先達の難儀を偲ぶ「間木堰」

秋に1~2回はおとずれる明通沢。今年も先月末の休日に足を運びました。

この沢には、椿川・間木集落のくらしをささえる「間木堰」と呼ばれる、今から102年前に完成した用水路があります。

昔の人々のひとかたならぬ苦労を学ぶとしたら、村内ではこの「間木堰」こそ最良の教材といえるでしょう。堰の一番の難所は取水口から下流100㍍ほどの箇所で、そこに立てば、「田んぼのために、水を引いた先達の難儀」が身にしみてわかります。

ほんとうは、小中学生たちにもこの難所を見学させたいのですが、万全の安全確保策がないと危険がともない、おすすめできないのが残念です。

こういう現場を見れば、「お米の大切さ、先祖、先達の苦労」が直に理解できるはずですから、子たちが高校生か大人になったら是非一度は足を向けてほしいものです。

山を歩けばガマガエル(ヒキガエル)とのご対面がよくあります。明通沢の間木堰脇の道の上で、動画を瞬間停止させたようなこんな格好をしてガマ公が止まっていました。歩きの停止状態のまましばらく動きません。これは警報発令の動作なのでしょうか。

渓谷沿いの湿った岩場などに群生するダイモンジソウが、その堰脇にまで種を飛ばして増えたのでしょう、いま花真っ盛りです。リンドウ、ウメバチソウ、サラシナショウマ、そしてダイモンジソウ、これらの植物はなぜ春や夏ではなく秋に花を咲かせるのか、時にそういう不思議を感じながら私は深山を歩きます。