クマは冬ごもり前の最後の動き

2日の休日、そしてきのうと、師走にしてはめずらしく穏やかな晴天が続きました。

山には積雪があり、林道はかろうじて車高の高い4輪駆動車なら通れます。初冬の山歩きをする者にとってこういう条件のよい日はめったにめぐってこないもの。そういう願ってもない日が、2日は休日とも重なりました。晴天に浮かぶ鳥海山もくっきりとのぞめます。

2~3日の村内は、人里にはまだら模様に雪があるものの積雪はほぼゼロ。でも県境付近まであがれば雪は深いところだと膝ほどまで積もっています。車はなんとか通れるものの、徒歩では中途半端な積雪のためにカンジキを履くほどでもなく、かといって履かなければ雪が深くて足が疲れるで、歩くのがもっともイヤな雪状態です。

師走入りとなれば、例年、冬ごもり直前のクマたちが最後の活発な動きを見せる時。この両日は、「もしかしたら、巡り会えるかも」と、カメラを手に2時間ほど山に入りました。

予想したように、土倉山では数匹のクマが道路を横断した足跡があります。そうとう大きな足跡もあり、合居川方面の深山に穴入りで向かったらしい跡もあれば、逆にドングリなどを「食べられるうちに食べておこう」と人里近くの林にむかい下りたらしい跡も。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は思わぬ偶然もありました。山に入ってクマの足跡ながめをしていたら、突然そばの窪みに真っ黒な塊が横たわって見えます。「おっ、クマ」と確認したら、それは今々猟友会員たちによって捕獲され、斜面を転がり落ちて息絶えた直後のクマでした。

なじみの仲間の会員たちが、こちらより先に山入りしていて、クマの足跡を追い詰め捕獲した現場だったのです。捕獲されたクマはメス。秋グマですからメスでも体重はかなりのもの。ドングリなどをまだ食しているらしく、冬ごもり直前なので毛皮はさらに黒色の光沢を増し、皮下脂肪もたっぷり、筋肉も隆々としています。こういう屈強な体で襲われたら、人間などひとたまりもないことを、猟をする仲間たちはクマの体をみて知らされます。

初冬の12月なのにきのうも晴天。また県境の深山に向かった新たなクマの足跡がのこされていました。クマたちは、あちこちの山でドングリ、ナナカマド、カタスミ、少しのブナの実、ヤマブドウなどを食していたはず。でもそんな行動もあとわずか。今週後半に予想される寒波で降雪続きとなれば、雪国、奥羽脊梁のクマの大半は越冬穴に入るはずです。

土倉沢には、目にふれるだけでクマ4頭の新しい足跡があり、そのうちのひとつは大グマ。それとは別に合居川入り口の村有地にもさらに一回り大きな新しい足跡があり、それは入道方面から川を渡り、沼又方面にむかっています。ツキノワとしては巨大なオスグマで、しかも肥えた秋グマ。その巨体を思うと身震いしてしまいます。初冬に雪の残る林道をすべて通れるなら、クマのおおよその生息数や生態がつかめます。ただし、身をまもる術がないこちらのような姿での行動だと、うかつに近寄ることができず、そこは要注意ですが。