落葉の終わったブナの森深山へ(その1)

晴天の18日、かねてから計画していた合居川渓谷の奥深くへ入りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落葉の終わったブナの森と谷歩きを楽しみ、初冬のキノコ(主にナメコとムキタケ)たちとも出会うためです。運がよければ冬眠前のクマ公を遠くからながめることも期待して。

タゲ(焼石岳)も、岩手の南本内川と胆沢川、わが村の合居川と、3つの流れの分水嶺となるサンサゲェ(三界山)などの頂と尾根筋や県境部の峠は一時真っ白な雪景色となりました。でも、その後のおだやか天気で18日に雪の白さが残るは頂だけになっていました。

11月18日で山麓のブナの森の深山に積雪もなく、降雪後に点在する残雪もゼロというのは、山歩きを楽しみにしている者にとってはそうは訪れないなんともありがたいこと。

葉っぱがすべて落ちた谷は、山も、林も、沢も、はるか遠くまで見通しがきき、ふだんは歩きをじゃまする足下の草も枯れていてすっきり。落ち葉で地面の凹凸がかくされているので転倒には要注意ですが、踏みにさえ注意すれば自由自在に歩くことができて歩きはまことに快適です。

山の色は、葉を落として幹を冬構えにかためたブナと枝の灰白色、尾根に悠然とそびえ立つキタゴヨウマツと、これも尾根筋の低柴木ネズモヂ(アカミノイヌツゲ?)の少々の緑が目立つだけ。雪降る前の山水のような世界が眼前にひろがります。

こういう時には、地上に落ちたブナの実やドングリを食べているクマもよく遠目に入るのですが、この日、私の目にその姿はうつりませんでした。時々声をだして歩いていたからでしょう。ただし、実のついたブナの根元では、今々落ち葉を寄せてブナの実をさがした痕跡があちこちで見られました。こちらの声に気づいて遠くに離れたのでしょうか。

 

まだ積雪がないためか、谷のイワナが淵尻の瀬でエサをもとめる姿があり、人影を感じてエゴ(岩や土塊の隠れ場)や淵に横たわる枯れ木の下に素早く泳ぎ隠れる姿を何度も目にします。段差の大きな滝があれば、そこはそれ以上イワナがのぼれない魚止めの場。最上流の淵周辺には20㌢ほどのイワナも見られました。産卵はとっくに終わったはずですから、それほどの上流にもかれらは「定住」しているということです。

今の時期のブナの森深山は、最高級の晩生ナメラコ(ナメコ)たちの独擅場。晩生ナメラコは、今シーズンの山の最後の競演舞台に立つ大トリ役みたいなものです。ナメコにおつきあいして、ムキタケも時々見られました。

まずは、数カ所のブナ倒木に出ていた最高級のナメコをご紹介です。大きくてもカネ色(濃い栗色)のは、それらのなかでも最高級のうちの超特Aクラスです。実も厚く、味も濃厚。数多く山を歩く私も、こういうナメコと出会う機会が多いのはやはり初冬のいまです。