エネルギー自給と人口維持への探究・実践

再生可能エネルギーへの転換は世界の大勢となりつつあります。あわせて電力の自給策も食料と同じように各国の重点戦略です。それとともに再生可能エネルギーを、これも食料と同じく各国内の地方においてもなるべく自給しようとするうごきがあり、わが国内でもその動きが顕著になっています。

村議会が先に行った視察研修は、エネルギーをめぐるそうした時代背景を見すえ、再生可能エネルギーのひとつである水力発電のうち市町村規模で導入がすすめられている「小水力発電」について先進の事例を学ぼうと山梨県北杜市を訪れたものでした。

わが村にも「平良発電所(東北自然エネルギー(株))」という100年の歴史をもつ水力発電所がありますが、小水力発電はたいがいが300㎾前後規模のものをいうようで、平良発電所(常時出力390㎾、許可最大出力1千㎾)よりずっと発電量は小さいものです。

北杜市には市単独設置の発電所に続き、市と民間会社出資の小水力発電共同導入事業による発電会社も設立。小水力ながら4つの小水力発電所で市民約4万7千人、約2万1千世帯の約10㌫世帯相当分の電力を「地産」しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おとなり南アルプス市も砂防ダム活用の小水力発電所があります。全国小水力利用推進協議会事務局長(東大理学部物理学科卒)の中島大氏は、自身の著書「小水力発電が地域を救う(東洋経済新聞社刊)」で、それぞれの置かれた発電用水の取水条件などによって、多様な小水力による電気発生の方法があることを全国の先進事例をあげ紹介しています。

わが村の条件に適した再生可能エネルギーの自給を考えた場合、それは小水力とバイオマスでしょう。なかでも小水力は可能性のより高い分野であると思われ、議会の常任委員会視察もそうした観点から行われたととらえます。

今回の視察のもう一つの目的は、人口減少社会下での地方自治のあり方、実践例で、その視察先として選ばれたのは、人口が急激に減少し、町としては日本で最も人口が少ない早川町。リニアモータカー工事の起点の町、あのフォッサマグナ断層が見られる町です。

早川町は、昭和の合併時は約8千人、町内へのダムや発電所(13箇所)の建設で昭和35年には1万679人のピーク人口が、平成30年5月末現在で1077人と激減、高齢化率が約46.24㌫の町です。宗教で知られる七面山、身延山の町でもあります。

職員数は45名(うち保健師2名、保育士1名)5課1室1局の体制で自治が行われている町です。人口問題は教育、子育てと関連が密接です。中学校1、小学校2、保育所1の子育て体制についても、「人口の過疎はあっても教育に過疎が有ってはならない」「早川の子どもを育てているのではない。未来の日本の子どもを育てているのだ」「地域が学校を育て、学校が地域を守る」の教育理念をかかげる町の施策を学んできました。