ありがたい地元のお店

戸数200戸余りのわが集落。そこにくらす人々が日々のくらしで頼りにしているのは地元集落にある3つの商店と、お隣集落からおとずれる移動販売の魚屋さん1つの計4つのお店です。いずれも代々にわたって商いを続けている方々です。

そのうちのひとつは谷養鮮魚店さん。お店の通称は「よぎめへ・よぎ店」。文字通り魚やそうざい、雑貨等を扱う集落の総合食料品店です。仕出し業も営んでおり、それは村外にも根強い人気があるようです。鮮魚、食肉、野菜はもちろん、たいがいの食料品はそろっていて「主な食べ物なら、ここでほとんど間に合う」といわれるお店です。地元をはじめ大字椿川地区への長年の移動販売車による商いも続けられています。

もうひとつは佐々由商店さん。その通称は「よしめへ・よし店」。お米の集荷業、米穀や肥料、農薬、燃料、ガソリンスタンド、お酒やタバコ、雑貨などを扱う幅広経営のお店です。国道バイパス沿いにお店が移ったので、車で立ち寄る村内や集落の人々だけでなく、村をおとずれる方々の利用も近年は目立ちます。

もう一つの老舗は佐藤小吉商店さん。その通称は「べっけめへ・別家店」。米穀や雑貨、塩、たばこ、ガラスを使った戸の設備や修理を主にするお店です。今のように農業法人や担い手に農地の集積や作業委託が集中する数年前までは、秋のお米の乾燥調整で村内多くの農家に頼りにされ大きな役割を果たしました。その仕事も今なお続けられています。

さらにもう一つ、IZUMIというハイカラ文字がシンボルの移動販売車で長年わが集落を訪れる方は、お隣肴沢の魚屋さん「和泉商店のケイスケさん」。昭和、平成と自宅の店舗と移動販売で長年村の人々の食をささえてこられた方で、わが集落の方々にも根強い固定のお客さんをお持ちです。

こうしたお店をここであえて個別に取り上げたのは、それは、集落にお店があるということは「ほんとにありがたい」とみなさんが感じているからです。

商いはある意味では社会奉仕を内包しているしごといわれます。信頼、信用されるお仕事というのはすべて需給のお互い同士が「ありがたい」という気持ちでむすばれるものです。人口減少、商店大型化、働き方や家族構成の変化で、日用品や食品を商う方々が村内でもやむなくお店を閉めました。そんな中がんばりつづけているわが集落の3つのお店とお隣集落の1つの移動販売車は、人々の食とくらしの大切な拠り所です。

それは村内ほかの集落で商いを続けておられる「田子内の豆腐屋さん」、「ゴロめへ・五郎店さん」、「平良のショウゴめへ・菊地商店さん」「手倉のアズギめへ・管原商店さん」、「椿台のダイガグめへ・大学店さん」、「ホンマめへ・本間店さん」などもみんな同じです。

こうしたお店がいつまでも営まれるような適度な人口があって、経済循環が成り立つ地域の存在こそが、わが国の本来めざすべき国づくりのはずです。村政、あるいは県政、国政のそれが大事な柱であることを、みんなであらためて見つめ直したいものです。