きのう朝の村は里山の中腹あたりまで積雪線が下がりました。そこに時折の陽射しがあると、雪の有る無しを境にして二つの景色が比較の美を見せる初冬特有の雪の村に変わりました。
まだ積もりはしなかったものの、人里にも雷模様の寒気に運ばれ大きなボダンゆぎ(雨雪)が時折勢いよく降ったきのう。やがて今朝には家々の屋根を薄~く白くしていました。
朝、そんなお天気模様を家の中から眺めていたら、ガラス戸の外に大きなクモがするすると下りてきて途中でピタリと停止。雪を見るようなこんな寒気なのに、冬ごもりをしないでどうしたのでしょう。「朝のクモは縁起がよい」は村の俚諺ですが、それが初冬のクモですから、「おっ、これは、何か、特別によいことがあるのかな?」などと思いたくなるものですが、ごく普通の一日となりました。でも、なんでこんなに寒いのにまだ冬ごもりしないでいたのか、不思議です。
木の葉、草の葉の散った今は、家まわりの私の散策路の木の実たちが目に映えるとき。何かの宝石か小宇宙の星々を見るようなノブドウの実、日ごとに美しさを増してくるツルウメモドキは初冬の木の実の美の女王とでもいえましょうか。 そんな木の実を眺めるたんぼ脇の道には、初冬をむかえた動物たちの忙しそうな動きの足跡がふたつ。一つはクマ、ひとつはキツネでしょうか、我が家から200㍍ばかりの道のやや軟らかな土の上に二つくっきりとならんでいました。クマはまだ小さな若グマのようです。この季節主食のドングリが凶作、クリを除けば主な木の実も不作気味でしたから、越冬のためのエネルギー源、脂肪を蓄えるために最後の食確保にクマは懸命なのでしょう。
散策といえばつきものはキノコ。写真の最初の2枚は傘も柄も厚い晩生のナメラコ(ナメコ)。中はすべてユギノシタキノゴ(エノキタケ)。最後の一枚は猛毒のニガクリタケ。キノコ紹介の本などでは「初冬に出るキノコに毒キノコはない」と記されたものがありましたが、毒キノコでも晩生のものがありますから要注意です。たとえばこの猛毒のニガクリタケ(悲惨な死亡例も時折ある)もそうですし、毒とされるようになったツチスギタケの仲間なども初冬の地面にまだいっぱい見られます。猛毒のニガクリタケは、晩生のヤマドリモダシ(クリタケ)やユギノシタキノゴと同じ枯れ木に、隣り合わせ混じって生えていますから、とくに注意が必要です。写真のニガクリタケは色に特徴があり識別が簡単ですが、中には食キノコ類ととても似た色もあるので油断ならないのです。
そんなことは別にして、里でも雪を見るようになったらやはりユギシタキノゴの発生は旺盛、我が家の味噌汁は毎朝キノコ、キノコ、ユギノシタです。積雪がなければまだまだ私の家周り散策がてらのキノコ取りは続くでしょうが、この週後半は雪予報マークが並びました。そろそろ、今年のキノコだよりは閉め時かもしれませんね。