村ではいつの年も、秋分の日をはさんだ週にミャゴ(マイタケ)が最盛期となります。
こちらも通い慣れた村の2つの深山へ本格モノのマイタケをめざして山入りしてみました。
山神様からの贈り物をあてにしてきつい尾根をのぼり、斜面を横切り、毎年、あるいは3年に一度、5年に一度など、喜びをいただいたミズナラ大木をめざします。
ごくわずかのキノコ採り以外はほとんど人の歩かない急な尾根にも、やや道らしいかたちが所々にあります。それは、クマやカモシカなど森の生きものたちが歩き続けている「けもの道」です。横切るシロデ(雪崩で大きな木が成長できない急斜面)にはウメバチソウが咲いています。立木のないシロデは眺望もいいので花を愛でながらここでいつの年も一息をつきます。
今回のコースでめざす大木はわずか数本。つまり採り慣れた木にほぼまっすぐに向かうということです。うち2本は最初の株をいただいてからすでに30年ほどになるでしょうか。それらには、食べ頃、採り頃、真っ盛りのキノコ界の王様マイタケが顔を出していました。
マイタケの写真はキノコだけでは山の雰囲気がよく出ません。それで、今回も、歩き疲れとうれしさがまざりあった表情のこちらの姿もいれてのご紹介です。
山を歩けばいつものようにほかのキノコたちもいっぱい。今回はそれらのうちから、おいしいカノガ(ブナハリタケ)と、代表的な毒きのこながら色はあざやか、傘も茎も見事なかたちのオオワライタケをとりあげてみました。
食べれば、幻覚、幻聴、興奮など精神状態がおかしくなるのでオオワライタケなどという名前がついたことを各種ガイド本は記します。ごく普通にみかけるキノコですが、この日のオオワライタケは、黄金色の輝きも含めなんだかマイタケよりも存在感があるように見えました。
帰路、もう季節は彼岸ですからアケビも熟しはじめていました。
この日は、里で採れたキノコの女王様ハタケシメジと、深山のキノコの王様マイタケをごちそうになりました。「山里のくらしはこれだからたまらない。やっぱりここ(村)はオレ向きのところだな」などと、女王様と王様を味わいながら思いました。