新型コロナの鎮静も祈る朱沼神社祭

栗駒国定公園の須川湖畔に鎮座する朱沼神社の例祭がきのう行われました。

今年で30回目となる祭では、国定公園の下でくらしている人々、公園を利用する人々、成瀬川の流域など管内で事業を営む人々の諸々の安寧と事業の弥栄が祈られました。とりわけ今年は祝詞奏上で「新型コロナの鎮静」が朗々とかしこみまおされました。「祝詞」にも新型コロナが意識される時代を私たちは過ごしています。

須川高原は、温泉のある位置のウルシやカエデがだいぶ色づき、栗駒山(1600)の頂上はかなり赤みが増してきました。頂上付近はもう2~3日したら色づき最中となるのでしょうか。温泉付近も、もう4~5日経ったら須川の紅葉らしくなり始めるかもしれません。これからは、紅葉情報を知らせてくれる栗駒山荘のホームページから目がはなせなくなります。

同じ国定公園内にあり花の百名山で知られる栗駒山(1627㍍)と焼石岳(1548㍍)は、亜高山帯や高山帯の植物に加え、国内でも貴重な森林生態系保護地域の核をなすブナの広大な林が連なり、紅葉においても日本有数の景観をもつ山系として知られます。山岳写真家などの方からは「日本一の紅葉」と呼ばれることもあるほどです。

二つの山系とも主峰だけでなく連山、連峰のそれぞれの色づきの見事さは、紅葉の百名山のなかでも筆頭格にあげることができるでしょう。山々が絢爛な彩りに染め上げられる日まであともう少しです。

湖畔には、気品あふれるサロメチール香りのシラタマノキの実も群生で見られます。

午後3時からの神事の最中、背後にしている湖畔の方で、厚い雲たなびく上空からかん高い音が聞こえます。「ん、あれは雁の鳴き声?」と後ろを振り向いたら、秣岳(1424 ㍍)の頂きはるか上を50羽近い雁が飛んでいます。奥羽の脊梁を越してまっすぐ南へ進めば伊豆沼や蕪栗沼方面となりますが、群れは一路そちらをめざすでもなく北西へ向かったりと乱れ飛びのようです。

須川高原の紅葉が盛りの頃は雁の渡る季節。これからは、大群の南下や時に方向乱舞のクォークォーの鳴き声が、村の集落でも高原でも度々目に映るようになります。今年も彼ら冬鳥たちの姿を見る月日ともうなりました。

「私は真実が知りたい」を読んで

国有地売却問題をめぐり、公文書改ざんを強要された財務省職員が自ら命を絶ったことは多くの国民に衝撃を与えた。

報道機関の世論調査でも、国民の多くがこの問題の真相解明がまだなされていないことを指摘している。公文書管理の在り方をふくめこの件の真実を国民に明らかにすることは公務に就くものの務めといえるだろう。

去る7月には、自ら命を絶たれた職員の妻の方と、この国有地売却問題の取材中にNHK記者を退職したジャーナリストの共著による「私は真実が知りたい」(文藝春秋)が上梓された。

報道よりも事の内容をより正確につかめるだろうと思い、先日その著書を詳しく読んだ。

この著書、真実解明をより詳しく求める方々にはぜひ読んでいただきたいが、とりわけお勧めしたいのは公務員の方々へである。

公文書を改ざんするということ事態、人としてあってはならないことだが、それが国家の中枢ともいうべき財務省において上司の強要によって行われたという事実はとてつもなく重い。

公務員はすべて同じだろうが、村職員の場合も就任時に「宣誓書」に著名してからでなければ職務を行えないという条例がある。宣誓書に掲げられる公務員精神に則って仕事をしている人間が、文書改ざんを上から強要された時どんな心境におかれるか。「森友」改ざん問題では、自ら命を絶った職員は遺した手記の中でその経緯を明らかにしている。

ごく普通のまじめな公務員が、公文書改ざんを上から命じられ、なぜ自ら命を絶つところまで追い詰められたのか、その事実・経緯はこの著書で報道よりもかなり詳しく知ることができる。二度とこのようなことを起こさせないためにも、また事の真相を解明させるためにもぜひ多くの方々に読んでいただきたい著書である。「公務とは何か」を深く問いかける著書でもあると思うから。