8合目から上の登山道は、春から秋まで幾度か焼石におとずれる花のピークシーズンなら、そこはみんな花の道。
初夏2番手の花ピークのこの日も、キンポウゲとハクサンチドリがあいかわらず道を花で飾りつけ、雪崩跡の残雪と湧水の名所には遅咲きのリュウキンカとミズバショウ、所々には希少なシナノキンバイも見られます。
9合目焼石神社で、今年はじめのご挨拶をし、欲張って諸々の安全を祈り頂上へ。黄色、白と、途中で目にする花の数はたくさんあり、黄色だけで、ミヤマダイコンソウ、キバナノコマノツメ、それにミヤマキンバイかな、とにかく途切れず花道がつづきます。
頂上近くになったらハクサンイチゲやシラネアオイ、イワカガミも目につくようになり、振り返って時々見下ろす8合目のミヤマキンポウゲは、頂上からも草原が黄色に染まっているのがわかります。
頂上着11時半。昼食をとり、すぐに岩手側コースへ下りです。女性のみなさんなど、岩手側から登ってきた方々とあいさつを交わします。泉水沼まで下りたら、雪解けの遅いいつもの箇所にチングルマとイワカガミが見ばえのある花姿を見せてくれました。
途中、名を知らぬ二つの種類の小鳥が、そんなに人を警戒しないで私のすぐそばに止まりました。なんという小鳥なのでしょう。また、夏には高原によく生息する小鳥のウソの群れもみましたが、これは遠くて写真にはおさめられませんでした。
姥石平経由で9合目に戻る途中に立ち止まるのはヒナザクラとイワイチョウ。それに残雪、そしてサラサドウダンやツリガネツツジ、ハイマツなど木々の花です。夏油コース分岐から9合目までの道は木々と岩の自然庭園が最大の見どころ。紅葉の時期も最高の景色を見せてくれるのはこのコースですが、サラサドウダンの花庭園もまた美しです。(続く)
▼たんぼ脇のモミジイチゴやカンゴ(桑の実)が、熟れ時盛りに入りました。私が生まれた65年前の6月末なら、田んぼの植え直しを終え、養蚕の桑の葉取りに忙しかった頃の様子を祖父は記しています。山の畑には桑の葉取りを、たんぼでは除草機を押し始め、7月に入ればすぐに、あの腰と指先と手首の痛い一番草取りがはじまったのです。たんぼしごとは今よりはるかに遅く時が流れていました。今は、みんな「早く、早く」と進みます。
祖父は「7月3日にヨゴツゲ(大森沢の上流部)に竹子とフキ取り」とも記しています。もちろん、昔の焼石登山道でもあった荒沼か沼ノ又橋のある竹まるき場から歩き始め、小松森麓の横林道十字路を交差し前ヅルを上りです。そんな昔のことと比べても、今年は植物の季節がいつもの年より早く進んでいることがわかります。