部あります。

各所で水切りのゴムなどを設置し荒れ対策もとられていますが、未舗装の林道管理はいずこもほんとに大変なことが、こういう様子をみてもわかります。山を本気でまもるなら、こうした郡や県境を越える林道舗装改良事業への大幅な予算対策をとることが、とくに国と県にはもとめられます。

土倉も、滝ノ沢も、そしてきのう通った肴沢~田子内も、みな集落のいのちをささえる貴重な林と水源のある山です。きのう通った郡境沿いにひろがる入会林野のブナとミズナラの森はいつ見てもすばらしい。それだけに、だれでも入れる安心できる道も必要なのです。

こうして峰越しの林道に入ってみれば「村は、広いなぁ」とつくづく思います。肴沢もきのう通ったのは前山沢のほんの一部だけ。ここにはほかに支流の元山沢もあります。大沢も名のように大きな沢で、ここもほかに支流の一ノ沢があります。さらに双方の小沢はそれこそ無数で、里山とはいえ、峠で見下ろせばなんと深く広いもの。大字田子内地区の里山すべての沢を源まで歩いてみたいものですね。源流のそのほとんどがブナの森ですから。

▼家まわり散策のキノコだよりもこれが今シーズン最後となりそう。ナメコもエノキタケも幼菌があり、積雪がなければまだまだ摘み取れますが、今度の寒波で村は根雪でしょう。ために、来年春まで、キノコだよりはひとまずおやすみ。湧水のクレソンは別ですが。