うつろなガマ公

▼熊本県御船町議会の議長、副議長、元議長さんなどで構成される会派のみなさん6名の方々が、きのう教育行政視察で来村されました。

議会事務局提供

ちょうど広域市町村圏組合の全員協議会と臨時議会(平成29年度会計の決算審議など)に重なり、会場となった中学校で歓迎のご挨拶だけ申し上げて全員協議会に向かいました。

御船町の田端幸治議長さんは、熊本地震での全国からの支援に感謝の言葉をのべられました。次いで、あんばいこう氏の著書「学力日本一の村」(無明舎出版)を手にもたれながら、こちらが猟に関わることを知ったらしく、「今日参加の議員にも、猟友会員がおられる」旨を語られました。その議員さんはおそらくイノシシ、シカ猟などが主でしょうが、40年ほどの猟歴のある方だそうですから、こちらとほぼおなじということになります。

ご挨拶のそんな一幕もありまして、お迎えした一同、視察のみなさんへ親しみの心持ちがグッと増した空気を私は感じました。視察はいつものように授業参観、後に教育長と中学校長からくわしい説明があり、質疑応答をしていただきました。

ところで、話題のもととなった「学力日本一の村」の著書は、インターネット販売などをふくめ、県内外で案外広く読まれているようです。この間は、教育関係の方々が集まる県内のある講演会(そんなに規模は大きくない)で、会場に置かれたその著書が60部ほどすばやく完売したということで、ちょっとした話題になったそうです。そういう会場で「本の完売」というのはあまりないことなのだそうです。

ほかにもこの著書についての反応が私にもありました。秋田魁新報の文芸欄によく短歌や俳句を投稿する身内のTさん(元県職員の方)が、「幾冊か買い求めて、身内などに贈ったよ」というのです。7月に出版された著書ですが、口コミ、インターネットなどで読まれる方のひろがりをみせているようです。今回のように村へ視察に来られる方々も、「予備知識」として著書を求めておられるようです。

▼さて、少々長くなりますが話題を変えます。これはとっくに過ぎた日のことですが、可笑しな格好のカエルを写真に捉える機会がありましたので載せました。

それは、我が家まわりの里ではまだ紅葉が盛り、深山では見頃を終えようとしていた10月末の合居川渓谷天正の滝でのこと。妻と遊歩道を歩いていたらヒキガエル(ガマガエル)さんとぱったり出会いました。

その日はやや肌寒く、深山は晩秋。それでなくてもあの通り動きの遅いガマガエルは、もう冬眠間近で気温も低いためにさらに動きが鈍し。その体に手を触れたらコロンと仰向けになり、そのまんまの状態でじっとしています。天敵に襲われたときなど、仮死状態を装うムジナ(タヌキ)の生態に似ていますが、しかしこのガマ公の仰向けは気温低下が原因でしょう。

ガマ公の目はトロンとしてうつろ。警戒の様子ゼロの姿になってしまいました。この無防備な姿を見た妻は「あっ、カエル、ひっくりかえる」などと、すぐにだじゃれです。

そのままかまわずに渓谷や滝の紅葉を写し撮って今度は帰りの遊歩道。ガマ公は起き上がってあの大きな手足でモソモソと落ち葉の上を這い、小さな土崩れの穴に姿を消しました。

その後、初雪がまだ積もったままの25日午後に訪れた滝の渓谷は完全な初冬。雪の季節にも活動するカモシカ、テン、キツネ、タヌキ、そして冬ごもり直前のクマなど生きものたちの足跡がブナの森やトイレ入り口、雪のある車道をどなたかが通られた後の轍上にまでいっぱい見られました。それら足跡の下にある土穴で、今頃このガマ公はゆっくりと長い眠りにふけっているでしょう。