ミャゴ(マイタケ)10日遅れて顔出し盛り

天然のミャゴ(マイタケ)が、平年より一週から10日間ほど遅れて10月始めに盛りの顔出しとなっています。顔出しは盛りですが、採るにはもう4~5日ほど経ってからという株が多くをしめます。

発生が遅れただけでなく、今年はひとつの特徴があります。それは、一度採取してからここ10年以上もマイタケが姿を見せてくれなかった木や、はじめてマイタケが顔を出したらしい木が多いことです。これは私の狭い体験からのことで、ほかはわかりません。

たとえばマイタケが出ていても、どなたかが採った後だけ通えばキノコとの出会いはなくなるわけですが、先行の方の採った形跡がいつもみられない木に見事な株があれば、それは「初めて顔を出した木」とほぼ確定できるわけです。今年は、そんなミズナラの巨木が数本ありました。その割には、毎年あるいは隔年、3年に一度と発生する「採り慣れた木」に発生がなく、あるいは少なかったりで、これは異例の年といえます。

沢を巡り、尾根筋を幾度も越え、眼下100㍍ほどの谷を見て急な斜面を上がり下がりのマイタケ採りはまさに危険そのもの。

そんな時は、急がないでほかの景色やキノコにも所々で関心を注ぎ一休みします。ミズナラの森は、ブナの森。その尾根や斜度90度近い岩肌には樹齢200~300年といわれるミズナラやブナよりはるかに年輪を経た歴史を刻むヒメマツ(キタゴヨウ)の巨樹もあります。

一夜味噌漬けで珍味を楽しめるマスタケの幼菌とも出会えました。

ミズナラの根元に空いた木穴にも注目。ほぼ毎年使っているらしいクマの冬眠穴です。幹には、なわばりか占有権を主張してでしょうか、今々の新しいツメ跡がつけられています。それは「この穴は、今年もオレ(わたし)が入るぞ!」の予告サインのようにも見えます。

深山のミズナラ巨木にもナラ枯れ病がついに蔓延し始めました。写真はナラ枯れで命を絶たれる寸前のミズナラです。今年はこの木にマイタケの発生がありません。ナラ枯れ病菌は、標高のある程度高い深山のミズナラにまではとりつかないだろうと素人判断していましたが、それは正確でないようです。

マイタケ菌にとりつかれた大木(老木)はジワジワと何十年もかけて命を果てるのですが、ナラ枯れだと、あっという間に寿命は尽きてしまいます。「深山国有林の巨木すべてにナラ枯れ菌が着いたら、天然マイタケが食べられなくなるかも?」などと、夕餉にマイタケの芋の子鍋をつつきながら妻と語ったところです。