胆沢川上流のブナの森は冬に衣替え

先日から童を一時保育することになり、1日午後、眠りを誘うために車を利用し胆沢橋まで上がって来ました。

ブナの森は、大樹も低木もすっかり葉っぱを落としきり見通しがきく冬の山に変わっています。胆沢川ではイワナの産卵ももうとっくに終わった頃。ノウサギも体を真っ白な毛皮に変え、森の王者クマは、冬ごもり前の食確保に懸命のうごきをしているでしょう。

晩秋になると草木の葉っぱが落ちて森の木の実の出来不出来の様子がよくわかってきます。私の目にうつる範囲では、今年の森は晩秋の時期のクマたちの主食に値する最もあてにしているシダミ(ドングリ)が凶作、それに並作かな?と思いこんでいたヤマブドウも実をつけた蔦がどうも少なく全体としては不作のよう。とくに越冬用の脂肪を蓄えるためにはドングリは必須のような食べ物ですから、クマさんたちはいつもの年とちがう山の様子にこまっているでしょう。今年は、加えて隔年結実のブナの実もほぼ皆無です。

「山の木の実が不作の年は、クマの穴入り(冬眠)が早い」と、私たちはクマのうごきと山の木の実の関わりをとらえてきました。その通りだと、根雪の時期による影響もありますが、いつもは12月始め頃になる冬ごもり開始が今年は11月中にはほとんど終わるということになるのでしょうか。脂肪を充分にとれないまま冬ごもりに入れば、初夏に交尾し晩秋までまだ子宮に着床していなかった受精卵(着床遅延)は、母親の栄養が十分に確保されないために着床できず流れるという現象もおきるようです。となれば、「来春2月頃に生まれるワガゴ(若子・子グマ)は例年より少なくな」るということも考えられます。

里山にとくに多いドングリが凶作なら、晩秋のクマは食をもとめてどこにむかうでしょうか。須川高原など、亜高山帯のナナカマドの実などは、今年の彼らにとっては例年以上にとってもありがたい食となっているはずです。

▼きのうは、今年最後の部落の共同作業。部落の生命を育む用水路の草刈りや砂利あげ、公園の清掃と冬囲い、神社の冬囲いなどがそれぞれの分担でおこなわれました。

この共同作業が終わればまもなく冬。みなさん「まだ、ゆぎ降ってくるなぁ。えぢねん、たづなぁ、はやなぁ(また、雪が降ってくる。一年経つのは、早いものですね)」の言葉が交わしあわされました。