花の焼石だより(その2)

歩き始めは7時10分。タケノコ採りが集中していた先週までなら林道も駐車場もそれらの人々の車でいっぱいだったでしょうが、もうタケノコシーズンは終わり、沿道には一台の車もなく、駐車場にも、この日は登山者らしい岩手ナンバーの車が一台だけ。

CIMG4358-1CIMG4359-1CIMG4360-1「にわか雨がこなければよいが」と思いながら、まずは登山道沿いのマイヅルソウをながめ、両生類の仲間らしい産卵場所をのぞいてブナの道を上がりました。若い頃、バチぞり(橇)や架線集材でブナ材を伐り出す仕事に就いた大森沢カッチ(最上部)県境のブナ林には、ブナの葉っぱを食べるハムシがついているようです。食害で葉っぱが少なくなり林ががらんとして明るく、雰囲気がいつもとややちがいます。

CIMG4361-1合居川との分水嶺を少しこえて胆沢川流域に入ったすぐの登山道に、いまいま歩いたクマの足跡がぬかるんだ土にくっきり。そんなに大きなクマではありませんが、こういうことがあるから油断はできません。ラジオを鳴らし、ホーホーの声もときどきあげながら胆沢川へ下りました。

CIMG4366-16合目・与治兵衛あたりからチドリ花の仲間がぽつりぽつり目に入るようになりましたので「これは、キンポウゲが期待できるかな」と思えるように。

昨年はブナの実が大豊作。なので、今後また何年かは実がまったくつかないか少ない年が続くことになりますが、やはり例外はいつでもどこの世界にもあるもの。秋までに稔るかどうかはわかりませんが、殻の立派にできた実の着いている木がめずらしくありました。

CIMG4363-1CIMG4365-1CIMG4367-1CIMG4369-1CIMG4373-1CIMG4374-1CIMG4375-1CIMG4378-18合目・焼石沼が近づくにつれ、夏においしい実をいっぱい熟すエゾノクサイチゴの白花やキンポウゲが多く目につくように。タゲのすず水(焼石岳の湧き清水)そばの湿地には、ミツガシワの小さな群生スポットも目立ちます。

CIMG4379-1CIMG4380-1CIMG4384-1CIMG4385-1CIMG4391-1CIMG4399-1CIMG4402-1CIMG4404-1CIMG4418-1小学校の時、子たちだけで泊まり遊んだアガベゴ(赤べご・短角牛)監視人小屋跡の脇に湧くすず(湧き水)でのどをうるおし、視界のひらける沼の草原にあがったら9時半。期待通りに草原は真っ黄色の花のじゅうたん。紫のハクサンチドリと白きクサイチゴが、ミヤマキンポウゲの黄色をひきたてます。いや、どの花もみんな互いに相手の引き立て役でしょうか、息をのむ美しさとはこういう景色をいうのでしょう。

沼にはイワナの魚影が濃く、ニジマスらしい青い魚影もいくらか見られます。岸辺には時々30㌢ほどの大物イワナも悠然と姿を見せます。

花の写真は、できれば少し水滴のある花びらか、青空に映える草原の花景色を撮りかたったのですが、午前はそのどちらともいえないお天気。時々、主峰焼石や南の森、権四郎森、さんさげぇ(三界山)にはガスが流れこみます。「帰りの空はもっと晴れるだろう」と、楽しみを残して頂上をめざしました。8合目までに切りとった花々などをまずは載せます。